水・土壌・地盤・海洋環境の保全

マイクロプラスチックの生態系影響

令和4年度海洋プラスチックごみによる生物・生態系影響把握等業務

生物・生態系へのリスク評価手法の検討

 現在、世界全体で年間数百万トン超えるプラスチックごみが海洋に流出していると推計されています。このため、マイクロプラスチック(以下、「MPs」という)を含む海洋プラスチックごみによる生物・生態系への影響や地球規模での海洋プラスチックごみ汚染による生活環境、漁業、観光等への悪影響が懸念され、国連をはじめとする様々な国際会議において、重要かつ喫緊の課題として議論が行われています。
 MPsによる生物・生態系影響を捉える上では、MPs粒子そのものに加え、MPsに含まれる添加剤や環境中からMPsに吸着した化学物質も考慮する必要があります。さらにそれらの影響について定量的なリスク評価を行うには、MPsや関係する化学物質の存在量や挙動の把握、MPs等による生物影響の定量的把握とそのための信頼性評価、曝露と影響を踏まえたリスクの評価など、各段階にさまざまな課題があります。
 本業務では、関係する分野の専門家に参画の下で、海洋を含む水環境中に存在するMPsがそこに生息する生物に及ぼすリスクを定量的に評価するための手法の確立を目指して、まずはMPsの粒子が水生生物に及ぼす影響の検討を行いました。




令和4年度の目標

有害性評価分科会における検討

令和4年度_有害性評価分科会の検討結果報告

 MPsの生態影響に関する学術研究は、毎年多くの論文等が発表されていますが、共通の試験方法等がなく、様々な方法を用いた試験結果が公表されており、文献ごとの比較や評価が難しくなっています。このような状況の中で、注目すべき研究について、有害性試験に必要な毒性データ収集等の要件、信頼性評価の観点等について検討を行いました。

令和4年度_有害性評価分科会の検討結果報告

ばく露等評価分科会における検討

令和4年度_ばく露等評価分科会の検討結果報告

 実環境(海洋表層)で採取されるMPsの特性(粒径、素材、形状、濃度単位等)と生物影響を把握するために有害性試験で用いられるMPsの特性(粒径、素材、形状、濃度単位等)が異なり、両者を比較することは現状では困難です。
 そこで、ばく露等評価分科会では、最新の研究動向や文献調査を踏まえ、実環境(海洋表層)で採取されるMPsの濃度と有害性試験の影響濃度を比較する際の考え方を整理することを目的とし、検討を行いました。

令和4年度_ばく露等評価分科会の検討結果報告

リスク評価検討委員会における検討

リスク評価検討委員会における検討

 有害性、ばく露等の評価を踏まえ、MPsの粒子影響における生物・生態系へのリスクについて、評価における粒径のレンジや、粒径のギャップ等について、評価手法の精緻化及びその手法を踏まえた評価の試行を行いました。

令和4年度の成果_図表まとめ