「省エネルギー住宅」とは、建物の断熱性や気密性を高め、
エネルギー効率の良い設備機器を取り入れた住宅のこと。暮らしに使うエネルギーを節約できるだけでなく、
健康で快適な暮らしを実現できる「住む人にやさしい住宅」として注目されています。
住まいの悩みとして「冷暖房の効きを良くしたい」「冬、窓の結露を防ぎたい」「カビの発生を抑えたい」といった声がよく聞かれます。また、月々の光熱費や水道代も気になるところ。住まいを決めるときには、価格や立地、間取りなどが重視される傾向にありますが、住み始めてみると、室内環境の快適さや家計への影響が満足度に関わってきます。
冷暖房の効きや結露などの問題は、家の中と外の熱を伝えにくく(断熱)することによって改善されます。一般の住宅では、家の中で冷暖房を使っても、窓や壁などから熱が出入りしています。省エネルギー住宅は、建物の断熱性や気密性が高いため、少ないエネルギーでも室温が快適に保たれます。また、冷暖房や照明などはエネルギー使用量を削減できる高効率のものが導入されているため、光熱費を節約できます。
国は、住宅の省エネルギーに関する基準を定めており、年を追うごとに強化が図られています。1980年基準の住宅を1999年基準に改築することで、冷暖房によるエネルギー消費量を35%削減することが期待できます。住まいにおけるCO2排出量の1/4は冷暖房によるもの※で、冷暖房の省エネルギー化は住まいのCO2排出量削減のために極めて重要です。
※ 環境省「平成29年度 家庭部門のCO2 排出実態統計調査 調査の結果(確報値)の概要」(平成31年3月)による
ZEHとは、住宅の高断熱化・高気密化と高効率設備の利用で、使うエネルギーを減らすだけでなく、太陽光発電などによってエネルギーをつくりだすことで、年間に消費する正味エネルギー量をおおむねゼロにする住宅のことです。政府は2020年までに新築注文戸建住宅の半数以上がZEHになることを目指しています。
省エネルギー住宅への買い替えや、省エネリフォームは、国や自治体による補助金や減税措置を受けられる制度があります。制度の概要や申請期間などは、各省庁(環境省、経済産業省、国土交通省など)や自治体、関連団体のホームページに掲載されます。賢く活用して、住まいの困りごとを解決し、快適で地球にやさしい生活を始めましょう。
イラスト/祖敷大輔