報道発表資料

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1997年09月29日

第13回気候変動に関する政府間パネル(IPCC)全体会合の結果について

第13回IPCC全体会合及びIPCC第2作業部会会合が、9月22日(月)から28日(日)までモルジブ共和国において開催された。

 会議においては、ワトソン新議長体制でのIPCCの新たな展開について議論され、2001年に公表予定の次期報告書(第三次評価報告書)の取りまとめ方針及び新ビューロー・メンバーの決定が行われ、我が国から清木克男(財)地球産業文化研究所専務理事がIPCC副議長として選出された。 また、気候変動枠組条約の要請に基づきIPCCが取りまとめた特別報告書「気候変動の地域影響」が承認された。同報告は、本年12月に我が国において開催される「地球温暖化防止京都会議」(COP3)に提出される予定。

 環境庁としては、IPCCが過去果たしてきた地球温暖化対策の基盤作りの役割が新たな活動方針によりさらに強化されるものと高く評価、今後もIPCCの活動に積極的に参画し支援を続ける。また、承認された特別報告書は、温暖化影響が途上国に対して厳しいことを改めて示し、先進国と途上国の国際協力のもと温暖化対策を実施すべきことを示す根拠として、COP3での議論に資すると評価。
1.IPCC第13回全体会合の概要
・開催月日  平成9年9月22日(月)から28日(日)までの7日間
・開催場所  バンドス島(モルジブ共和国)
・出 席 者  ボーリン前議長、ワトソン新議長、各ワーキンググループ議長、
117か国・4国連機関・5国際機関・12NGOの各代表者など、総計約230人が出席。
日本からは、石海通商産業省審議官、近藤気象庁気象研究所気候研究部長、名執環境庁地球環境部研究調査室長、西岡国立環境研究所統括研究官、原沢国立環境研究所環境計画研究室長、吉野愛知大学教授、清木(財)地球産業文化研究所専務理事ら10名が出席した。



2.会議の議題と主要な討議の内容

(1) 前回(第12回)全体会合の報告案の採択
(2)第2作業部会による「地球温暖化の地域影響に関する特別報告書」及び同報告の「政策決定者のための要約」の承認 (参考1)
(3)IPCC第3次評価報告書
 次期IPCC報告(第3次評価報告書)の取りまとめ方針について議論が行われた。その結果、
(a) 次期報告書は、気候変動の地域的側面に重点を置いて評価を行うこと、
(b) 報告書の構成は、前回の報告書の構成を変更し、

第1作業部会: 気候システムの科学的評価
第2作業部会: 気候変動に対する脆弱性(感受性、適応性)及び
気候変動による影響に関する科学的、経済的、技術的及び
社会的評価
第3作業部会: 気候変動を緩和する対策オプションに関する
科学的、経済的、技術的及び社会的評価

とすること、第2作業部会及び第3作業部会に双方に関係する横断的事項(平等性、政策決定の枠組み等)については、第3作業部会の下に特別なタスクフォースを設けること、
(c) 報告書の取りまとめ過程における透明性の確保を目的とした、執筆者の選定手続き及び報告書の査読手続きの改訂、
(d) 非政府団体を含む全ての利害関係者(産業界、NGO、開発関連団体、環境関連団体)の参加、
(e) 先進国と途上国のバランス及び地域バランスを重視したビューロー構成(下記3(1)参照)の規定、
(f) 3つの作業部会報告書は、2000年末~2001年当初に完成させ、統合報告書を2001年の第2四半期に完成させること、等を内容とする第3次評価報告書の取りまとめ方針が決定された。

(4)今後のIPCC活動計画について
 1998年~2000年のIPCC活動計画について討議され、「気候変動に関する国際連合枠組条約」の要請に応えることを当面の最優先課題と位置付けた活動計画が採択された。

(5)次期ビューロー・メンバー(IPCC副議長、作業部会共同議長、作業部会副議長)の選出
 下記、3.新ビューロー・メンバーを参照


3.新ビューロー・メンバー

 2001年の次期IPCC報告書の作成に向けた新ビューロー・メンバー(IPCC議長及び副議長並びに各作業部会の共同議長及び副議長で構成)の選出が行われ、我が国から清木克男(財)地球産業文化研究所専務理事(元通商産業省地球環境問題担当審議官)注1がIPCC副議長として選出された。

 ビューローの構成について、今回の会合では、先ず以下のビューロー・メンバー選定の方針が決定され、次に新ビューロー・メンバーの選出が行われた。選出された新ビューロー・メンバーは、参考2に示した。

  {1}  ビューローは、30名で構成する。
  {2}  ビューローは、先進国と途上国及び地域間のバランスに配慮し選出する。
  {3}  5名の副議長は、先進国1、途上国3(アフリカ、アジア太平洋、中南米)、経済移行国1で構成する。
  {4}  各作業部会には、先進国1、途上国1、計2名の共同議長を置く。
  {5}  各作業部会の途上国の共同議長には、アフリカ、アジア太平洋及び中南米から各々1名を選出する。
  {6}  作業部会ビューローは、共同議長2名と副議長6名で構成、副議長のうち4名は、2名の共同議長でカバーされない地域から選び、その他2名を加えて6名とする。
  {7}  ビューロー・メンバーは、候補者の専門や学識に従って選ばれる。


注1:新IPCC副議長の清木氏について

 清木克男氏は、1990年から92年にかけて通商産業省の地球環境問題担当審議官として気候変動枠組条約の成立に向けた国際交渉に当たった他、IEA/OECD(国際エネルギー機関)に出向するなどエネルギー政策に関する豊富な経験と高い見識を有し、現在も(財)地球産業文化研究所専務理事として環境問題、エネルギー問題などについて世界的に活躍している。

*参考1,2については、添付ファイル参照。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課研究調査室
室 長: 名執 芳博 (内線6743)
 補 佐: 宇仁菅伸介 (内線6746)
 担 当: 川真田正宏 (内線6747)