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省エネ型自然冷媒機器導入企業担当者インタビュー集
(流通・小売)

イオン株式会社イオン株式会社

  • 平成21年に省エネ型自然冷媒機器を導入。当初は省エネ効果について疑問の声もあったが、結果として10〜20%程度のエネルギー使用量を削減できた。
  • 平成27年度以降の新店舗に自然冷媒(CO2)を採用し、既存の店舗についても順次切り替えていく、とする「イオン自然冷媒宣言」を平成23年に発表。
  • フロン使用機器について、フロン類の漏えいを修理しない限り営業できないといった制限があった場合、事業継続において大きなリスク。省エネ型自然冷媒機器の導入は、持続的な経営にとって重要になると考える。
  • 冷蔵よりも冷凍の方が省エネ効果が高いので、例えば冷凍系統から導入店舗を増やしていくことも、今後導入を目指す企業にとって一案ではないか。
イオン株式会社

イオンは、ラテン語で「永遠」を意味する。企業理念も「永遠」から形作られており、イオンサステナビリティ基本方針では「低炭素社会の実現」「生物多様性の保全」「資源の有効利用」「社会的課題への対応」を重点課題として取り組みを進めている。平成23年に自然冷媒宣言を打ち出して以降、着実に省エネ型自然冷媒機器の導入を推進する企業である。

-省エネ型自然冷媒機器を導入した経緯についてお聞かせください-

イオンでは、平成21年に省エネ型自然冷媒機器を導入しました。従前より欧州では自然冷媒が使われており、食品メーカーや小売などによって構成された団体TCGF(The Consumer Goods Forum)でも「世界で温暖化への影響の少ない自然冷媒の導入を」という動きがありました。こういった状況を踏まえ、イオンでも自然冷媒を活用した冷凍冷蔵機器の導入を検討しました。

その結果、「まずは導入してみよう」ということが決まり、イオングループの食品スーパーである「マックスバリュ」に導入しました。検討の段階では「省エネ効果は無いのでは」という指摘もありましたが、実際は、省エネ効果もあり、10〜20%程度のエネルギー使用量を削減することができました。また、運用上の安定性、安全性も全く問題ありませんでした。現在は20%前後の省エネ効果が確認出来ています。

そこで、平成23年11月にイオン自然冷媒宣言を発表しました。これはイオンとしての低炭素社会に向けた宣言です。具体的には、平成27年度以降に新設される店舗すべてに自然冷媒(CO2)を採用し、既存の店舗においても順次切り替えていくという内容です。イオンは、良いことについては率先して実施するという社風があります。「マックスバリュ」で省エネ型自然冷媒機器の効果が明確になりましたので、今後も導入を継続し、さらに徹底させていくことが重要と感じています。現在は、大型の総合スーパー、さらにはコンビニエンスストアでも導入を進めています。家庭用冷蔵庫は、今ではノンフロンであることが普通で、もしノンフロンでなければ、『どうしてこの機種はノンフロンじゃないの?』と聞くと思うんです。今後はお客様から『どうしてここでは省エネ自然冷媒機器が入っていないの?』と質問していただけるようになるくらい、世の中で広く普及拡大することが必要だと思っています。

-導入における課題としてはどのようなものがありますか-

やはり、まだまだ導入コストがかかるという点ではないでしょうか。これは、省エネ型自然冷媒機器を製造できる企業が少ないことや法規制に起因しますので、イオンだけで対応できる課題ではありません。冷凍冷蔵ショーケースも、コンビニエンスストアで使用するものもあれば、大型の食品スーパーで使用するものもあります。コンビニエンスストアの場合、汎用性がありますので、今後複数のメーカーが参入する見込みがあり、コストは抑えられる可能性があります。大型の総合スーパーは機種も多様であり、ロットも多いわけではありませんので、現行メーカー企業以外の新規参入はしばらく難しいのかもしれません。直近では内蔵型の機器を導入し、検証を進めています。

また、高圧ガス保安法に対応するため、鋼管の高い強度が求められるなど、厳しい高圧設計が行われます。冷凍機の馬力数にも制限があります。そのため、コストが高くなっています。設備を小規模化し、高圧ガス保安法の適用除外にするということも、実際は設備の系統数が増えるため、コストはさらに膨らみます。

