大気環境・自動車対策
黄砂対策
・黄砂(Dust and sandstorm:DSS)とは?
黄砂は、ユーラシア大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原など乾燥・半乾燥地域で強風によって発生する砂塵嵐により数千メートルの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が、偏西風に乗って中国・韓国・日本などに飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象です。また、そのような土壌・鉱物粒子そのものを黄砂と呼ぶこともあります。

黄砂は、発生源地域周辺の農業生産や風下域の生活環境にしばしば重大な被害を与えるばかりではなく、大気中に浮遊する黄砂粒子やそれを核とした雲の発生・降水過程を通して地球全体の気候に影響を及ぼしています。また、海面へも降下して、海洋表層のプランクトンへのミネラル分の供給を通して海洋の生態系にも大きな影響を与えていると考えられています。

・黄砂の発生・輸送機構
黄砂の発生・発達、日本までの輸送、輸送途中における粒子の物理的・化学的な変化は、気象条件や粒子の性質などの要因に左右されています。
まず、黄砂の発生のためには発生源の地表が乾燥しており、強い風が吹く必要があります。いったん舞い上がった黄砂粒子は、大気上層の強風に乗って風下域に輸送され、その途中で重力によって沈降したり、降水に伴って地表へ落下したりしますが、黄砂の中でも比較的小さな粒子(直径が10 μm 程度以下)は上空の風によって遠くまで運ばれます。
これらのプロセスを経た上で、北東アジアを起源とする黄砂の一部は、北太平洋を横断し北米大陸まで到達していることが、衛星からの観測や化学輸送モデルを用いたシミュレーションによって明らかになっています。

・飛来する黄砂粒子の性質
黄砂粒子には、石英や長石などの造岩鉱物や雲母、カオリナイト、緑泥石などの粘土鉱物が多く含まれています。日本に到達する黄砂の粒径の質量密度分布は、直径 4 μm 付近にピークを持っており、細かい砂の粒径(20 ~ 200 μm )と比較すると、黄砂の粒径が小さいことが分かります。
黄砂粒子のイオン成分分析を行うと、土壌起源ではないと考えられるアンモニウムイオンや硫酸イオン、硝酸イオンなども検出されます。そのため、輸送途中で、人為起源の大気汚染物質を取り込んで変質している可能性も示唆されています。

黄砂粒子の電子顕微鏡写真
(富山県・立山室堂平の積雪中のダスト粒子より(撮影:李 静敏 氏(名古屋大学)))
次に、黄砂の飛来とその影響について紹介します。
また、関連情報として、日本に飛来した過去の黄砂飛来状況、環境省及び国内研究機関等による取組、国際協力についても紹介しています。