自然環境・生物多様性

第60次南極地域観測隊同行日記2 ~南極地域について~

第2回:南緯55度を通過 ~南極地域について~

2018年12月5日(水)

 

こんにちは。

11月30日にオーストラリアのフリーマントル港を出港した「しらせ」は、12月5日に南緯55度まで南下しました。これまでの行程では、最も船が傾いた時でも13°程の揺れで、比較的穏やかな船旅でした。

さて、南極地域観測隊では、南緯55度以南の区域を「極地」としており、いよいよ「南極地域」に到着したことになります。

しかし、実はこの「南極地域」には様々な定義があります。今回は、この南極地域の定義についてご紹介します。

 

(1)南緯55度以南の区域

南極地域観測隊で極地としている区域。しらせでは、この区域に到達すると艦内に放送が入り、記念のパネルも用意されます。
 









 

   <しらせ艦橋に設置される記念パネル>

 

(2)南緯60度以南の区域

南極条約で南極地域と定義される区域。生きた生物の持ち込みの禁止など、南極の環境を守るための様々な規制がかかる区域です。環境省ホームページ内ではこの区域を「南極地域」としています。なお、南緯40度から南緯60度の区域は天候が荒れることで知られ、南緯60度は「絶叫する60度」との俗称でも呼ばれます。

(3)南緯66.33度以南の区域

地理学上、南極圏と定義される区域。この区域では、日本における冬至の時24時間太陽が沈まない白夜が見られ、夏至の時には太陽が地平線からほとんど昇らない極夜が見られます。

(4)南極収束線以南の区域

南緯50度から南緯60度付近で南極を取り巻いている収束線より南の区域。南極収束線とは、南極上空の冷たい気団と中低緯度にある温かい気団が接し、地表と交わる線をいいます。

(5)南極大陸の区域

南極大陸そのものとして定義される区域。南極大陸の面積は推定約1400万㎢とされています。
 

 
















 

               <南極地域の概略図>      


南緯55度を通過しましたが、昭和基地に到着するのにはもう少しかかります。それまで海が荒れないことを祈りつつ、準備を進めていきたいと思います。

 

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