第67次南極地域観測隊同行日記【第19回】

第19回:アデリーペンギンの調査
2026年2月19日(木)

みなさん、こんにちは。
環境省の福濱です。

第18回でご紹介したとおり、アデリーペンギンの集団営巣地に到着したペンギンの調査チームは、休憩後、早速調査を始めました。
 
海の環境変化とアデリーペンギンがどう関係しているのかを解き明かすために、この夏の期間には、アデリーペンギンの行動や、ペンギンが潜っていた場所での海の環境、ペンギンたちが水中でどのようにエサをとっているのか、また、今年の子育ての状況について、調査します。
 
まず、調査チームはアデリーペンギンに「データロガー」という装置を取り付けました。データロガーは、自動で位置を調べたり、水中の温度や塩分を測ったり、ビデオ撮影をしたり、ペンギンの心拍数を測ったりすることができます。


<データロガーの取り付け>


<昨年足に取り付けられ、回収されたジオロケーター(追跡機器)>

続いて、調査チームはペンギンの体重や翼やくちばしの長さといった、重さや体の各部の大きさを測りました。ペンギンの個々の大きさを測ることで、オスかメスかを判別したり、親鳥の状態を確認したりしています。


<体重を測る様子>


<翼の大きさを測る様子>

南極半島は、ここ50年間で、約2.5度ペースで気温が上昇しており、海の氷の面積も減少しています。
昭和基地周辺では、気温の著しい上昇は見られないものの、この十年間で海の氷が大規模に流れ出す現象がしばしば観測されており、そのことが海洋生態系にどのような影響を及ぼすのかが注目されています。
南極半島では、アデリーペンギンの個体数は、1976年から2012年にかけて約80%も減少しているという報告もあります。
温暖化により海の氷が減少し、それにより藻類が減少し、そしてそれを食べるオキアミ(エビに似た小さな生き物)が減少することが、ペンギンの減少につながっていると考えられています。
 
昭和基地周辺では、1961年から継続してアデリーペンギンの個体数のカウントが行われていますが、近年、過去60年間で最大レベルとなっています。
南極半島では個体数が減少している一方、昭和基地周辺では個体数が増加しているのです。
 
昭和基地は、南極の東側、つまり東南極とよばれる地域にありますが、東南極でなぜこのようにアデリーペンギンの個体数が増えているのか、そのメカニズムはよく分かっていません。
 
現時点では、営巣地周辺の海に氷がない開放水面(かいほうすいめん)が広がった年には、広がっていない年よりもヒナの生存率が高く、また、1日あたりの体重増加(成長スピード)も大きくなったことが分かっています。
 
海の環境変化とペンギンの個体数変化にどのような関係があるのか、今回の研究結果が今から待ち遠しいです。


<アデリーペンギンの足>