受賞団体の取り組み
平成28年度
各賞のレポート紹介
(青森県青森市、13名 青森市立泉川小学校 小学4年生)
「泉川小自然体験し隊 ”森や田んぼがあるからホタルがいる”」
こどもたらの関心を高めるため、3年生を対象とした総合学習の一環として当会会員による泉川小学校への出前授業を繰り返し、成果を新聞にまとめ、発表会を行いました。それらを踏まえながら、平成28年4月に希望者を募り「こどもホタレンジャー」を結成し土曜日の午前に野外を中心とする活動を始めています。
小学校から距離のある現地集合解散のため保護者の支援が必要なこともあり、今年のメンバーは13人でした。
1回目は4月23日で、雪解けの森の散策とゲンジボタルの幼虫やカワニナの放流を行いました。
2回目は5月28日で、もち米の田植え体験とともに水辺の生き物観察を行いました。
3回目は6月19日で、「森から海へ繋がる水」をテーマとする青森市の「むつ湾週間」とも連携し、チョウ類の調査を行いました。
4回目は7月2日で。「ホタルまつり」への参加とホタル観察を行いました。
5回目は8月6日で、二度目のチョウ類の調査を行いました。
6回目は9月24日で、稲刈り体験とともに水辺の生き物観察を行いました。
7回目は10月15日で、雪が降る前の最後の野外活動として二度目のゲンジボタルの幼虫の放流に合わせ、活動の記念を残すため花の植栽を行いました。
(北海道札幌市、25名 小学1年生~小学6年生 中学1年生 高校1年生)
「西岡ヤンマ団」
ヤンマ団の活動の舞台となっている西岡公園(札幌市)には、川・池・湿原など多様な環境が存在しており、水環境の豊かさの指標となる1湖沼あたりのトンボの種類は、北海道で最も多い51種が確認されている。ヤンマ団では、このようなトンボの多様性が高い公園内での10年間にわたる継続的な調査を行い、種数・個体数・生態と環境変化の関係を把握することによって、多様なトンボが生息できる水環境を維持するための取り組みと提言を行ってきた。 活動は、月1回のペースで団員全員がトンボの分布調査と標本製作を行うほか、すべての団員個人が設定した年間研究テーマに沿ってトンボと環境の関係、トンボの生態・発生状況、形態変異などが詳しく調査されている。冬の積雪期には各団員が研究結果をとりまとめ、市民を対象とした報告会・報告展で口頭・ポスター発表を実施して、1 年間の研究成果を公表している。小学生の主体的な活動を学術面と安全・衛生面でサポートするため、公園管理事務所職員、北海道トンボ研究会会員、大学生、保護者が協力している。上記の活動内容は、西岡公園事務所内の展示スペースやホームページにおいて公開されているほか、期間限定ではあるが、札幌市中心部の札幌駅前通地下広場などでのPR活動も実施している。
(山口県下関市、55名 小学4年生)
「角倉小校区自然遺産に認定!~ふるさとの自然を守るために今できること」
壇ノ浦の戦いの前に平家が最後の砦を築いた島として知られる彦島にも、戦後間もない頃まではヘイケボタルが生息していたことから、その平家にちなんだヘイケボタルを復活させようと、学校内にあるビオトープにヘイケボタルをはじめとする水辺の生き物がすみやすいような環境をつくりだす活動を、一昨年度より総合的な学習の時間と休み時間に行っている。平成2 8年の初夏には、2年連続となるヘイケボタルが校内のビオトープに飛んだ。今年度からは、校内におけるヘイケポタルの飼育と合わせ、校区内にある未来まで残したい自然環境を「角倉小校区自然遺産」として認定し、ふるさとの自然を守るために今できることについて、E S Dの視点も取り入れながら総合的な学習の時間を中心に活動を進めているところである。
(岐阜県山県市、5名 中学2年生~中学3年生)
「守れ! ふるさとのヒダサンショウウオ」
① | ヒダ サンショウウオの研究成果を市民のみなさんに紹介しながら、自然保護の大切さを訴えている。今年は、市役所の職員の皆さんに向けて庁内で研究発表(11/14)を行った。「山県市の生物多様性を活かした街づくり」について訴えることができた。高速道路やインターの建設が進む中、市全体が開発一色となっている。しかし、そんな今だからこそ、生物部の活動を通して、ヒダサンショウウオが棲む自然のよさを見直し、自然保護の活動にも目を向けて欲しいと願っている。 |
② | 今年度の広報活動として、次の大会やイベントで発表を行った。9/24日本魚類学会年会岐阜大会、11/26、27日本爬虫両棲類学会沖縄大会、3/18日本生態学会東京大会、11/21第51回全国野生生物保護実績発表大会、12/3ぎふ清流未来の会議、11/3ぎふ生物多様性シンポジウム、11/20ぎふアースレンジャー子ども環境会議、2/25ぎふこどもエコクラブ報告会、1017/第2回高富中アカデミックアワード等。(発表の様子は、新聞にも掲載された。) |
③ | ヒダサンショウウオの産卵シーンをビデオに撮影する。ヒダサンショウウオは、夜、渓流にある石の裏に産卵するので、研究者の誰も見たことがない。撮れば、世界初となる。今年こそと、「産卵の様子」をビデオに撮る準備をしている。雄と雌が協力して産卵する様子や雄が卵に射精する様子を撮ることで、生態を解明したい。 |
(岐阜県可児市、495名 小学1年生~小学6年生)
「ホタルの卵から孵化までの飼育活動」
校庭のビオトープ「いまみ川」「ホタル川」にホタルをたくさん飛ばそうと、産卵、孵化、幼虫の世話など成虫になるまでの一連の飼育活動を、児童、職員、保護者、地域の住民、市が連携、協力して行っています。毎年3月には、ビオトープに幼虫を放流するホタル放流会をPTA、地域の方を招いて行っています。放流できるまでに成長しなかった幼虫は、ホタル委員が校内のホタル室で毎日カワニナを与えて、水換えをし、飼育をしています。5月下旬からPTA事業部がホタル飛翔確認を毎日行い、その中の数匹を捕獲し、ホタル室で産卵の準備をします。1か月後、孵化したホタルをPTA事業部、職員で毎日、数を数え、今年は、1 4 3 8匹のホタルの孵化が確認できました。ホタルの幼虫のえさのカワニナは、市の許可を受け、6年生やPTA会員、職員で地域の川へ取りに行っています。6年生は、総合的な学習の時間のテーマに「環境」があり、カワニナを取りに行く可児川の水質調査を行ったり、「ホタル講習会」で飼育の仕方を学んだりしています。 可児市とホタルの関わりや歴史を学び、本校の伝統であるホタル飼育から「ホタルを守ろうという心」、さらには、「命を大切にする心」を育てています。ホタル飼育と環境を関わらせ、ホタルや地域に愛着をもち、「命を大切にする心」「思いやりの心」「自主・自律の態度」が育つことを目的としています。