水・土壌・地盤・海洋環境の保全

土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知)

※このページは、平成14年法制定当時の土壌汚染対策法について紹介したものです。現行の土壌汚染対策法につきましては、こちらを御覧ください。

近年、有害物質による土壌汚染事例の判明件数の増加が著しく、土壌汚染による健康影響の懸念や対策の確立への社会的要請が強まっている状況を踏まえ、国民の安全と安心の確保を図るため、土壌汚染の状況の把握、土壌汚染による人の健康被害の防止に関する措置等の土壌汚染対策を実施することを内容とする「土壌汚染対策法」が、平成14年5月22日(水)に成立し、29日(水)公布された。

土壌汚染対策法本文 [PDF 161KB]

I 背景及び経緯

土壌が有害物質により汚染されると、その汚染された土壌を直接摂取したり、汚染された土壌から有害物質が溶け出した地下水を飲用すること等により人の健康に影響を及ぼすおそれがある。

こうした土壌汚染は、これまで明らかになることが少なかったが、近年、企業の工場跡地等の再開発等に伴い、重金属、揮発性有機化合物等による土壌汚染が顕在化してきている。特に最近における汚染事例の判明件数の増加は著しく、ここ数年で新たに判明した土壌汚染の事例数は、高い水準で推移してきている。

これらの有害物質による土壌汚染は、放置すれば人の健康に影響を及ぼすことが懸念されるが、土壌汚染対策に関する法制度がないことから、土壌汚染による人の健康への影響の懸念や対策の確立への社会的要請が強まっており、このような状況を踏まえ、環境省では、平成12年12月から学識経験者から成る「土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会」において、土壌環境保全対策のために必要な制度の在り方について調査・検討を進めてきた。同検討会では平成 13年9月に中間的な取りまとめが行われ、これを受けて、同年10月に環境大臣から中央環境審議会に対して「今後の土壌環境保全対策の在り方について」を諮問し、6回にわたる小委員会における調査審議及びパブリックコメント手続を経て、本年1月25日に同審議会から答申がなされたところである。この答申を踏まえ法案を取りまとめ、2月15日に第154回通常国会へ提出、5月22日に成立、同月29日に公布された。

II 法律の概要

1 目的

土壌汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護する。

2 土壌汚染状況調査

土壌汚染の状況を把握するため、汚染の可能性のある土地について、一定の契機をとらえて調査を行う。

(1)使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の調査
使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の所有者等は、当該土地の土壌汚染の状況について、環境大臣が指定する者(指定調査機関)に調査させて、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。(土地利用の方法からみて人の健康被害が生ずるおそれがない旨の都道府県知事の確認を受けたときを除く。)
※ 有害物質使用特定施設=有害物質の製造、使用又は処理をする水質汚濁防止法の特定施設
(2)土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査
都道府県知事は、土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれがある土地があると認めるときは、当該土地の土壌汚染の状況について、当該土地の所有者等に対し、指定調査機関に調査させて、その結果を報告すべきことを命ずることができる。

3 指定区域の指定・台帳の調製

都道府県知事は、土壌の汚染状態が基準に適合しない土地については、その区域を指定区域として指定・公示するとともに、指定区域の台帳を調製し、閲覧に供する。

4 土壌汚染による健康被害の防止措置

(1)汚染の除去等の措置命令
[1] 都道府県知事は、指定区域内の土地の土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれがあると認めるときは、当該土地の所有者等に対し、汚染の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。
[2] 汚染原因者が明らかな場合であって、汚染原因者に措置を講じさせることにつき土地の所有者等に異議がないときは、[1]によらず、都道府県知事は、汚染原因者に対し、汚染の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。
※ 汚染の除去等の措置=立入制限・覆土・舗装(直接摂取の場合)、汚染土壌の封じ込め、浄化等
(2)汚染の除去等の措置に要した費用の請求
(1)[1]の命令を受けて土地の所有者等が汚染の除去等の措置を講じたときは、汚染原因者に対し、これに要した費用を請求することができる。
(3)土地の形質変更の届出及び計画変更命令
指定区域内において土地の形質変更をしようとする者は、都道府県知事に届け出なければならない。都道府県知事は、その施行方法が基準に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、施行方法に関する計画の変更を命ずることができる。

5 指定調査機関

土壌汚染状況調査の信頼性を確保するため、技術的能力を有する調査事業者をその申請により環境大臣が指定調査機関として指定する。

6 指定支援法人

土壌汚染対策の円滑な推進を図るため、汚染の除去等の措置を講ずる者に対する助成、土壌汚染状況調査等についての助言、普及啓発等の業務を行う指定支援法人に関し、基金の設置等の必要な事項を定める。

  • 報告徴収及び立入検査等の雑則、所要の罰則を定める。
  • 施行期日は、公布の日から起算して9月を超えない範囲内で政令で定める日とする。

 参考

平成14年11月7日報道発表資料

「土壌汚染対策法施行令」及び「土壌汚染対策法の施行期日を定める政令」について

平成14年12月25日報道発表資料

「土壌汚染対策法施行規則」の制定について

土壌汚染対策法に係る条文

土壌汚染対策法に基づく告示

土壌汚染対策法の施行通知等

環境基準に係る通知

その他

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