報道発表資料

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2003年03月17日
  • 地球環境

アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)第8回政府間会合の結果について

アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)第8回政府間会合が、3月13日、14日の両日、ベトナム・ハノイにおいて開催された。
 APNは、アジア太平洋地域における地球環境研究を支援するための政府間組織であり、今回会合においては、平成15年度における予算案の採択、APNが支援するプロジェクトの決定、我が国がヨハネスブルグサミットにおけるパートナーシップイニシャティブとして提唱した「持続可能な開発のための途上国における科学的能力向上プログラム(CAPaBLE)」の承認、APNの新しい活動についての承認などが行われた。

1.APNについて
  
 世界的な協力が必要な地球環境研究の推進のため、各国政府は、世界を「南北アメリカ」、「欧州・アフリカ」及び「アジア太平洋」の3地域に分けて、地球環境研究の支援ネットワークを形成している。APNは、このアジア太平洋地域の組織であり、1996年に設立され、現在、21カ国が参加している。
 わが国は、その立ち上げ段階において事務局を務める(現在は、神戸のAPNセンターが事務局)とともに、現在に至るまで最大の支援国として中心的な役割を担ってきている。
  
  
2.会合の概要
  

(1) 開催日
    平成15年3月13日、3月14日の2日間
  
(2) 開催場所
    ハノイ(ベトナム)
  
(3) 参加者
  [1] アジア太平洋地域各国の政府代表
    オーストラリア、カンボジア、中国、インドネシア、日本、韓国、ラオス、マレーシア、モンゴル、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ、米国、ベトナム(計17カ国)
 なお、我が国からは、高橋環境省地球環境局研究調査室長、渡辺外務省総合外交政策局国際科学協力室事務官らが出席した。
  
  [2] 関係国際機関等
    地球変動に関する分析・研究・トレーニングのためのシステム(START)、米州地球変動研究機関(IAI)、地球変動に関する欧州ネットワーク(ENRICH)、地球圏-生物圏国際協同研究計画(IGBP)、地球環境変化の人間的側面研究計画(IHDP)、ミレニアム生態系評価(MA)
  

  
3.主な結果
  
 ホスト国であるベトナム政府を代表して、グウェン自然資源・環境副大臣から開会の挨拶が行われた。これに引き続き、議長にはトラン氏(ベトナム自然資源環境省国際協力部長)、副議長にはストダール氏(豪州南極計画教授)及びガオ氏(中国外務省協定部次長)が選出され、議事が進められた。
 会合の主な結果は以下のとおりである。
  

(1) 平成15年度予算案の採択
   平成15年度おいては、総額で約2億5800万円(対前年度11.6%増)で事業を実施するという予算案が採択された。このうち、わが国からの資金協力は、環境省及び兵庫県から2億1400万円(対前年度19.6%増)となっており、米国からも資金協力を受けている。また、今回新たにオーストラリアから3万豪ドル、ニュージーランドから1万NZドルの拠出が表明された。
 なお、増加する申請プロジェクトに対応するため、またAPNに対する他の国のオーナーシップ意識を高めるため、他のメンバー国からの資金協力も含め資金源の多様化と資金の増大が必要との認識が一層高まってきている。これに対応し、資金面について議論する資源開発委員会の設置が報告され、歓迎された。
  
(2) 平成15年度支援プロジェクトの決定
   本会合の直前(3月10日~11日、於:ハノイ)に開催された科学企画グループから推薦のあったプロジェクト(新規11課題(申請数56課題)、継続6課題)をAPNとして支援することが決定された。平成15年度から新たに支援することが合意されたプロジェクトは別紙のとおりである。
  
(3) 「持続可能な開発のための途上国における科学的能力向上プログラム(CAPaBLE)」の承認
   我が国がヨハネスブルグサミットにおけるパートナーシップイニシャティブとして提唱した「持続可能な開発のための途上国における科学的能力向上プログラム(CAPaBLE)」が承認された。
 本プログラムは、途上国の先導的研究者により、「小島嶼国等への影響予測評価及び適応策に関する研究」、「緩和策と持続可能な開発に関する研究」の2つの研究グループを創設し、将来の温暖化政策に貢献する温暖化研究を推進し、その成果を途上国の政策決定過程や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書へ反映することを目指すものである。また、途上国の温暖化関連科学能力の底上げを図るため、プログラム開発ワークショップの実施、小島嶼国への温暖化影響等をテーマとした地域間共同活動の実施、温室効果ガスインベントリーの精度向上のための活動など、総合的な能力向上活動を行う。さらに、政策決定者にこれらの科学的な成果を普及するための活動を併せて行う。
  
(4) 実施中、または新しいAPNの活動
   来年度のAPN活動として、[1]APN-IAI共同活動、[2]アジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクト(APEIS)、[3]沿岸域地球変動統合レポートの作成、[4]第3回世界水フォーラムへの参加、[5]太平洋・島サミットへの参加、について説明が行われ、活動計画が承認された。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局総務課研究調査室
室長: 高橋康夫(内線6730)
 補佐: 小野  洋(内線6731)
 担当: 小沼信之(内線6734)

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