報道発表資料

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2012年05月25日
  • 自然環境

聟島に移送したアホウドリのヒナ全羽の巣立ちについて(お知らせ)

 小笠原群島聟島(むこじま) におけるアホウドリの新繁殖地形成事業として、今年の2月11日に伊豆諸島鳥島から聟島までヘリコプターで移送したアホウドリのヒナ14羽(移送した15羽(雄5羽、雌9羽、不明1羽)のうち雄1羽は飼育中に死亡(3月8日発表))が、5月25日までに聟島の飼育サイトよりすべて巣立ちましたので、お知らせいたします。
 移送したヒナは移送後約3か月間、(公財)山階鳥類研究所の研究チームからの給餌を受け、成長してきました。5月15日に最初の1羽が巣立った後、他のヒナも順に巣立ちを迎え、25日には最後の5羽が巣立ちました。
 巣立ち後のヒナは、北太平洋のベーリング海やアリューシャン列島、アラスカ沿岸、アメリカ西海岸まで渡っていくものと予想されます。
 今回巣立ったヒナ14羽のうち、6羽に衛星発信器を装着していますので、今後の巣立ち後の行動についても明らかとなる見込みです。
 また、過去に聟島を巣立ったヒナの帰還が確認されたのが本日までに6羽であったことも、併せてお知らせします。

この事業は、(公財)山階鳥類研究所が、環境省、米国魚類野生生物局、三井物産環境基金、公益信託サントリー世界愛鳥基金等の支援を得て実施しているものです。

ヒナの巣立ちについて

巣立ち日巣立ち羽数♂♀備考(発信器の有無)
5月15日 1羽 メス1
5月18日 1羽 メス1
5月23日 7羽 オス2、メス4
不明1

(発信器装着3羽:
オス2、メス1)

5月25日 5羽 オス2、メス3

(発信器装着3羽:
オス2、メス1)

計14羽 (発信器装着 :計6羽)

聟島巣立ち個体の今シーズンの帰還状況について

帰還確認日個体番号♂♀年齢(移送年=
聟島巣立ち年)
備考
H23.12.5 Y01 オス 4歳(平成20年) NHKが設置したカメラにより確認
昨季最初に帰還を確認した個体
H24.1.29 Y11 メス 3歳(平成21年) NHKが設置したカメラにより確認
H24.3.1 Y27 オス 3歳(平成21年)
H24.4.9 Y05 メス 4歳(平成20年)
H24.4.15 Y15 メス 3歳(平成21年)
H24.4.16 Y21 オス 3歳(平成21年)
計6羽

上記のほか聟島で確認された個体の状況について

確認日個体番号♂♀年齢備考

H23.12.24

不明 不明1(亜成鳥) NHKが設置したカメラにより確認
足環がついていないことを確認

H23.12.31

不明 不明2(亜成鳥) NHKが設置したカメラにより確認
足環装着を確認(足環の色により、聟島へ移送した個体でないことが判明)

H24.1.15

不明 不明3(亜成鳥) NHKが設置したカメラにより確認
足環がついていないことを確認
計3羽
Y01と不明1の個体は、昨年の12月から島内の同じ場所に定着しており、求愛ダンスをしていることが確認されています。
繁殖可能な年齢は最も若くて5歳で、平均では7歳頃と言われています。

これまでの経過

<平成19年>
3月~6月
近縁種のクロアシアホウドリによる飼育試験を実施。
<平成20年>
2月19日
伊豆諸島鳥島において捕獲したヒナ10羽(雄4羽、雌6羽)をヘリコプターに載せて、小笠原群島聟島まで移送。
  ↓  
(山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工飼育を実施。)
5月19日~25日
ヒナの巣立ち
5月~9月
人工衛星追跡を実施し、追跡できた4羽がベーリング海へ到達。
聟島の飼育ヒナと鳥島の野生ヒナの巣立ち後の行動に大きな違いは見られなかった。
<平成21年>
2月5日
伊豆諸島鳥島において捕獲したヒナ15羽(雄10羽、雌5羽)をヘリコプターに載せて、小笠原群島聟島まで移送。
  ↓  
(山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工飼育を実施。)
5月11日~25日
ヒナの巣立ち
<平成22年>
2月8日
伊豆諸島鳥島において捕獲したヒナ15羽(雄11羽、雌4羽)をヘリコプターに載せて、小笠原群島聟島まで移送。
  ↓  
(山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工飼育を実施。)
5月18日~29日
ヒナの巣立ち
<平成23年>
2月8日
伊豆諸島鳥島において捕獲したヒナ15羽(雄8羽、雌7羽)をヘリ コプターに載せて、小笠原群島聟島まで移送。
  ↓  
(山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工飼育を実施。)
2月10日
平成20年に巣立ちした個体(3歳、雄)の聟島への帰還を確認。
5月12日~25日
ヒナの巣立ち
平成23年5月25日までに、聟島を巣立った個体7羽の帰還を確認。
12月5日
平成20年に巣立ちした個体(4歳、雄)の聟島への帰還を確認。
(2月10日に帰還した個体が再び帰還した。)
<平成24年>
2月11日
伊豆諸島鳥島において捕獲したヒナ15羽(雄5羽、雌9羽、 不明1羽)をヘリコプターに載せて、小笠原群島聟島まで移送。
  ↓  
(山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工飼育を実施。)
3月8日
移送したヒナ1羽(雄)の死亡を確認
5月15日~25日
ヒナの巣立ち
平成24年5月25日まで、聟島を巣立った個体6羽の帰還を確認。

ヒナの写真

飼育サイトのヒナとデコイ
飼育サイトのヒナとデコイ(5月8日)

羽ばたきの練習をするヒナ
羽ばたきの練習をするヒナ(5月8日)

羽ばたくヒナ
羽ばたくヒナ(5月6日)

給餌される巣立ち近いヒナ
給餌される巣立ち近いヒナ(5月10日)

写真提供:公益財団法人山階鳥類研究所

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
(代表 : 03 - 3581 - 3351)
(直通 : 03 - 5521 - 8283)
課長    : 亀澤 玲治  (6460)
課長補佐 : 山本 麻衣  (6475)
専門官   : 加藤 麻理子(6469)
係長    : 浪花 伸和  (6469)