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省エネ型自然冷媒機器導入企業担当者インタビュー集
(物流・倉庫)

スターゼン東京物流センター株式会社スターゼン東京物流センター株式会社

  • 冷凍機の老朽化、フロン類(R22)の製造中止と価格上昇、省エネの推進という課題背景のもと、省エネ型自然冷媒機器の更新を決定。
  • リース会社とのリース契約により、冷凍機を調達。冷凍機を自社購入すると、減価償却期間12年間は定率償却になり、初期段階で償却費負担がかさむが、リース方式にすることで、償却費(リース料)を平準化・均等化できるというメリットを活かした。
  • 2016年8月には、対前年同月比で15%程度の使用電力量の低下を達成。終日一定温度で冷やしこみができることで、食品の味を保つという面での効果もある。
スターゼン東京物流センター株式会社

スターゼン東京物流センターは、食肉の加工・販売、食肉製品・食品の製造・販売等を行うスターゼンのグループ会社である。スターゼン東京物流センターは、食肉の産地から小売店舗に至るコールドチェーンにおいて「冷凍肉等を貯めおく冷蔵冷凍倉庫」という位置づけである。

-スターゼン東京物流センターの役割について教えていただけますか-

スターゼングループは、輸入肉や国産肉の産地から小売店舗までのコールドチェーンを国内で構築しています。 スターゼン東京物流センターの建物(東京都港区港南)は、このコールドチェーンの「冷凍肉等を貯めおく冷蔵冷凍倉庫」という位置づけとなっています。

スターゼングループで取り扱っている輸入肉や国産肉は、この冷凍センターに集められ、ここから全国の営業所(事業所)に10トン車クラスのコンテナトレーラー(-30℃)で運ばれます。さらに、そこから2トン車等で全国のスーパーや小売店舗へ配送されるという流れになっています。

-冷凍センターではどのような省エネ型自然冷媒機器を導入されていますか-

イメージ:水冷式NH3/CO2冷凍機ユニット/スターゼン東京物流センター株式会社機器当センターの冷蔵倉庫建物は、地上7階建て(延べ床面積約16,000m²)で、3〜7階が公称冷蔵能力約11,000トンの冷蔵倉庫スペースとなっています。

この冷蔵倉庫で導入しているのは、前川製作所の高効率自然冷媒冷凍機「New Ton(ニュートン)」です。F級冷蔵倉庫向け冷凍機4台、C級冷蔵倉庫向け冷凍機1台を、2016年2月に導入しました。

-省エネ型自然冷媒機器を導入するに至った経緯についてお聞かせ下さい-

現在の東京物流センターの建設時(昭和50年頃)にR22のフロン類を使った冷凍機を導入しましたが、やはり老朽化が見逃せなくなってきました。また、使用していたR22のフロン類は、製造中止の危険があり価格も上がってきていましたので、その点が憂慮されました。さらに、会社全体として省エネの推進が大きな課題となりつつあったという背景もあります。こうしたことが重なったタイミングで冷凍機の更新を決定したということになります。

自然冷媒冷凍機を導入した理由は、補助金による初期導入コストを削減できること、省エネによる電気代が削減できると判断したことによります。また、冷凍機の選定にあたっては、自然冷媒冷凍機を前提として複数社からの提案を受け、社内で検討しました。自然冷媒のアンモニアやCO2を使う機械は高額のイメージがありましたが、補助金を利用することによって現実的に採算が合うようなレベルで導入可能な機種を、最終的には前川製作所の提案から選びました。

-冷凍機導入にあたり採用したリース方式についてお話いただけますか-

当社は、JA三井リースとリース契約を結び、冷凍機を調達しました。補助金との関係でみると、JA三井リースが補助金申請者であり、当社はその共同事業者という位置づけとなります。JA三井リースが環境省からの補助金の受け手となり、前川製作所から冷凍機を購入しました。環境省の補助金は、年度末の3月に購入価格の30%分が入金されるので、それを前提に、当社とJA三井リースの間で、リース契約の条件を詰めていきました。リース期間は倉庫業用設備の法定耐用年数である12年としました。 冷凍機導入に際してリース方式を選択した理由はコストの平準化です。大型冷凍機を自社買取りすると、減価償却期間12年間は定率償却になり、初期段階で償却費負担がかさむことになります。これをリース方式にすると、減価償却費(リース料)を平準化・均等化できるという大きなメリットが発生するからです。それに加えて、JA三井リースが補助金申請業務を代行してくれるという点も、大きなメリットであると判断しました。

実際には、親会社のスターゼン(株)からの融資を利用した、自社買取り方式も選択肢として挙がりました。ただし、自社買取りの場合、自己資金ではなく、借入れを起こして調達することが前提でしたので、返済の支払金利の水準、毎月の支払額がいくらになるかが判断のポイントとなりました。また、自社買取りの場合、初期償却負担が大きくなることも判断の際に考慮しました。

最終的に社内で、冷凍機の自社買取りの際の条件と、JA三井リースから提示されたリース条件の両方を比較検討し総合的に判断した結果、リースのほうが当社の現場の事情に即したメリットがより大きいとの結論になったということです。

-省エネ型自然冷媒機器を導入した際には、どのような課題がありましたか-

当社の管理部門があまり慣れていなかったため、補助金申請の手続きが難しいという問題に直面しました。この課題につきましては、補助金の申請者をJA三井リースに引き受けていただいたので、スムースに申請ができました。

