第67次南極地域観測隊同行日記【第13回】

第13回:昭和基地での体重測定
2026年1月20日(火)
 
みなさん、こんにちは。
環境省の福濱です。
 
第9回でもお伝えしたとおり、12月25日に昭和基地に到着し、日本を出国してから約3週間ぶりに、ようやく陸に降り立つことができました。
昭和基地には体重計があったので、陸に降り立ってから数日たった12月28日の夜、体重を測ってみると、半ば予想はしていたものの、それでも予想以上に体重が増えていて、びっくりしました。
 
船が大揺れのときも、休まず毎日美味しいご飯を出してくれていた海上自衛隊の方々に感謝です。


<南極観測船「しらせ」の美味しいご飯>


<金曜日はカレー>

しかし、ここまで重くなっているはずがない、体重計が壊れているのかな、と疑っていたところ、一緒に活動している隊員に、南極では誰でも体重が重くなると教えていただきました。
 
南極と日本では、体重が変わる?!どういうことでしょうか。
 
みなさんは、月に行くと体重が6分の1になって、同じ強さで飛んでもより高くジャンプできるという話を聞いたことがありますか?
実は、地球上でも、その人がいる場所によって働く「重力」が違うため、体重が変わってくるのです。
 
ところで、「重力」とは一体何なのでしょうか?
そもそも、全ての物体の間には、お互いに引っ張り合う力が働いており(万有引力(ばんゆういんりょく)の法則)、地球上にある物体は、地球と引っ張り合っています。私たち人間にも、知らないうちに地球から引っ張られる力(引力)がかかっています。
また、地球は北極点と南極点を結ぶ直線を軸として自ら回転(自転)しています。地球が回ることによって、地球上にある物体(私たち人間にも)には、地球から外へ向かう遠心力が働いています。

皆さんも車でカーブした道を走ると、カーブの外側に引っ張られるような力を感じることがあるかもしれません。あの引っ張られるような力が遠心力です。地球上での日々の生活で遠心力を感じることは少ないと思いますが、、日本があるあたりでは、地球の自転により、私たちは、1 秒間に約360m の速さで地球が回る向きに動いています。この速さは、音の速さと同じくらいの、ものすごいスピードです。これにより、私たちには地球の外側に向かう遠心力がかかっているのです。
このような地球の引力と遠心力をプラスマイナスしたものが、私たち人間に働く「重力」になります。そして、地球の遠心力は地球が回転する軸(自転軸)に近づくほど小さくなります。
 
つまり、南極は、日本よりも自転軸に近いため、南極の方が日本より重力が大きく、体重計の数値が自然に大きくなるのです。
 
以上のように、南極での体重増加のナゾが分かってスッキリしたものの、地球上で最も重力の違いが大きくなる赤道と南極でも、体重計の数値の差は約0.5%とのこと…。例えば、赤道で50kgだった人が南極では50.25kgになる計算です。
この差以上に体重が増えていた私は、重力のせいだけにはできないので、しっかり活動して減量に励みたいと思います。
 
ところで、実際の生活では、同じ物体なのに場所によって、はかりの値が違ってしまったら困りますよね。そうならないように、日本では国土地理院が計測した各地の重力値を用いてはかりが補正されています。重力値は、特定の地点における重力の強さを示す数値です。
 
南極にも、国土地理院の職員が観測隊の隊員として参加し、重力値の測定を行っています。ここでは、重力計という機械を使って、昭和基地周辺での重力の基準値を計測したり、地球規模での重力の空間変化を確認したりすることなどを目的に、重力値の測定が行われています。


<南極昭和基地での重力測定(国土地理院提供)>
 
私は、こうした地球規模での力の働きを、普段なかなか気にすることがないですが、今後は、日本に帰ってからも体重計に乗るたびに、南極での体重測定時の衝撃と力の働きを思い出すことになりそうです。
 
※国土地理院の南極での調査は以下もご覧ください。
https://www.gsi.go.jp/KOKUSAI/nankyoku-gravity.htm