報道発表資料

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2012年02月28日
  • 大気環境

東日本大震災の被災地におけるアスベスト大気濃度調査(第4次モニタリング)におけるアスベスト飛散事例について

 環境省は、平成23年6月から東日本大震災の被災地におけるアスベスト大気濃度調査を実施しており、これまでに、アスベストが飛散した事例として、建築物におけるアスベスト除去工事における集じん・排気装置の不具合によると思われるアスベストの飛散事例を3件公表しています。
 この度、外壁と床の間に発生した隙間からアスベストが漏れたと推定されるアスベストの飛散事例が確認されましたので、お知らせします。
 なお、工場の敷地は広く、アスベストの除去工事を行った建屋から敷地境界まで距離があることから、周辺環境への影響はなかったと考えられます。

1.建築物の所在地

茨城県稲敷郡阿見町

2.試料採取年月日

平成24年2月3日(金)

3.試料採取地点

建屋境界(※)(風下)2箇所
 ※作業が実施される施設の直近で、アスベスト除去作業関係者あるいは施設の社員の通行等がある場所
石綿が直接外部に飛散しないように設けられた室の入り口の外側(以下、「前室」という。)1箇所
集じん・排気装置の外部への排気口付近(以下、「排気口」という。)1箇所

4.試料採取、分析方法

 東日本大震災におけるアスベスト大気濃度調査(実務マニュアル)~第4次モニタリング(12月中旬~2月下旬)~による。

5.調査結果

測定箇所 位相差顕微鏡法
又は
位相差/
偏光顕微鏡法
電子顕微鏡法 アスベスト
繊維数濃度
[本/L]
総繊維数濃度
[本/L]
繊維の種類及び繊維の割合
建屋境界(1) 0.17
建屋境界(2) 14 アスベスト(トレモライト) 88[%]
アスベスト(アンソフィライト)3[%]
その他9[%]
13
前室 0.28
排気口 0.70

※総繊維数濃度とは、長さ5µm以上、幅(直径)3µm未満で、かつ、長さと幅の比(アスペクト比)が3:1以上の繊維状物質を計数したもの。

 本アスベスト除去現場では、建屋境界の一部で13[本/L]のアスベスト繊維を検出している。ただし、本調査は建屋付近で測定を行っており、敷地境界までは距離があることから、周辺環境への影響はなかったと考えられる。
 所管自治体は、アスベストの除去工事前に、作業現場の隔離・養生の状況について問題ない旨、確認している。
 今回アスベストが漏洩した原因については、アスベストの除去作業現場内の負圧状況の関係で、外壁と床の取合シールの経年劣化によりできた隙間から、アスベストが漏れたのではないかと推定している。
 本件については、石綿以外の繊維も含む総繊維数濃度が10[本/L]を超過していることが判明した段階で、直ちに環境省から所管自治体に連絡し、所管自治体から事業者に対し注意喚起されている。
 事業者は、所管自治体からの注意喚起を踏まえ、原因の推定及び対応を実施した。

6.今後の対応

 これまでも、石綿除去等作業における石綿の飛散防止対策の推進について、関係自治体等に周知してきたところであるが、今回の事例を紹介し、さらなる石綿飛散防止対策の徹底について、引き続き啓発に努めることとしている。

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通   :03-5521-8293
代表   :03-3581-3351
課長   :山本 光昭(6530)
課長補佐:栗林 英明(6533)
担当   :磯崎 勇太(6534)