報道発表資料
2022年10月07日
- 保健対策
残留性有機汚染物質検討委員会第18 回会合(POPRC18)の結果について
2022年9月26日から30日まで、残留性有機汚染物質を国際的に規制するストックホルム条約による規制対象物質検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第18回会合がイタリア・ローマで開催されました。
本会合では、デクロランプラス及びUV-328について、条約上の廃絶対象物質(附属書A)への追加を締約国会議に勧告することが決定されました。また、中鎖塩素化パラフィン(炭素数14~17までのものであって、塩素の含有量が全重量の45%以上のものに限る。)並びに長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)とその塩及びPFCA関連物質について、リスク管理に関する評価を検討することが決定されました。クロルピリホスについては、更なる情報収集を行い、引き続き検討することとされました。
本会合では、デクロランプラス及びUV-328について、条約上の廃絶対象物質(附属書A)への追加を締約国会議に勧告することが決定されました。また、中鎖塩素化パラフィン(炭素数14~17までのものであって、塩素の含有量が全重量の45%以上のものに限る。)並びに長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)とその塩及びPFCA関連物質について、リスク管理に関する評価を検討することが決定されました。クロルピリホスについては、更なる情報収集を行い、引き続き検討することとされました。
背景
「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」は、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の製造及び使用の廃絶や制限、その意図的でない生成による放出の削減等の規制に関する条約です。
規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC。加盟国の31人の専門家から構成。)においては、加盟国から提案された物質について、①スクリーニング、②危険性に関する詳細検討(リスクプロファイル)、③リスク管理に関する評価の検討の3段階のプロセスを経て、締約国会議(COP)に勧告します。
COPでの決定の後、各加盟国は、対象物質について製造、使用等を規制することになります。我が国では、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)」等によって規制します。
規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC。加盟国の31人の専門家から構成。)においては、加盟国から提案された物質について、①スクリーニング、②危険性に関する詳細検討(リスクプロファイル)、③リスク管理に関する評価の検討の3段階のプロセスを経て、締約国会議(COP)に勧告します。
COPでの決定の後、各加盟国は、対象物質について製造、使用等を規制することになります。我が国では、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)」等によって規制します。
今回の会合での決定内容
POPRCの第18回会合(POPRC18)は、2022年9月26日~30日にイタリアのローマで開催され、我が国からは、メンバーとして金原和秀静岡大学大学院教授が、また、オブザーバーとして環境省・経済産業省の担当官等が出席しました。
POPRC18で決定した内容は、以下のとおりです。
POPRC18で決定した内容は、以下のとおりです。
(1)条約対象物質への追加
① デクロランプラス(提案国:ノルウェー)
【主な用途】難燃剤
リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、自動車、建設機械、農業機械、医療機器、分析機器等の修理用部品等のためのデクロランプラスの使用を適用除外とした上で、廃絶対象物質(附属書A)に追加することにつき、次回締約国会議(COP11。令和5年5月開催予定。)に勧告することが決定されました。
② UV-328(提案国:スイス)
【主な用途】紫外線吸収剤
リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、自動車、建設機械、農業機械、医療機器、分析機器等の修理用部品等のためのUV-328の使用を適用除外とした上で、廃絶対象物質(附属書A)に追加することにつき、COP11に勧告することが決定されました。
【主な用途】難燃剤
リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、自動車、建設機械、農業機械、医療機器、分析機器等の修理用部品等のためのデクロランプラスの使用を適用除外とした上で、廃絶対象物質(附属書A)に追加することにつき、次回締約国会議(COP11。令和5年5月開催予定。)に勧告することが決定されました。
② UV-328(提案国:スイス)
【主な用途】紫外線吸収剤
リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、自動車、建設機械、農業機械、医療機器、分析機器等の修理用部品等のためのUV-328の使用を適用除外とした上で、廃絶対象物質(附属書A)に追加することにつき、COP11に勧告することが決定されました。
(2)条約対象物質としての検討
①中鎖塩素化パラフィン(炭素数14~17までのものであって、塩素の含有量が全重量の45%以上のものに限る。)(提案国:英国)
【主な用途】難燃性樹脂原料等
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、中鎖塩素化パラフィン(炭素数14~17までのものであって、塩素の含有量が全重量の45%以上のものに限る。)が重大な悪影響をもたらすおそれがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC19、令和5年10月開催予定)においてリスク管理に関する評価を検討することが決定されました。
② 長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)※とその塩及びPFCA関連物質(提案国:カナダ)
【主な用途】フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤等
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)とその塩及び関連物質が重大な悪影響をもたらすおそれがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC19)においてリスク管理に関する評価を検討することが決定されました。
※ 炭素数:9~21
③ クロルピリホス(提案国:欧州連合)
【主な用途】殺虫剤
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、クロルピリホスについて、重大な悪影響をもたらすおそれがあると結論づけることに合意が得られなかったため、今後更なる情報を収集し、次回会合(POPRC19)において議論を継続することとなりました。
【主な用途】難燃性樹脂原料等
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、中鎖塩素化パラフィン(炭素数14~17までのものであって、塩素の含有量が全重量の45%以上のものに限る。)が重大な悪影響をもたらすおそれがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC19、令和5年10月開催予定)においてリスク管理に関する評価を検討することが決定されました。
② 長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)※とその塩及びPFCA関連物質(提案国:カナダ)
【主な用途】フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤等
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)とその塩及び関連物質が重大な悪影響をもたらすおそれがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC19)においてリスク管理に関する評価を検討することが決定されました。
※ 炭素数:9~21
③ クロルピリホス(提案国:欧州連合)
【主な用途】殺虫剤
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、クロルピリホスについて、重大な悪影響をもたらすおそれがあると結論づけることに合意が得られなかったため、今後更なる情報を収集し、次回会合(POPRC19)において議論を継続することとなりました。
今後の予定
次回会合(POPRC19)は2023年10月にイタリア・ローマで開催される予定です。また、POPRC17及びPOPRC18の結果を踏まえた第11回締約国会議(COP11)は2023年5月にスイス・ジュネーブで開催される予定です。
連絡先
環境省大臣官房環境保健部環境安全課
- 代表
- 03-3581-3351
- 直通
- 03-5521-8261
- 課長
- 髙澤 哲也
- 専門官
- 福澤 学
- 担当
- 酒井 学
環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課化学物質審査室
- 代表
- 03-3581-3351
- 直通
- 03-5521-8253
- 室長
- 久保 善哉
- 室長補佐
- 森谷 直子
- 担当
- 山中 彩紀子
関連情報
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令和3年1月22日
残留性有機汚染物質検討委員会第16 回会合(POPRC16)の結果について