その他、都市部での騒音の発生も課題となります。

このような課題のうち、防音対策や高圧ガス保安法対応については、メーカーの技術開発により、より向上した新しい機器が発売されるという情報を得ておりますので、期待しているところです。

-これらの課題を克服するには何が必要とお考えですか-

イメージ:イオン株式会社機器イオン自然冷媒宣言を打ち出したのは、平成23年でした。LED等これまでの他分野における技術革新の歴史を考えると、平成27年には冷凍冷蔵ショーケースのコストもずいぶん軽減されていると考えていました。しかし、今もコストは課題です。また、高圧ガス保安法の見直しも当時から議論されていますが、いまだ見直されていません。技術、規制両面の当時の課題がそのまま現在も残っているのが実状です。

こういった状況を踏まえると、政府が行っている設備導入に対する補助事業は、今後も継続、拡充していくことが必要と感じています。一方で、省エネ効果によるランニングコストの圧縮によって、設備導入コストの増加分を吸収することができます。特に冷蔵よりも冷凍の方が省エネ効果は高いので、例えば、冷凍系統から導入店舗を増やしていくことも一案ではないでしょうか。

騒音対策については、別置型の冷凍冷蔵ショーケースの一部を内蔵型でノンフロンタイプの冷凍冷蔵ショーケースにするなどの取組を行っています。内蔵型の場合、室外機が外にありませんので、騒音を抑えられます。現在、メーカーと一緒に実験導入中ですが、すでに京都桂川店など2店舗のリカー売場で内蔵型ショーケースを導入しています。

-導入したことによる効果としてはどのようなものがありますか-

昨年、フロン回収破壊法が改正・強化されたことで、今後、フロン類を使用した設備の管理コストや業務が明らかに増えます。記録や報告、定期点検など、従来のフロン類を使用した設備を使うことで対応が必要になります。

また、追加充填についても対応すべき事項が増えます。例えば、フロンの漏洩が判明し、特定の期間内に修理しない限り営業が出来ないといった制限があった場合、これは事業継続において大きなリスクとなります。いままさにこの点について、省庁で検討が行われていますが、見方を変えれば、フロン類を使用した設備に対してこのような対応が必要になるからこそ、省エネ型自然冷媒機器の導入が持続的な経営にとって重要になると考えます。

-省エネ型自然冷媒機器を導入したことをどのようにPRされていますか-

イメージ:イオン株式会社機器PRはまだまだうまくできていませんが、例えば、マックスバリュ新船橋店の場合、屋上に省エネ型自然冷媒機器の室外機があり、現地視察ができるようになっています。小売店や行政の方々が視察に訪れています。今後は、環境に良い取組を実施している企業であることを理解していただき、お客さまに信頼され、お気に入りの店舗として選択して頂ければ良いと思いますが、まだまだ十分伝えきれていないと感じています。また、店舗では、省エネ型自然冷媒機器であることを示すPOPや補助事業適用のシールをつけるなどお客さまへお知らせする取組も行っています。

-自然冷媒機器の導入を目指す企業にアドバイスをお願いします-

世の中の潮流として、今後、温暖化係数の低いノンフロンへ移行していくという流れは確実だと思いますので、環境省が実施する補助事業を有効に活用し、まずは試行的に設備を導入し、省エネ、温室効果ガス削減の効果や安全性、安定性を検証するところからスタートされてはいかがでしょうか。

また、イオンでは、店舗の建設や設計担当者、施設管理の担当者など、自然冷媒宣言を実現するためのプロジェクトチームを組成しています。関係者が、今後の展開方法についてアイデアを出したり、情報を共有したりなど、定期的に会合を行っていますが、こういった取組も有効だと思います。

イオン株式会社:グループ環境・社会貢献部 部長 金丸 治子

イオン株式会社
グループ環境・社会貢献部 部長 金丸 治子

主な経歴
平成13年10月 株式会社マイカル人事部マネージャー
平成17年2月 同社CS推進部長
平成19年3月 同社CSR本部長
平成23年3月 イオン株式会社 グループお客さまサービス責任者 兼 イオンリテール株式会社 お客さまサービス部長
平成24年3月 イオン株式会社 経営人材開発委員会事務局 事務局長
平成25年9月 同社 グループ環境・社会貢献部 部長

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