自然環境・生物多様性
「やんばる国立公園」が誕生しました!
やんばる国立公園について
平成28年9月15日、国内33箇所目の国立公園として、沖縄島北部地域(通称:やんばる)に「やんばる国立公園」が新たに指定されました。
【参考】9月15日は、やんばる地域にのみ分布する「ヤンバルテナガコガネ」が発見された日(昭和58年9月15日)。「ヤンバルテナガコガネ」は、種の保存法(正式名称:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)による国内希少野生動植物種及び文化財保護法による国の天然記念物に指定されています。
公園の特徴~亜熱帯の森やんばる-多様な生命(いのち)育む山と人々の営み-~
●指定:平成28年9月15日
●面積(陸域のみ):13,622ha
●関係都道府県:沖縄県
やんばる国立公園は、沖縄島北部に位置し平成28年9月15日に33番目の国立公園として指定されました。国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、琉球列島の形成過程を反映して形成された島々の地史を背景にヤンバルクイナなど多種多様な固有動植物及び希少動植物が生息・生育し、石灰岩の海食崖やカルスト地形、マングローブ林など多様な自然環境を有しています。また、このような自然環境の中での日々の暮らしで育まれてきた伝統的なやんばるらしさが息づく人文景観が特長です。やんばる国立公園では、このような亜熱帯の大自然を舞台に、景勝地めぐり、トレッキング、カヌー、アニマルウォッチング、ドライブなどのレジャーが盛んに行われており、訪れる公園利用者へ良質な自然とのふれあいの場・機会を提供しています。
沖縄県におでかけの際には、ぜひ、やんばる国立公園にも足を運んでみてはいかがでしょうか。
やんばる(山原)とは?
「やんばる(山原)」とは、「山々が連なり森の広がる地域」を意味する言葉で、亜熱帯照葉樹林の森が広がっている沖縄島北部を指しています。特に、国頭村、大宜味村、東村を中心とする一帯はノグチゲラやヤンバルクイナをはじめとする多くの固有種が生息し、生物学的にまとまりのある森林が比較的健全な状態で残っています。
<生物多様性>
やんばる地域には、わずかな面積の中にたくさんの種類の生き物が生息しています。実に多様でユニークなたくさんの種類の生き物たちが、互いに密接につながりあいながら複雑な生態系を作りあげています。国頭村、大宜味村、東村は、日本全体の0.1%にも満たない狭い面積しかありませんが、日本全体で確認されている生物の種数に対して、鳥類では約半分、在来のカエルのうち約1/4の種類が確認されるなど、高い割合を占める動植物の種が生息・生育しています。
<亜熱帯照葉樹林>
やんばる地域は北緯27度付近に位置します。世界の同緯度の亜熱帯地域では砂漠や乾燥地帯などが多く、森林がある地域はやんばるを含めごくわずかです。琉球列島は赤道直下から流れてくる黒潮と、梅雨前線や台風により暖かく雨の多い亜熱帯海洋性の気候となっています(年間降雨量約2,500mm)。この気象環境がやんばるの豊かな森を作り、その森が多くの生物を育んできました。
やんばる地域における森林率は80%以上で、最も広い面積を占めている自然植生は、スダジイやオキナワウラジロガシなどのブナ科植物で代表される亜熱帯常緑広葉樹林です。
<島の成り立ち>
琉球列島は新生代の第三紀(約2,300万年から170万年前)以降の激しい地殻変動により、大陸や日本本土と陸続きになったり離れたりを繰り返してきました。その時々に様々な生き物たちが琉球列島に渡ってきました。そして島々に閉じ込められた生き物たちは、何万年もの長い年月をかけ島ごとに固有な種へと進化していきました。
やんばるの動植物
