受賞者紹介

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門

結の森プロジェクト

コクヨ株式会社

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト

受賞者紹介

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門

結の森プロジェクト

コクヨ株式会社

高知県西部の四万十川中流域に位置する四万十町の森林組合、自治体、学校などと連携した取組です。適切な間伐を支援して広大な民有林の保全に貢献。FSC認証を取得した間伐材を活用した文具を商品化して、地元の経済を活性化する「環境と経済の好循環」を具現化する長期間の活動を継続しています。

*グッドライフアワードは、環境省が提唱する地域循環共生圏の理念を具現化する取組を表彰し認知を広げるためのプロジェクトです。詳しくはこちらをご覧ください。

どんな活動?

四万十川流域の自治体や
森林組合と連携して森林保全に貢献

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト

放置された人工林の荒廃が日本各地で深刻な課題となっています。木材生産のために植林された森は、間伐などの手入れを続けていかないと、過密によって下草などが生育せず土壌がむき出しとなり、保水力を失って地滑りや洪水などの災害の原因ともなってしまいます。

コクヨ株式会社の『結の森』プロジェクトでは、「最後の清流」として知られる高知県の四万十川流域をフィールドに活動している。四万十町森林組合と提携して、定期的な間伐支援とともに、間伐材を利用した商品ブランドを展開。森林環境を適切に保全し、経済的にも持続継続可能な森林であることを証明するFSC®認証を取得(FSC® C004748)するために必要なモニタリング調査を、四万十町や四万十高校と連携して実施しています。

人工林の間伐には国等の助成がありますが、収益が出る木材になるまでには長い年月がかかり、山主の負担が大きいため手入れが行き届かず放置林が増えているという現状があります。結の森プロジェクトではこの費用の一部をコクヨが協賛します。そして切り出された間伐材を利用してオフィス家具などの製品として販売することで、山主や森林組合、そしてコクヨの負担を軽減するスキームを構築。適切な管理を行って森林の荒廃を防ぎながら、地域経済にも貢献する環境と経済の好循環を生み出すことを目指しています。

結の森は高知県四万十町大正地区を中心とした四万十川流域に広がる民有林で、面積100ヘクタールからスタートし、現在は5,425ヘクタールまで拡大しています(2020年10月現在)。地元四万十高校の生徒たちも参加して、例年5月には森に抱かれた川での「清流(水質)調査」と、11月には定期的な森林モニタリングを定めたFCS認証に対応するための「植生調査」を実施しています。

2007年から、コクヨ社員や協力会社の方が参加する体験ツアーを開催してきました。多くの社員に活動の意義を伝え、森林保全への理解を深める機会を提供するなど、地に足の着いたCSR活動としてプロジェクトが続けられているのです。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト取材時の清流調査にて。調査結果は高校生が集まったみなさんに説明、高校生にとって貴重なプレゼンテーション体験の場にもなっています。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト植生調査の様子。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト2017年のツアー参加者のみなさん。

活動のきっかけは?

森林資源を活用してきた企業として有意義な取組を

結の森プロジェクトは2006年に正式にスタートしました。きっかけとなったのは、1998年頃から合併前の大正町森林組合と間伐材利用の業務提携を始めたことでした。企業のCSR活動で森林保全を目指す際には植林を行う例が多いですが、当時からコクヨのCSRを担当し、四万十の森にも足繁く通った担当者の齊藤申一さんは「日本の森林保全のためには計画的な間伐を中心とした、継続的な活動が不可欠」であることを痛感。会社側と「必ず10年以上継続する」という約束も取り付けて、プロジェクトのスタートを実現させました。

文具メーカーであるコクヨは森林資源である木材が原料となる紙などの製品を支えとしてきた企業です。原料には輸入木材も使います。そもそも、日本の人工林が荒廃してきた原因は、安価で大量に輸入される海外産の木材に圧迫されて、日本国内の木材価格が低迷し、森を維持することが難しくなってきたことにあります。森林によって成長してきた企業として、間伐の支援による森林保全とともに、間伐材の活用を促進するための仕組みとして継続する。それが結の森プロジェクトのコンセプトです。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクトプロジェクト推進のキーパーソンであるコクヨ差す手ナびりティ推進室環境ユニット長の齊藤申一さん。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト「結の森」看板の除幕式(2006年)

成功のポイントは?

活動を継続することで地域と企業の信頼関係が強固に

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト結の森ブランドのアイテムも!

