II 重点分野ごとの施策の現状と課題、今後の方向性
分野1:地球温暖化対策
【現状】
- 人間活動の拡大に伴って二酸化炭素やメタン等の温室効果ガスが人為的に大量に大気中に放出されることで、温室効果が強まって地球が過度に温暖化するおそれが生じています。特に二酸化炭素はその人為的な排出量が膨大であるため、温暖化への寄与度が大きくなっています。
- 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告では、1990年から2100年までの全球平均地上気温の上昇は、1.4~5.8℃と予測されています。
- 地球温暖化による影響としては、海面の上昇、気候の変化による農業・食糧供給への影響、水資源への影響、生態系への影響、人間の健康への影響などが予測されています。
- 平成9年12月に京都で開催された、「気候変動枠組条約」の第3回締結国会議において、温室効果ガスの総排出量を2008年から2012年の第1約束期間に、1990年(基準年)レベルから6%削減することを内容とする京都議定書が採択され、我が国は本年6月に本議定書を締結いたしました。
- しかしながら、我が国の温室効果ガスの排出量は、2000年度で1990年(基準年)比約8.0%増加(特に、民生分野、運輸分野で大きく増加)しており、6%削減約束を達成することは、決して容易なことではありません。
【これまでの取組と課題】
- 我が国として、京都議定書の削減約束を達成するため、平成14年3月新しい地球温暖化対策推進大綱を決定し、「環境と経済の両立に資する仕組みの整備・構築」、「ステップ・バイ・ステップのアプローチ」、「国、地方公共団体、事業者及び国民が一体となった取組の推進」、「地球温暖化対策の国際的連携の確保」の基本的考え方の下に、100種類を超える対策・施策のパッケージを取りまとめました。
- 2002年(平成14年)の京都議定書発効に向けて、平成14年6月に京都議定書を締結し、国内担保法である地球温暖化対策推進法が改正されました。
- 地球温暖化防止のためのライフスタイルの変革に向けた実践活動を呼びかけていくため、各界のオピニオン・リーダーからなる「環の国くらし会議」を平成14年2月に設置し、様々なアイデアを出すとともに情報発信を行っています。
- 新しい大綱に基づくステップ・バイ・ステップのアプローチの下で、まず第1ステップ(2002~2004年)における地球温暖化対策を着実に進めていく必要があります。
- 今後、廃棄物処理施設や自然体験施設等について、地球温暖化対策の観点から整備を行うほか、二酸化炭素の吸収源としての森林の保全対策を林野庁と共同で進めていく必要があります。
- 住宅・建設物に係る各種の温暖化対策を始めとする民生部門における対策を強力に推進するとともに、運輸部門からの温室効果ガス排出削減と自動車を原因とする大気汚染の防止を図るため、環境負荷の少ない交通の実現に向けた取組を強化する必要があります。
- 地球温暖化センター、地域協議会及び推進員を活用し、国民レベルでの消費、生活のグリーン化を進める必要があります。
- このほか、温室効果ガスの排出・吸収量の管理体制の整備、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)等京都メカニズムの活用のための基盤整備を行うとともに、地球温暖化対策に関する技術開発の支援や事業者、国民、地域等における取組の支援を行っていく必要があります。
- 地球温暖化対策税制については、平成13年10月に中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の下に地球温暖化対策税制専門委員会を設置し具体的な制度面での検討を進め、本年6月には中間報告を取りまとめたところであり、具体的な制度案の策定等について引き続き検討を進める必要があります。また、温暖化対策のための研究開発や設備投資に係る税制面での優遇措置等の拡充を検討していく必要があります。
- 今後、2013年以降の第2約束期間も視野に入れながら、温室効果ガス排出量の多い米国等の先進国や中国・インド等の途上国の積極的な参加が得られるよう、継続的な働きかけや途上国への技術的支援を行っていくとともに、国内における更なる温室削減効果ガス削減について検討を始める必要があります。
【15年度の方向性】
京都議定書での6%削減約束の達成を確実にするため、地球温暖化対 策推進大綱を政府一体となって推進します。特に、増加傾向にある民生部 門や運輸部門に係る地域・日常生活対策の充実、京都メカニズムの活用の ための基盤整備、米国や中国・インド等の途上国を含むすべての国が参加 する共通のルールの構築、途上国の参加促進のための科学的能力の向上の 支援などに強力に取り組みます。
また、本年6月に取りまとめた中間報告で示された温暖化対策のため の環境税の在り方について検討を進めます。 |
分野1:地球温暖化対策
分野2:循環型社会の形成に向けた廃棄物・リサイクル対策
分野3:環境ビジネス・環境研究技術の振興
分野4:自然生態系の保全・再生
分野5:化学物質等による環境リスクの管理
分野6:環境教育・環境保全活動の活性化
分野7:ヨハネスブルグサミットを踏まえた国際協力の展開
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