受賞者紹介

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門

エコな地域循環共生圏の担い手作り

一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構

受賞者紹介

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門

エコな地域循環共生圏の担い手作り

一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構

全国各地のプレイヤーを支援する『地域新電力インキュベーションプログラム』を開発して、負担をシェアするネットワークを構築。エネルギー地産地消による経済循環を軸に、さまざまなローカルビジネスの可能性を拡げています。まさに地域循環共生圏が目指す持続可能な地域づくりを実現するためのチャレンジです。

*グッドライフアワードは、環境省が提唱する地域循環共生圏の理念を具現化する取組を表彰し認知を広げるためのプロジェクトです。詳しくはこちらをご覧ください。

どんな活動?

地域循環共生圏の担い手を支援するネットワーク

一般社団法人ローカルグッド創成支援機構(以下、ローカルグッド)は、地域の再生や活性化のためにローカルビジネスにチャレンジする地域のプレイヤーを支援する活動を行っています。

まず、大きな軸となっているのが地域資源の再生可能エネルギーを活用して電力小売事業に取り組むベンチャー事業者を支援することです。電力小売事業を立ち上げて運営していくためには、さまざまなノウハウや人材、そして電力需給を管理するアプリケーションなどに大きな投資が必要となります。地域の意欲ある事業者が構想しても、実現への道は容易ではありません。そこで、ローカルグッドでは人材育成やノウハウを共有し、情報交換していくための共通のルールと仕組みである『地域新電力インキュベーションプログラム』を開発して、会員となった事業者に提供しています。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構地域新電力インキュベーションプログラムの概要

現在、地域新電力事業を手がける会員は全部で14社。第6回グッドライフアワードで環境大臣賞を受賞した鳥取県米子市の『ローカルエナジー株式会社』のほか、機構創設の計画時から大きな役割を果たしてきた『須賀川瓦斯株式会社』(福島県)、また『一般社団法人東松島みらいとし機構』(宮城県)、『ローカルでんき株式会社』(秋田県)、『株式会社やまがた新電力』(山形県)、『加賀市総合サービス株式会社』(石川県)、『秩父新電力株式会社』(埼玉県)、『葛尾創生電力株式会社』(福島県)などが参加しています。

さらに、発電事業開発や新電力事業運営のノウハウをもつ『荏原環境プラント株式会社』、『清水建設株式会社』、『一般社団法人小水力開発支援協会』などが賛助会員として参加。原則として毎月1回程度の定例会(2020年はオンライン中心)を開催して、地域新電力の運営についての具体的な情報交換はもちろん、地域循環共生圏確立に向けて、志をともにするメンバーによる意見交換などを行っています。

地域新電力にとどまらず地域活性化のためのベンチャー起業を支援する『インキュベーションプログラム』の策定に着手。会員からもさまざまなアイデアを募りながら、プロジェクト全体のさらなる発展を目指しています。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構須賀川瓦斯株式会社

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構第6回グッドライフアワード環境大臣賞を受賞した米子市のローカルエナジー。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構一般社団法人東松島みらいとし機構

活動のきっかけは?

志と行動力のあるキーパーソンが
結びついて活動がスタート

ローカルグッドが設立されたのは2014年9月のことでした。事務局長の青山英明さんは、一般企業(荏原製作所)でゴミ発電開発などに携わっていましたが、東日本大震災をきっかけに「エネルギー地産地消を軸とした持続可能な地域づくり」がより重要な役割を果たすことを痛感。ローカルグッド代表理事であり、当時は東松島みらいとし機構の代表理事でもあった大学院大学至善館 理事・副学長の大滝精一さんや、須賀川瓦斯社長の橋本直子さんなど、早くから地域新電力の可能性に着目して取り組みを始めていた方々との出会いがあり、前職の荏原製作所からの協力も得て、ローカルグッドの設立が実現しました。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構代表理事の大滝精一さん。

青山さんはドイツで地方自治体が主体となってエネルギー地産地消などを実践している『シュタットベルケ』を視察する機会を得て勇気づけられたとのこと。ローカルグッドとその会員事業者の取り組みは、まさに日本版シュタットベルケといえる進展を見せているのです。

電力小売事業をはじめ、ローカルグッド(地域をよくするため)の取組は、その地域で暮らす人たちが手がけるからこそ得られたベネフィットが地域の「元気」になっていきます。とはいえ、実際に電力小売事業を手がけようとすると「人材がボトルネックになることが多かった」と青山さん。志を同じくする全国各地のキーパーソンとの出会いを重ねる中で、自らが当事者になるのではなく、各地の意欲ある人たちが有意義にネットワークを構築できる交流組織としてローカルグッドの設立へと進んでいったのです。

今回のグッドライフアワード環境大臣賞受賞とこのレポートの取材後、2020年7月には東京都などで再生可能エネルギーの推進に取り組んでいた稲垣憲治さんがローカルグッドの新事務局長に就任。前事務局長の青山さんは自らが企業した『株式会社まち未来製作所』の代表として、再生可能エネルギー地産地消を軸として地域課題解決を目指す地域ビジネスの推進に注力しています。ローカルグッドの理念で繫がった人のネットワークが、地域新電力事業の枠組みを超え、さらに大きく進展しようとしています。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構バイオマス発電の電力を調達している米子市クリーンセンター(ローカルエナジー)。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構須賀川瓦斯の太陽光発電パネル。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構やまがた新電力の風力発電所。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構東松島みらいとし機構の受変電設備。

成功のポイントは?

