報道発表資料

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2000年11月29日

『公害防止計画の今後のあり方と「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」の延長について』の意見具申について

12月1日に開催予定の中央環境審議会企画政策部会(部会長:森嶌昭夫地球環境戦略研究機関理事長)において、公害防止計画小委員会(委員長:安原正(株)さくら総合研究所特別顧問)から、『公害防止計画の今後のあり方と「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」の延長』についての報告がなされ、同日、中央環境審議会会長から環境庁長官に対し、同報告に基づく「意見具申」がなされる予定である。

1.公害防止計画制度について

 公害防止計画は環境基本法第17条に基づき、現に公害が著しい地域等において公害の防止を目的として都道府県知事が策定する法定計画であり、昭和45年の運用開始以来、国、地方公共団体、事業者等が連携を図りながら、公害防止施策を総合的、計画的に講ずるための制度的枠組みとして用いられてきたところである。
 一方、「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(以下「公害財特法」という。)は、「公害防止計画」に掲げられる各種の公害防止対策事業について、国の負担又は補助の割合の嵩上げ、地方債の適債事業の拡大、地方債の元利償還金の交付税算入等の財政上の支援を行うものであり、昭和46年度に制定以降、昭和55年度及び平成2年度の2度にわたり延長されたきたところである。
 制度開始以来の状況を見ると、本制度に基づき公害防止施策を総合的に講じてきたことにより、苫小牧地域等7地域において、市町村数では487市区町村のうち122市町村において各種環境質の改善が総合的に進み、新たな公害防止計画の策定指示の対象とすることを要しないまでの改善をみている。
 しかしながら、依然として、大都市部を中心とする都市交通公害や都市内河川、閉鎖性水域における水質の改善が見られないなど厳しい状況が続いており、さらに、土壌や地下水の難分解性有害物質による汚染等の対策が課題となっていること等から、引き続き、公害財特法を含めた公害防止計画制度を適切に運用し、環境質の改善を図ることが必要である。
 こうした状況を踏まえ、環境庁としては、公害防止計画制度について、今後、地域における課題をより適切に解決しうるものとするための改善を検討していく予定である。
 また、公害財特法については、平成13年3月末で同法の適用期限が切れることから、適用期限の延長等に関し、現在、法律を所管する自治省並びに関係省庁と連携して、財政当局と協議を行っているところである。

2.意見具申案の要旨

 公害防止計画制度は、これまで地域の環境質の改善に相当成果を収めてきたが、一方で大都市部を中心に依然として交通公害や水質汚濁など厳しい状態が続いており、また土壌や地下水汚染などへの対策も喫緊の課題となってきている。これらのことから、今後とも公害防止計画制度を引き続き適切に運用し環境質の改善を図っていく必要がある。
 しかしながら、産業型公害から都市生活型公害へと公害の態様が大きく変化する中で、公害防止計画制度については様々な課題が生じてきており、次のような方向で改善の検討をすべきである。

 ・ 策定要件を明確化し、公表すること
 ・ 策定指示において地域指定の要因となる課題を明確に示すとともに、関係都道府県はこれを踏まえた最大限実現可能な目標と指定要因に対応する具体的な対策を記載した計画を策定すること
 ・ 幅広い施策の連携や各主体の役割分担等により施策パッケージを形成すること
 ・ 計画期間中における進行管理と計画終了時における達成状況の評価を実施すること

 公害財特法は、直接的な財政支援効果を有するばかりでなく、優先採択への動機付けなど、公害防止計画を推進する原動力となっている。これが失効した場合には、公害防止計画の実施に重大な支障が生ずることは明白であることから、以上のような公害防止計画制度の改善に係る所要の見直しを行うこととした上で、その適用期限を延長することが是非とも必要である。

3.今後の予定について

 環境庁としては、本意見具申を踏まえ、引き続き、法律を所管する自治省並びに関係省庁と連携して、公害財特法の延長を実現するため、財政当局と協議していくとともに、公害防止計画制度の見直しについて検討を行っていく予定である。

4.その他

 環境庁長官への意見具申の手交は、大臣室にて17時より行われる予定であり、冒頭でのカメラ撮りは可能。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境計画課
課    長 :細谷 芳郎  (6220)
 課長補佐 :三橋 さゆり (6223)