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省エネ型自然冷媒機器導入企業担当者インタビュー集
(物流・倉庫)

五十嵐冷蔵株式会社五十嵐冷蔵株式会社

  • 国内では2008年の新設事業所で省エネ型自然冷媒機器を採用、東扇島第一物流センターA棟冷蔵庫で4件目、海外でも2012年に合弁会社の新設事業所に採用。
  • 省エネ型自然冷媒の導入はタイミングが大切。今回は、機器更新の時期と重なったことが導入の要因。
  • 計画時の省エネ効果は、対設備比で20%程度を目論んでいたが、現時点での削減率の実測値では25.3%に達する。
五十嵐冷蔵株式会社

五十嵐冷蔵は、1922年(大正11年)、「日米水産株式会社」として創業し、1948年(昭和23年)に現社名に変更、冷蔵倉庫事業の営業を開始し、その後、食品事業、運輸事業を加えた3事業体制を柱として現在に至っている。

-省エネ型自然冷媒機器を導入されたきっかけについて教えてください。-

省エネ型自然冷媒機器を導入の背景は主に4点あります。

第1は、弊社の企業理念である「地球温暖化防止への貢献」、「顧客満足度の最大化」における具体的な行動計画の一環として実施したものです。前者は省エネ法、フロン排出抑制法等の趣旨を踏まえた地球温暖化防止、あるいはオゾン層破壊防止への貢献であり、後者は安定した品質管理と同じ企業理念を有する顧客との価値観の共有ということです。企業理念のもと、省エネ型自然冷媒機器を積極的に導入し、国内では2008年(平成20年)の新設事業所での採用を始めとして今回事業を実施した東扇島第一物流センターで4件目となりました。また、海外でも2012年(平成24年)に弊社合弁会社の新設事業所に採用しております。

イメージ:冷蔵庫内の様子/五十嵐冷蔵株式会社機器第2は、冷却設備の更新時期が到来しつつあったことです。中長期計画では冷却設備の更新年数を20〜25年としております。今回事業を実施した東扇島第一物流センターは1991年(平成3年)開業であり、ちょうど更新時期にありました。本事業所の冷却設備はA、B棟の2系統で構成しているのですが、B棟は2013年(平成25年)に環境省補助事業として省エネ型冷媒機器を導入しましたので、本事業はその継続として実施しました。

第3は、環境省補助事業制度の活用が見込まれたことです。省エネ型自然冷媒機器のイニシャルコストは、フロン類を使用した機器に比べ、相当割高です。経済性での検討課題もありますが、フロン類を使用した機器採用の選択肢がない中で補助事業は大変ありがたい制度であったと考えています。今後も自然冷媒機器導入を計画していますので、補助事業制度が継続されることを期待しています。

第4は、省エネに対する期待です。装置産業である冷蔵倉庫業は、収入に占める電気料金の割合が大変高いという特徴があります。エネルギー価格は短期的に低下することがあるものの中長期的に上昇すると推測され、業績の安定化において省エネ対策は大きな課題です。本設備を導入することで大幅な省エネを期待しました。

-省エネ型自然冷媒機器はもうひとつの企業理念「顧客満足度の最大化」にも貢献していますか。-

弊社に対する顧客の期待は多様です。例えば、荷役業務の迅速化、倉庫衛生面への配慮、入出庫時間の自由化などが挙げられますが、中でも重視すべきはお客様の大切な商品を安定した倉庫温度の下でしっかり保管することです。今回導入した自然冷媒機器は、これまでの導入実績から信頼性が高く、お客様の満足度を最大限実現する冷却設備と考えています。

-省エネ型自然冷媒機器を導入する際に、社内決裁や経済性などにおいてどのような課題がありましたか-

イメージ:C級冷凍機/五十嵐冷蔵株式会社機器まず、社内決裁に関しては、当社理念の行動計画の一環として「冷却設備新設または更新時の省エネ型自然冷媒機器導入」が基本方針となっていますので、本事業においてもスムーズに投資の意思決定がされています。

経済性に関しては、省エネ型自然冷媒機器は、フロン類を使用した機器と比べ、建設コストが高価であるという難点があります。そこで、建設コスト増加額と対設備比省エネ目標を20%と想定した電気料金削減額とを比較することで、法定償却期間程度で概ね回収可能と試算しています。さらに補助事業の採択が期待されたことも考慮すれば、省エネ型自然冷媒機器の導入は必然であったと考えています。

-その他、安全性の課題などはありましたか。-

これまでの導入実績から見ても、信頼性は高いと判断しています。設備の安全性はお客様からお預かりした大切な商品と、従業員の健康を守る上でもっとも大切な視点です。冷却設備は複雑な機器類で構成されており、絶対に安全とは言えず、万が一の漏洩事故等も想定しなければなりません。今回導入した省エネ型自然冷媒機器は、アンモニアと二酸化炭素を冷媒として使用していますが、倉庫内を循環する冷媒は二酸化炭素ですので、万が一漏洩が発生しても保管荷へ悪影響を及ぼすことはありませんし、作業員の健康を害することもありません。人体にとって有害なアンモニアは使用量が少なく、存在場所も機械室に限定されていますので、万が一漏洩が発生しても自動感知で作動する除害装置が設置されており、安全性に問題はありません。