シェア。オープン。Do It Together!

新電力事業は競争の激しい世界でもありますが、ローカルグッド会員各社の販売電力量を合計すると、小売電気事業者の中で全国50位以内に入るところまで拡大してきました。今まで「電気代」として地域から流出していた数十億円の資金が、地域で循環するようになったことを意味します。

ローカルグッドの取り組みが大きく広がってきたことには、ネットワークを構成する各事業者のキーパーソンの熱意が支えとなってきいたこととともに、ローカルグッドが掲げる3つのポリシーが有効に機能しているからといえるでしょう。

①シェア
②オープン
③Do It Together(DIT=一緒に行う)

これが3つのポリシーです。ひとつ目のシェアは、事業のスタートや継続のために必要なシステムやサービスをシェアすることで競争力を高めるというアイデアです。たとえば、電力の需給管理や顧客管理のシステムも、個別の地域ビジネス事業者が調達するには負担が大きく、何を選べばいいかわからないといった現実があり「せっかく地域ビジネスを立ち上げようとしていても、結局は地域外の大手事業者に丸投げで発注するような事例が多い」(青山さん)といいます。ローカルグッドで会員が一丸となってシェアすることで負担を軽減。会員同士で電力を融通し合うプライベートマーケットの設置などにも取り組んでいます。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構需給管理システムの例。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構人材育成の研修風景。

2つ目のポリシーが「オープン」であることです。会員はそれぞれの地域内でビジネスを行っているので、会員同士が競合関係になることはあまりありません。それぞれがうまく展開できている事業のアイデアやノウハウをオープンにして共存共栄を進めていこうとしています。

3つ目が「Do It Together」、システムやノウハウのシェアを通じて複数の事業者が一緒に発展していくことを大切にしています。地域ベンチャーである新電力会社が連携していても、事業規模は大手の新電力会社には及びません。それぞれの会員は急速な規模の拡大だけを目指すのではなく、地域と自社の特性を活かしたサービスと競争力の拡大を目指しています。

会員合計の月次電力販売量推移 第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構
会員合計の月次地域内製化(経済効果)額推移 第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構

レポート!

ローカルグッドに参加して迷走から救われた

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門 一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構毎月の定例会で情報交換などを実施しています。

2020年2月、東京で開催された定例会を取材させていただきました。定例会には通常、全国各地から会員の代表者が集まり、経営やマーケット情報、新技術など専門分野、需給管理オペレーターの情報交換や制度についての打ち合わせ、全体会議、そして有識者を招いて開催される勉強会という三部構成で行われます。現在は感染症への配慮から、オンラインで実施しています。

取材した定例会議では、各参加者より近況報告がありました。まず須賀川瓦斯の橋本社長は「電力小売契約の目標としてきた1万件の達成が間近」であることを報告、また地域新電力の立ち上げを目指して参加していた加賀市総合サービスの代表者からは「加賀市がゼロカーボンシティ宣言を行い、電力事業のスタートのメドが立った」など、それぞれに意欲的な活動の様子が共有されました。

何人もの代表者が共通して話してくれたのは、地域新電力という事業をスタートして継続、発展させていくために「ローカルグッドというネットワークの存在でチャレンジが進展した」ということでした。ローカルグッドでは会員となる地域エネルギー会社の増加と会員の事業規模を拡大し、共通のビジョンをもった協力企業などと連携を進めることで、全体として新電力業界の10位以内となることを目指しています。

新たに会員となるためには、まず「ローカルグッド=地域をよくする」というコンセプトや理念を共有できるプロジェクトであることが不可欠で、「資金とともに、代表者や担当者の意欲が十分であること」(青山さん)が条件で、会員による全体会議での合意と理事会での承認が必要です。

「新電力事業は地域活性化を目指す自治体や団体にとっては本格的な自立エンジンとなるもの」(大滝さん)であり、「自治体にとってはやらないよりはやったほうがいい取り組み」(青山さん)です。地域資源を地元で活かし、さまざまなローカルビジネスや地域振興に繋げていく。まさに『地域循環共生圏』の理念に合致したローカルグッドの取り組みとネットワークは、今後ますます全国各地に広がっていくことでしょう。

取組紹介

『一般社団法人ローカルグッド創成支援機構』ウェブサイト

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