また、補助金申請手続きと社内決裁の間で時間的なズレが発生し、それをうまく調整しなければならないという問題も発生しました。社内で、補助金申請の許可を得る際に、いつ募集が始まるのか、補助金はいつ出るのか、そもそも補助金獲得は大丈夫かなどに答える必要があり、その目安をつくるのに苦労しました。一言で言えば、流動的な稟議を社内で上げて決裁をもらうことの難しさ、ということになります。

社内決裁の大きなポイントは、機器導入の費用対効果があるか否かという点でした。この点については、通常の機種(R404、R410等)と比較して、ある程度同じ金額帯であれば、自然冷媒のほうが良いというコンセンサスが得られやすかったので、きちんと説明することによって社内での問題は発生しませんでした。

イメージ:床置型ユニットクーラー(左)と天吊型ユニットクーラー(右)/スターゼン東京物流センター株式会社機器

以上で述べたこと以外には、それほど大きな課題はありませんでしたが、強いて挙げるとするなら、アンモニアの安全性にやや懸念がありました。工場内(屋内)の冷凍機の全部をアンモニア冷媒で回してしまうと、漏洩したときに生産ラインが停止し、復旧等の対応が大変になるという懸念です。ただし、この点については、アンモニアを使うのは屋外の冷凍機のみで、屋外にはアンモニア除外設備を設置しており、漏れる箇所は配管上にはないということから、安全性は確保されているという認識に至っています。

-省エネ型自然冷媒機器の導入による効果についてお聞かせ下さい-

当社の大型冷凍機は、2016年2月下旬に導入し、3月から稼働しました。未だ機械導入後間もなく、運転も試行錯誤しながらやっている状態のため、明確な省エネ効果が見えない面はありますが、2016年8月には、対前年同月比で15%程度の使用電力量の低下がみられました。なお、電気代については、まだ判断はできません。契約電力を650kwから450kwに落としているので基本料金は確かに下がっていますが、逆に電力単価は上がっているので、全体的な電気代がどうなるかはまだ判断できないということです。

一方で、電力使用のピークがかなり下がってきたことは、効果の一つであると思います。大型冷凍機を導入する前は、深夜電力を使って夜間に機械を回し、昼間は止めていました。複数の新冷凍機を入れてからは、なるべく電力消費のピークが分散するように運転台数を減らすなどの運転方法をとっています。ピークを一緒にすると電気代の基本料金が上がってしまうので、なるべくそうならないための工夫です。

冷凍機全体の消費電力が落ちてきたので、昼間に機械を回すようにしました。その結果、冷凍庫の中の温度を日中でも一定に保てるようになりました。確かなことはわかりませんが、終日一定温度で冷やしこみができることは、食品の味を保つという面で効果をもたらしているかもしれません。なお、冷凍庫の温度については、食肉は-16℃以下、冷凍食品は-18℃以下で管理しなければならいという基準があるがあるため、-20℃辺りで管理しています。

省エネ型自然冷媒機器の導入による定性的な効果や取引先からの反応については、当社のビジネスがB to B型であることから、物流関係の同業者の間では、「こういう冷凍機を補助金をもらって導入し、効果があった」というような話はしています。事業環境や運送業法が厳しくなっており、共配なども必要になっていることから、業者間ではこうした情報交換を頻繁に行っています。

-自然冷媒機器の導入したことについてどのようにPRしていますか-

イメージ:冷凍機ユニット外観・クーリングタワー/スターゼン東京物流センター株式会社機器

当社としては、ホームページ等を使って地球環境保全への寄与という点でのPRは考えていますが、そもそも一般市民やユーザーの認識が低いことが問題ではないかと思います。少しでも市民レベルに浸透させていくことが重要であると認識しており、当社のCSR活動の一環として、環境省の宣言への賛同とともに、実際の取組みもきちんと紹介していく必要があると考えています。

-自然冷媒機器の導入を検討している事業者へアドバイスがあればお聞かせください-

冷凍機器導入にあたって、資金借入による自社買取り方式とリース方式のどちらが良いかについては、融資を受ける際の借入れ条件、償却年数の設定の仕方などが、各々の会社事情によって異なるので、一概にはリースのほうが良いとは言えません。ただし、リースにすると補助金の申請関係をリース会社が代行してくれるので、初めての企業やスタッフ数の少ない企業などにとってはメリットが大きいと思います。特に、冷凍倉庫業の事業者の多くは、これまで補助金申請の経験はほとんどないので、申請手続き面でのハードルは非常に高いと思います。当社のように、申請書類の作成などをパートナー事業者に手伝ってもらうというやり方が非常に有効です。

それにしても、中小企業に冷凍機を入れることは、億単位のお金がかかるので、補助金があっても相当厳しいことには変わりありません。仮に、補助金が1/2あると相当楽になるとは思いますが。

いずれにせよ、自然冷媒機器の導入にあたっては、同業者同士で補助金や導入方式などについて、情報交換しながらやっていくということがとても重要であると思います。

スターゼン東京物流センター株式会社:

スターゼン東京物流センター株式会社

平成17年入社。製造課に勤務、平成18年に施設課へ異動し、現在に至る。スターゼン東京物流センタービルの施設管理業務を行っている。

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