報道発表資料

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2007年03月18日
  • 自然環境

野生のクマタカからのH5N1亜型鳥インフルエンザウイルスの検出について

本年1月4日に熊本県内で衰弱死したクマタカについて、鉛中毒の可能性を検査するとともに、併せて鳥インフルエンザウイルスの保有状況について検査したところ、本日、H5N1亜型の鳥インフルエンザウイルスを分離したとの報告が、検査を依頼していた鳥取大学農学部付属鳥由来人獣共通感染症疫学研究センターからありましたので、お知らせします。
 環境省では、当該ウイルスの毒性等を判断するため、同センターに依頼し、引き続き病性鑑定及び遺伝子分析を実施することとしています。

1.これまでの主な経緯

  • 平成19年1月4日、熊本県球磨郡相良村で衰弱したクマタカ(メス成鳥)の1個体発見(当該個体は直後に死亡)。
  • 外傷がないにも関わらず衰弱死したことから、環境省九州地方環境事務所では、鉛中毒の疑いがあるとして、猛禽類の鉛中毒の調査を行っている環境省釧路湿原野生生物保護センターに当該個体を送付。
  • 釧路湿原野生生物保護センターにおいて、鉛中毒に関する検査を実施するとともに、併せて簡易キット検査による鳥インフルエンザ等の病理検査を実施したところ、2月10日に[1]鉛中毒かどうかは不明、[2]簡易キットによる検査で鳥インフルエンザウイルスは陽性であるとの結果が出た。
  • このウイルスの型及び毒性等を調べるために、鳥取大学農学部付属鳥由来人獣共通感染症疫学研究センターに検査を依頼したところ、3月18日、H5N1亜型の鳥インフルエンザウイルスが分離されたとの報告があった。

2.今後の対応について

(1)病性鑑定等の実施
引き続き同センターに検査を依頼し、[1]ウイルスの毒性を検査する病性鑑定、[2]ウイルスの遺伝子分析による由来(例:青海湖型等)調査を行なう。
(2)野鳥のウイルス保有状況調査
[1]当該クマタカが発見された地域周辺
 当該クマタカが発見された地域周辺において、野鳥に異常がなかったか等について調査を行うとともに、小型陸鳥の捕獲、カモ類のフンの採取分析等により、ウイルス保有状況について調査する。また、野鳥の生息状況に関する監視を継続する。
[2]広域的な調査
 現在、近畿地方以西で実施しているカモ類の調査を4月まで継続するとともに、専門家の意見も踏まえながら追加的な調査等を実施する。

3.クマタカの一般的な生態 (別添資料のとおり)

※参考
 H5亜型及びH7亜型のウイルスが家禽に感染した場合には家畜伝染病予防法の適用を受け、高病原性鳥インフルエンザとなります。野生の鳥は同法の適用外です。
 鳥インフルエンザのウイルスは、感染した鳥との濃密な接触等の特殊な場合を除いて、通常では人には感染しないと考えられています。
 日常生活においては、鳥の排泄物等に触れた後には手洗いとうがいをしていただければ、過度に心配する必要はありませんので、冷静な行動をお願いいたします。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護業務室
電話 03-5521-8285(直通)
     03-3581-3351(代表)
 課長:星野 一昭 (6460)
 室長:猪島 康浩 (6470)
 補佐:中澤 圭一 (6471)
 専門官:徳田 裕之 (6473)

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