報道発表資料
2023年10月20日
- 保健対策
残留性有機汚染物質検討委員会第19回会合(POPRC19)の結果について
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約による規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第19回会合が、2023年10月9日~同年10月13日(現地時間)の日程で、イタリア共和国・ローマで開催されました。
本会合では、中鎖塩素化パラフィン(炭素数14~17までのものであって、塩素の含有量が全重量の45%以上のものに限る。)並びに長鎖ペルフルオロカルボン酸(LC-PFCA)とその塩及びLC-PFCA関連物質について、条約上の廃絶対象物質(附属書A)への追加を締約国会議に勧告することが決定されました。
また、クロルピリホスについて、リスク管理に関する評価を検討することが決定されました。
本会合では、中鎖塩素化パラフィン(炭素数14~17までのものであって、塩素の含有量が全重量の45%以上のものに限る。)並びに長鎖ペルフルオロカルボン酸(LC-PFCA)とその塩及びLC-PFCA関連物質について、条約上の廃絶対象物質(附属書A)への追加を締約国会議に勧告することが決定されました。
また、クロルピリホスについて、リスク管理に関する評価を検討することが決定されました。
背景
「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(以下「POPs条約」という。)」は、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の製造及び使用の廃絶や制限、その意図的でない生成による放出の削減等に関する条約です。
同条約による規制対象物質への追加について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC。加盟国の31人の専門家から構成。)においては、加盟国から提案された物質について、①スクリーニング、②危険性に関する詳細検討(リスクプロファイル)、③リスク管理に関する評価の検討の3段階のプロセスを経て、締約国会議(COP)に勧告します。
COPでの決定の後、各加盟国は、対象物質について製造、使用等を規制することになります。我が国では、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)」等によって規制します。
同条約による規制対象物質への追加について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC。加盟国の31人の専門家から構成。)においては、加盟国から提案された物質について、①スクリーニング、②危険性に関する詳細検討(リスクプロファイル)、③リスク管理に関する評価の検討の3段階のプロセスを経て、締約国会議(COP)に勧告します。
COPでの決定の後、各加盟国は、対象物質について製造、使用等を規制することになります。我が国では、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)」等によって規制します。
今回の会合での決定内容
POPRCの第19回会合(POPRC19)は、本年10月9日~13日にイタリア共和国・ローマで開催され、我が国からは、専門家として金原和秀静岡大学大学院教授が、また、オブザーバーとして環境省・経済産業省の担当官等が出席しました。
POPRC19で決定した内容は、以下のとおりです。
POPRC19で決定した内容は、以下のとおりです。
(1)条約対象物質への追加
①中鎖塩素化パラフィン(MCCP。炭素数14~17までのものであって、塩素の含有量が全重量の45%以上のものに限る。)(提案国:英国)
【主な用途】金属加工油剤・難燃性樹脂原料等
リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、自動車、社会インフラ向け電気電子機器、医療機器に用いる金属加工油剤や修理用部品等のためのMCCPの使用(加工プロセスを含む。)を適用除外とした上で、廃絶対象物質(附属書A)に追加することにつき、次回締約国会議(COP12。2025年4~5月開催予定。)に勧告することが決定されました。
なお、規制の対象となるMCCPの定義の範囲については議論を継続することとなりました。
②長鎖ペルフルオロカルボン酸(LC-PFCA)※とその塩及びLC-PFCA関連物質(提案国:カナダ)
※ 炭素数:9~21
【主な用途】フッ素ポリマー加工助剤、熱媒体等
リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、信頼性試験や温度管理用の不活性フッ素液体、電気電子機器の閉鎖系で用いる熱媒体及び熱媒体を含有する修理用部品等のためのLC-PFCAとその塩及びLC-PFCA関連物質の使用を適用除外とした上で、廃絶対象物質(附属書A)に追加することにつき、COP12に勧告することが決定されました。
なお、適用除外の用途を更に明確化するため、適用除外の用途に使用する化学物質の情報を収集することとなりました。
【主な用途】金属加工油剤・難燃性樹脂原料等
リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、自動車、社会インフラ向け電気電子機器、医療機器に用いる金属加工油剤や修理用部品等のためのMCCPの使用(加工プロセスを含む。)を適用除外とした上で、廃絶対象物質(附属書A)に追加することにつき、次回締約国会議(COP12。2025年4~5月開催予定。)に勧告することが決定されました。
なお、規制の対象となるMCCPの定義の範囲については議論を継続することとなりました。
②長鎖ペルフルオロカルボン酸(LC-PFCA)※とその塩及びLC-PFCA関連物質(提案国:カナダ)
※ 炭素数:9~21
【主な用途】フッ素ポリマー加工助剤、熱媒体等
リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、信頼性試験や温度管理用の不活性フッ素液体、電気電子機器の閉鎖系で用いる熱媒体及び熱媒体を含有する修理用部品等のためのLC-PFCAとその塩及びLC-PFCA関連物質の使用を適用除外とした上で、廃絶対象物質(附属書A)に追加することにつき、COP12に勧告することが決定されました。
なお、適用除外の用途を更に明確化するため、適用除外の用途に使用する化学物質の情報を収集することとなりました。
(2)条約対象物質としての検討
①クロルピリホス(提案国:欧州連合)
【主な用途】殺虫剤
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、クロルピリホスが重大な悪影響をもたらすおそれがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC20、2024年9月開催予定)においてリスク管理に関する評価を検討することが決定されました。
【主な用途】殺虫剤
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、クロルピリホスが重大な悪影響をもたらすおそれがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC20、2024年9月開催予定)においてリスク管理に関する評価を検討することが決定されました。
(3)その他の検討
在庫、使用中の製品及び成形品並びに廃棄物に含まれるPOPsの表示等に関する会期間作業グループを設置し、情報提供を求めること等が決定されました。
今後の予定
次回会合(POPRC20)は2024年9月にイタリア共和国・ローマで開催される予定です。また、POPRC19及びPOPRC20の結果を踏まえた第12回締約国会議(COP12)は2025年4~5月にスイス連邦・ジュネーブで開催される予定です。
連絡先
環境省大臣官房環境保健部環境安全課
- 代表
- 03-3581-3351
- 直通
- 03-5521-8261
- 課長
- 吉川 圭子
- 専門官
- 福澤 学
- 担当
- 酒井 学
環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課化学物質審査室
- 直通
- 03-5521-8253
- 室長
- 清丸 勝正
- 室長補佐
- 塚崎 和佳子
- 担当
- 松木 里紗
関連情報
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2022年02月08日
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