報道発表資料
水質汚濁防止法第4条の2及び瀬戸内海環境保全特別措置法第12条の3の規定に基づき、環境大臣は、汚濁負荷量の総量の削減の目標及び目標年度その他汚濁負荷量の総量の削減に関する基本的な事項を定める総量削減基本方針を策定することとされています。
今般、公害対策会議の議を経て、6月15日付けで、化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針(東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海)を策定します。
1.背景と経緯
- (1)
- 水質総量削減は、水質汚濁防止法及び瀬戸内海環境保全特別措置法に基づき、人口及び産業の集中等により、生活又は事業活動に伴い排出された水が大量に流入する広域的な閉鎖性海域であり、排水基準のみによっては環境基準の確保が困難である水域の水質改善を図るため、工場・事業場のみならず、生活排水等も含めたすべての汚濁発生源からの汚濁負荷量について、総合的・計画的に削減を進めることを目的とした制度です。
- (2)
- 「総量削減基本方針」は、水質汚濁防止法第4条の2及び瀬戸内海環境保全特別措置法第12条の3に基づき環境大臣が策定するもので、汚濁負荷量の総量の削減目標及び目標年度等の基本的な事項を定め、水質総量削減制度の根幹を成すものです。
- (3)
- 水質総量削減制度は、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海を対象水域とし、昭和54年以来6次にわたり実施しています。削減の対象項目は、当初は化学的酸素要求量(COD)のみでしたが、第5次からは窒素含有量及びりん含有量を追加しています。
- (4)
- これまでの取組により、汚濁負荷量の総量は着実に削減してきました。しかしながら、東京湾、伊勢湾及び大阪湾については、環境基準達成率の改善は未だ十分ではありません。一方、大阪湾を除く瀬戸内海については、窒素及びりんの環境基準をおおむね達成し、CODも他の対象水域に比較して良好な状態となっていることから、平成21年度を目標年度とした第6次では、現在の水質を悪化させないという考え方で必要な対策を実施することとされています。
- (5)
- 第7次となる今回の水質総量削減については、平成21年2月に中央環境審議会にその在り方について諮問し、平成22年3月に答申がなされました。この中央環境審議会答申を踏まえて内容の検討を進めてきた結果、この度公害対策会議の議を経て、新たな総量削減基本方針を定めるものです。
2.総量削減基本方針の主な内容
総量削減基本方針は、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の対象水域別に策定されます。
今回の総量削減基本方針では、第6次に引き続き、東京湾、伊勢湾及び大阪湾については今後も水環境改善のための汚濁負荷削減等の各種対策を推進する観点から、大阪湾を除く瀬戸内海については現在の水質が悪化しないよう必要な対策を講じる観点から、平成26年度を目標年度として、削減の目標及びその達成のための方途等を示す予定です。
その主な内容は以下のとおりです。
(1)削減の目標
COD、窒素含有量及びりん含有量についての削減の目標を、発生源別、関係都府県別に定めています。
この削減目標量は、人口及び産業の動向、下水道整備の見通し、汚水処理技術の水準等を勘案して、実施可能な限度で定めたものです。
なお、平成21年度は産業活動の落ち込みの影響がみられており、平成26年度は産業活動の一定の回復を考慮した目標設定となっています。
表 対象水域別・項目別の削減目標量
(単位:トン/日)
削減目標量 (平成26年度における量) | 平成21年度における量 | ||
---|---|---|---|
東京湾
|
COD 窒素含有量 りん含有量 |
177 181 12.1 |
183 185 12.9 |
伊勢湾
|
COD 窒素含有量 りん含有量 |
146 115 8.7 |
158 118 9.0 |
瀬戸内海
※( )内の値は大阪湾 |
COD 窒素含有量 りん含有量 |
472(116) 440(103) 27.4(6.6) |
468(118) 433(104) 28.0(7.2) |
(2)汚濁負荷の削減の方途、その他汚濁負荷量の削減に関し必要な事項
- ・
- 下水道、浄化槽、農業集落排水施設等の整備、処理の高度化等
- ・
- 事業場の実状に応じた総量規制基準の適切な運用等
- ・
- 環境保全型農業の推進、家畜排せつ物の適正管理・高度利用の推進、養殖漁場の改善等
- ・
- 情報発信、普及啓発等
- ・
- 干潟・藻場の保全・再生、自然にある栄養塩や餌を利用して行う藻類養殖等の推進、底質改善対策の推進等
3.今後の予定
環境大臣が定める総量削減基本方針に基づき、今後、関係都府県において、削減目標の達成に向けた総量削減計画の策定及び総量規制基準の設定が行われることになります。
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室
直通:03-5521-8320
代表:03-3581-3351
室長:富坂 隆史(内線6660)
室長補佐:橋本 浩一(内線6661)
担当:石丸 彰子(内線6664)