一般的にサーベイメータ等でバックグラウンドの放射能や線量率を測定する場合、測定条件のわずかな変化が計測値に影響を与えます。そのため信頼できる計測結果を得るためには、何回か繰り返し測定を行う必要があります。
繰り返し計測した値をヒストグラムにすると、正規分布に近い形となります。こうしたバックグラウンド計測値の揺らぎの中で試料を測定した際に、統計的に有意な計測値として検出しうる最低量のことを検出限界値(検出下限値)といいます。
代表的な検出限界値の考え方である3σ法では、バックグラウンド計測値の平均値に標準偏差の3倍を加えた値を検出限界値と定義します。これは、計測値が3σよりも大きいとき、バックグラウンド計測値がゆらぎによって3σを超える確率が約0.1%であることによります。
3σ法のほかにCurrie法という考え方もあります。この考え方では、検出限界近くの測定値を「偽陰性」、すなわち誤って不検出(ND)と判断する確率を減らすため、サンプル測定値の揺らぎも考慮して検出下限値を定めます。
参考資料
・ Gordon Gilmore, John D.Hemingway (著), 米沢 仲四郎 ら邦訳,実用γ線測定ハンドブック,日刊工業新聞社(2002)
・ 上本道久,検出限界と定量下限の考え方,ぶんせき,2010 5, 216-221 (2010)
本資料への収録日:2019年3月31日
改訂日:2022年3月31日