やんばる地域にはヤンバルクイナ(写真:左)、ノグチゲラ、ケナガネズミ、オキナワトゲネズミ、オキナワイシカワガエル、ヤンバルテナガコガネ(写真:右)などの固有種が生息しています。一部高標高地では雲霧林が発達し、着生のシダ植物やオキナワセッコクなどのラン科植物が生育します。河川上流から中流の渓流沿いには、熱帯・亜熱帯に特徴的な渓流植物が分布し、さらにやんばる地域に固有な両生類の産卵・生息環境にもなっています。
スダジイやオキナワウラジロガシなどの広葉樹は生長して大径化が進むと幹に空洞ができ、さらに年月を経ると樹洞ができます。ノグチゲラやケナガネズミ、ヤンバルテナガコガネ等はこれらの環境を利用し、大径木が多く生育する森林に依存しています。
やんばるの文化
琉球王府時代から近年まで、やんばる地域は薪炭や都城の建設・船などの用材となる林産物の生産・供給の場として重要な役割を果たしてきました。昭和に入るまでは海上輸送が主流で、沖縄島中南部との間で「山原(やんばる)船(せん)」による交易が盛んに行われました。国頭地域から首里王府へ重い材木を多人数で運ぶ時の歌は、クンジャンサバクイ(国頭木遣音頭)として伝えられています。山で薪炭や琉球藍づくりなどの生業が営まれていた名残として、現在も各所に、炭窯や藍つぼの跡が残っています。
海と山に囲まれたやんばる地域の集落では、海と山を一体として捉え、一つの空間から自然の恵みを受けているという空間認識が見られます。それを特徴づけるのが祭祀で、集落の邪気を払い豊作・豊漁を祈願するシヌグ(写真:左)や海神(ウンジャミ・ウンガミ(写真:右))祭などはこれを象徴的に表しており集落の伝統として受け継がれています。
やんばる国立公園へのアクセス
<コース1>
羽田空港 ⇒(飛行機 約175分)⇒ 那覇空港 ⇒(高速バス 約105分)⇒ 名護バスターミナル ⇒(路線バス 約55分)⇒ 辺土名バスターミナル ⇒(村営バス 約35分)⇒ 辺戸岬
<コース2>
羽田空港 ⇒(飛行機 約175分)⇒ 那覇空港 ⇒(レンタカー・マイカー 沖縄自動車道 約145分)⇒ 辺戸岬
<コース3>
羽田空港 ⇒(飛行機 約175分)⇒ 那覇空港 ⇒(レンタカー・マイカー 沖縄自動車道 約100分)⇒ 塩屋湾
<コース4>
羽田空港 ⇒(飛行機 約175分)⇒ 那覇空港 ⇒(高速バス 約105分)⇒ 名護バスターミナル ⇒(路線バス 約40~80分)⇒ 辺土名バスターミナル、大宜味村役場前、東村役場前
公園区域・保護規制計画 等
土地所有別面積(ha)
国有地 | 公有地 | 私有地 | 所有区分不明 | 公園面積(陸域のみ) | |
2,937 | 7,672 | 2,729 | 284 | 13,622 | |
▼都道府県別面積 | |||||
沖縄県 | 2,937 | 7,672 | 2,729 | 284 | 13,622 |
合計 | 2,937 | 7,672 | 2,729 | 284 | 13,622 |
地種区分別面積(ha)
特別地域 |
普通地域 |
公園面積 (陸域のみ) |
||||
特別保護地区 | 第1種 | 第2種 | 第3種 | |||
789 | 4,428 | 4,054 | 3,345 | 1,006 | 13,622 | |
▼都道府県別面積 | ||||||
沖縄県 | 789 | 4,428 | 4,054 | 3,345 | 1,006 | 13,622 |
合計 | 789 | 4,428 | 4,054 | 3,345 | 1,006 | 13,622 |
関係市町村
沖縄県 | 国頭郡国頭村、大宜味村及び東村 |
合計 |
3村 |
指定書及び公園計画書
●やんばる国立公園 指定書及び公園計画書[PDF 940KB]
※公園区域等の正確な境界は図面だけでは判断できません。 必ず、やんばる自然保護官事務所(0980-50-1025)へお問い合わせ下さい。