放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成30年度版、 HTML形式)

第2章 放射線による被ばく
2.4 線量測定と計算

検出限界の考え方(3σ法)

検出限界の考え方(3σ法)
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一般的にサーベイメータ等でバックグラウンドの放射能や線量率を測定する場合、測定条件のわずかな変化が計測値に影響を与えます。そのため信頼できる計測結果を得るためには、何回か繰り返し測定を行う必要があります。
繰り返し計測した値をヒストグラムにすると、正規分布に近い形となります。こうしたバックグラウンド計測値の揺らぎの中で試料を測定した際に、統計的に有意な計測値として検出しうる最低量のことを検出限界値(検出下限値)といいます。
代表的な検出限界値の考え方である3σ法では、バックグラウンド計測値の平均値に標準偏差の3倍を加えた値を検出限界値と定義します。これは、計測値が3σよりも大きいとき、バックグラウンド計測値がゆらぎによって3σを超える確率が約0.1%であることによります。
3σ法のほかにCurrie法という考え方もあります。この考え方では、検出限界値付近の値を持つサンプルを不検出と判定する確率を減らすため、サンプルの計測値のゆらぎも考慮して 検出限界値を定義しています。

参考資料
・ Gordon Gilmore, John D.Hemingway (著), 米沢 仲四郎 ら邦訳,実用γ線測定ハンドブック,日刊工業新聞社(2002)
・ 上本道久,検出限界と定量下限の考え方,ぶんせき,2010 5, 216-221 (2010)

本資料への収録日:平成31年3月31日

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