アスベストから身を守るために、知っておきたいこと
アスベストとは耐火性や保温性に優れた繊維状鉱物で、高度成長期は建材として盛んに使われていました。その後、健康被害が報告され使用禁止となったものの、まだ問題は解決したわけではありません。当時建てられた建物が寿命を迎えようとしている今、解体の際の飛散防止対策が新たな課題となっています。
白石綿、青石綿、茶石綿など6種類の繊維状鉱物の総称がアスベスト。肺がんや中皮腫などの健康被害を引き起こすおそれがあることから現在はすべて使用禁止となっていますが、アスベストが使われた建物は今も私たちのまわりに多く存在しています。こうした古い建物は2030年ごろに解体のピークを迎えることが見込まれていて、今後、解体工事の増加に伴うアスベストの大気中への飛散が懸念されています。
すでに「アスベストを使った建物を解体・補修する際には自治体に届出を行い、ルールに沿った飛散防止対策を実施しなくてはならない」と大気汚染防止法には定められていますが、さらに厳密なルールづくりが現在進められています。
アスベストが使用されている建物というと古いビルや工場をイメージする人が多いと思われますが、その性能を活かし、一般の住宅にもアスベストが使われている場合があります。例えば、ベランダの仕切り板、トイレのビニル床やビニルタイル、屋根や外壁のスレート、キッチンのコンロまわりの金属板の下地材などが、その可能性が高い場所です。
これまでは、規制対象の建材がアスベストが飛散しやすいものに限られていたため、比較的大規模な建物の解体や補修に届出が必要でしたが、新たな制度では一般住宅に使用されている建材にも規制が広がる予定です。住宅の建て替えやリフォームを計画している人は、今後は工事の発注者として、アスベストの飛散防止への配慮が求められます。
近年、大規模な自然災害によって住宅が倒壊するといった予期せぬ出来事が増えています。家屋の崩壊現場周辺は、アスベストが飛散するおそれがあるので、むやみに近づかないようにしましょう。がれきの片付けなど、現場で作業を行わなくてはならない場合は、水で濡らしたタオル等で口や鼻を覆うなどして、粉じんを直接吸い込まないように十分注意してください。非常時に備えて防災グッズのひとつとして防じんマスクを用意しておくのもおすすめです。
また、自宅のどこにアスベストが使われているのかを事前に知っておくことも、ばく露を未然に防ぐことにつながります。乾燥した環境下ではアスベストが飛散しやすくなるので、アスベストが含まれている疑いのある建材を移動や撤去する際は、まず散水を行い粉じんが飛び散らないようにしてから作業に取りかかりましょう。
防じんマスクを使おう
粉じんが多い場所では、適切な性能を有する防じんマスクを着用しましょう。 正しいマスクのつけ方はこちらから↓
https://www.env.go.jp/jishin/attach/asbestos_mask-set_v2.pdf