もともと、結の森プロジェクトの場所として四万十町(当時は大正町)の森を選んだのは、森林組合が間伐材利用に前向きで、最終製品まで仕上げることができる集成材工場があったことが大きな理由となりました。現在でも四万十町森林組合の集成材工場では、コクヨ、カウネットなどコクヨグループ各社が販売する間伐材利用商品や、その材料となる集成材を製造しています。

間伐されたスギやヒノキなどは、そのまま無垢材として利用されるほか、薄く断裁してから接合して集成材に加工することで、大きな節など質の悪い部分を取り除いた上で、反りなどが起こりにくい利用価値の高い集成材に加工されます。割れなどのトラブルを防ぐためにしっかりと乾燥させることが必要であるなど、集成材の製造は手間がかかる作業ですが、四万十町森林組合の集成材工場では24時間体制で一週間しっかりと乾燥工程を行うなど、誇り高い体制を確立している国内でも数少ない工場です。

加えて文具やオフィス家具のトップメーカーとしてコクヨ自身の厳しい品質管理が徹底されています。間伐材利用商品の品質を高めるという点ではメーカーとしてのコクヨと、集成材工場、つまり森林組合のご担当者は真剣勝負となります。そして、長年にわたり真剣勝負を続けてきたからこそ、森林組合をはじめとする四万十町の人々と、齊藤さんをはじめとするコクヨの間には強固な信頼関係が構築できたともいえるでしょう。培われた信頼関係は、さらなる活動継続の原動力ともなっています。

プロジェクトの具体的な計画を策定にあたっては、森林組合と何度も討議を重ね、四万十高校の生徒をはじめとする地域の方々が参加する枠組が作られました。コクヨとしても、間伐材利用商品の付加価値を高め、たとえば各地の自治体や公共施設などでニーズの高い『地域材利用カウンター』を開発するなどの企業努力を重ねています。地域の森林保全に支援の手を差し伸べるだけでなく、リアルなビジネスモデルとしても動かすことで「環境と経済の好循環」が生まれ、地域の活性化にも繫がっています。そして、その積み重ねがさらに深い信頼関係となっていくのです。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト四万十町森林組合の集成材工場。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクトカウネットの「結の森」商品シリーズの人気商品。

レポート!

四万十町役場にはプロジェクトから生まれた地域材利用カウンターが!

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト四万十町役場の間伐材カウンター。

現地取材では、まず2014年に完成した四万十町役場を訪ねました。鉄筋コンクリートと木造の混構造でそれぞれ3階建ての東西庁舎が、JRの線路をまたぐ自由通路で繫がるユニークな構造です。庁舎には木質化された外壁や内装などにもふんだんに町有林の地元材を使用。良質な木材を産出する町のシンボルともなっています。また、庁舎内の受付カウンター、町議会の議場で使われている机などにも利用されています。取材時にはグッドライフアワード実行委員でもある環境省中井徳太郎環境事務次官が視察で同行し、四万十町の中尾博憲町長と懇談を行いました。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト中尾町長と中井次官の懇談。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト間伐材デスクなどが採用された木の香りいっぱいの町議会議場。

次に、四万十高校近くの清流へ移動し、四万十高校生徒のみなさんによる清流基準調査を取材しました。浅瀬で水生昆虫などを採取して、その種類や数によって水質を判定する調査です。例年は5月ごろに行う調査なのですが、今年は新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言などを受けて調査を延期、取材に伺ったのは8月下旬となっていたため、いつもより採取数は少なかったようですが、地元の高校生たちが真摯に活動に取り組む様子を知ることができました。

第7回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門 結の森プロジェクト清流基準調査の様子。

森林組合では集成材工場を見学し、結の森の現地で実際の間伐作業も拝見しました。間伐作業の現場に詳しい、という人は多くないでしょう。今回取材した結の森の間伐では、向かい合った山の斜面を利用して、あたかもスキー場のロープウェイのような架線を使って切り倒した木を作業道まで引き上げます。もちろん枝葉が付いたままなのですが、ハーベスタと呼ばれるヘッドを付けた重機で、一気に枝を払い、決められた長さの材木に切り揃えられていくのです。グッドライフアワード取材チームでは、今までにも何度か間伐作業の現場を見る機会がありましたが、ここまで大規模な間伐作業を目の当たりにするのは初めてのことでした。

森林組合のご担当者に伺うと、この現場ではおよそ60町歩(約59万5000平方メートル)の間伐を4人ほどで作業しており、四万十町森林組合では同様に6班の体制で、年間約300ヘクタールの間伐作業を行っているそうです。大規模な林業架線を施工できる技術者は全国でも少なくなってきているそうです。整然と作業が展開する集成材工場の様子も興味深かった上に、間伐現場の規模を目の当たりにして、このプロジェクトの真価を実感できた思いです。

翌日は齊藤さんをはじめとするコクヨの担当者が高知県庁を訪問し、高知県から授与される『CO2吸収証書』を受け取る様子も取材しました。CO2吸収証書とは、「環境先進企業との協働の森づくり事業」の協定を締結した企業に高知県が発行するもので、結の森プロジェクト(コクヨ)では2008年から毎年証書を得ています。

プロジェクト名でもある「結」とは、かつての日本の農山村で、地域の人が助け合って田植えなどの共同作業を行う習慣を意味しています。良質な木材や集成材を生み出す地域の力と、それを商品としてブランド化して経済循環を生み出す企業の力。結の森プロジェクトはまさにコクヨと四万十町の人たちが「結」の力を発揮するプロジェクトであることを、濃密に実感できる取材となりました。

取組紹介

コクヨ株式会社『結の森』プロジェクト紹介サイト

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