自然環境・生物多様性

第63次南極地域観測隊同行日記5

野外調査に行ってきました③

2022215日(火

今回は、ラングホブデ雪鳥沢とスカルブスネスという地域に10日間ほど(2022年1月15日~1月24日)の泊りがけで、野外調査に行ってきました。

ラングホブデ雪鳥沢は、南極地域を代表する生態系を有し、かつその生態系は脆弱で人間活動の影響を受けやすいこと、また1984年から長期にわたり生態系及び環境モニタリングが続けられていることから、保護の必要性があるとされ、第41南極特別保護地区に指定されました。南極特別保護地区とは、南極において環境上、科学上などの価値を有する地域、または科学的調査の実施が計画、継続されている地域を保護するために作られた制度です。現在、南極地域全域で合計78地区が指定されており、地区ごとに管理する国が決められています。ラングホブデ雪鳥沢を含む第41南極特別保護地区は、日本が管理者となっています。

ラングホブデ雪鳥沢の野外調査では、第41南極特別保護地区の管理者として現地調査、苔と地衣類のモニタリング調査の支援、過去の観測隊が残置した物品の回収などを行いました。雪鳥沢という名前のとおり、この地域にはユキドリと呼ばれる真っ白でかわいらしい鳥が生息しています。この地域では多くのユキドリが岩と岩の隙間で営巣していて、今回、ユキドリの親子の写真を撮ることに成功しました。

ユキドリの親子

ユキドリの親子

次のスカルブスネスでの野外調査では、陸上生物モニタリングチームの作業支援や過去の観測隊が残置した物品の回収などを行いました。スカルブスネスには、前回紹介したスカーレンという露岩地域と同様に大小様々な湖があります。また、よく観察すると湖ごとに色、透明度、苔や藻の種類や生育状況などが少しずつ違うことに気が付きました。多くの湖がある一方で、湖ごとにそれぞれ特徴があるのは大変興味深く感じました。

スカルブスネスにある湖の一つ(長池)スカルブスネスにある湖の一つ(長池)

                                 

掲載協力:国立極地研究所 

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