-設備更新に際しては、どのような工夫をされたのですか。-

既存設備の更新は新設設備にはない工夫が必要でした。設備更新はお客様からお預かりしている商品を冷却している状況下にありますので設備停止することがあってはなりませんので、実施前に新旧設備の切り替えのタイミングを何度も検証しました。また、一度で全てを更新することはできませんので、段階的な更新となります。この場合、切り替え時はどうしても一旦開放状態になりますので、系内の密閉性を保つための工夫を施さなければなりません。具体的には、系内へ空気、水分等の不純物が混入する可能性が高まりますので、これを防ぐための対策が必要でした。施工者の大変なご苦労もあって、無事に工程通り、完成することができました。

-導入したことでどのような効果がありましたか。-

第1は、省エネ効果です。冷却設備の電気使用量は、当事業所全体使用量の60%程度を占めます。計画時の省エネ効果は、対設備比で20%程度を目論んでいましたが、現時点での削減率の実測値では25.3%となっており、期待値を大幅に超えております。

冷却設備には、機器ごとに各種メーターが取り付けられており、データを詳細に把握することができます。例えば、冷凍機ごとの日々の運転時間、時間ごとの使用電力量、運転状況を示す各種計測値等ですが、これらデータを把握し、読み込むことで省エネ型自然冷媒機器導入後の省エネ効果を正確に検証することができます。 また、省エネ効果が期待値を超えている理由として、2013年(平成25年)に省エネ型自然冷媒機器を導入したB棟冷却設備と今回更新したA棟冷却設備の一体的制御するシステム導入が可能となったことも挙げられます。

イメージ:F級冷凍機/五十嵐冷蔵株式会社機器第2は、倉庫温度の安定化です。倉庫温度は荷役時の防熱扉開閉、荷物が持ち込む負荷熱等により一定範囲内で変動します。従来は冷却方式が個別であったため、管理温度を守る上で、どうしても過冷却気味にならざるを得ませんでした。更新後、冷却方式がセントラルとなり、冷却能力が高まりましたので、温度変動が限定的となり、安定的な温度保持が可能となったことも効果の1つといえます。

-電気使用量削減や安定性以外の効果はありましたか。-

フロン排出抑制法における点検などの義務が無くなったことで、精神的な縛りが減ったというのは正直なところですね。もちろん、ノンフロン化が実現できていない機器があり、それについては当然ながらフロン排出抑制法を遵守し、その趣旨に沿って漏洩の未然防止に努めていきます。

また、お客様も会社としてIS014001などの環境認証を取得したり、企業理念として地球環境保全を掲げたりされている場合があります。そのような場合、取引先である弊社に対しても当然、同様の理念を求めることになり、顧客から環境に配慮していないとの理由で営業面においてマイナスとならないようにすることは大切な視点だと思います。

-省エネ型自然冷媒機器の導入したことについてどのようにPRしていますか。-

社内に対して省エネ機器導入による省エネ効果を毎月データ開示しています。社員の省エネ意識を醸成していくことは大切です。いくら省エネ機器を導入しても、エネルギーを使用する部門の従業員の意識を高めなければ、効率的な省エネは実現できないと感じています。

その他、冷蔵倉庫業の業界団体の1つである東京冷蔵倉庫協会の技術委員会などで導入したことによる成果も開示しています。同業の類似部署の中では、意識の共有といいますか、同じ目線で話をすることはできると思います。ひとつの事例として、成果があったことを共有すれば、それぞれの会社に持ち帰り、会社の経営層に働きかけるかもしれません。PRではありませんが、そういった活動は必要と感じています。

-自然冷媒機器の導入を検討している事業者へアドバイスがあればお聞かせください-

やはりタイミングが大切だと思います。今回の省エネ型自然冷媒機器の導入は、機器更新の時期と重なったことが導入の要因です。 冷却設備更新費用は大変高額なものですので、経済性の観点も重要です。いかに地球環境保全が企業の責務であっても、設備の減価償却が終わっていなかったり、健全に稼動していたりする段階で設備を更新することは妥当性を欠くことになります。最適なタイミングは減価償却期間を過ぎさらに一定期間経過した後となり、弊社ではこの期間を設備稼働から20年〜25年を目安としています。

また、タイミングを図る上で大切なことは、更新時期を中長期計画として捉えることです。既存設備のオーバーホール、制御系等の保全工事等に関してもその計画を念頭に必要性を判断することが維持管理費の削減に繋がると思います。

五十嵐冷蔵株式会社:佐藤武敏

五十嵐冷蔵株式会社
施設管理部課長 佐藤武敏

昭和52年入社。平成3年東扇島第一物流センター開業に伴い同センターにて設備全般の維持管理業務に従事。現在本社勤務にて全事業所の設備保守管理業務に従事し、冷却設備(自然冷媒機器)更新計画に携わり現在に至る。

五十嵐冷蔵株式会社:横井淳一

東扇島第一物流センター所長 横井淳一

平成3年入社。平成15年3月東扇島第一物流センター着任。
平成21年3月、同センター課長代理。平成25年3月、同センター所長。

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