平成24年度環境省政策評価委員会 第2回議事録要旨

  1. 日時:平成24年8月23日(木)14:00~16:00
  2. 場所:環境省第一会議室
  3. 出席者
    委員
    (委員長)
    須藤 隆一
    東北大学大学院工学研究科客員教授
    河野 正男 横浜国立大学名誉教授
    藤井 絢子 特定非営利活動法人 菜の花プロジェクトネットワーク代表
    細田 衛士 慶應義塾大学経済学部教授
    山本 良一 東京都市大学特任教授
    鷲谷いづみ 東京大学大学院農学生命科学研究科教授
    [欠席]
    井村 秀文 横浜市立大学特任教授
    大塚 直 早稲田大学大学院法務研究科教授
    崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー
    城山 英明 東京大学大学院法学政治学研究科教授
    堤 惠美子 株式会社タケエイ 顧問
    三橋 規宏 千葉商科大学名誉教授
    事務局(大臣官房)
    谷津大臣官房長、富岡総務課課長補佐、山口秘書課課長補佐、野口監査指導室長、瀨川政策評価広報課長、他
    環境省各局部
    坂川企画課長(廃棄物・リサイクル対策部)、小笠原課長補佐(総合環境政策局)、早水企画課長(環境保健部)、鮎川課長補佐(地球環境局)、大武課長補佐・江口次長(水・大気環境局)、永見課長補佐(自然環境局)
  4. 議題:
    (1)平成23年度環境省政策評価書(事後評価)(案)について
    (2)その他
  5. 配布資料
    配布資料
  6. 議事録要旨
    議事録要旨

議事録要旨

(出欠席委員確認)

(大臣官房長挨拶)

議事1 平成23年度環境省政策評価書(事後評価)(案)について

(事務局より資料3「第1回政策評価委員会における主な意見及び対処方針」、および参考資料1「平成23年度施策に関する事後評価書(案)(修正箇所)」について説明)

【環境保健部】
1か所修正点がある。「7.環境保健対策の推進」について、資料3の2ページおよび参考資料1の7ページの赤字部分「『業務を確実に実施した』と修正した。」とあるが、これは「着実に」が正しい。資料1の同項目37ページはそのようになっている。参考資料1と資料3の方が間違いで、「確実に」ではなく「着実に」である。
【鷲谷委員】
特に問題ということではいが、数値目標が出ているものについて、モニタリングをしっかりしていただきたい。自然環境に関わるものだと、目標年度が24年度になっているものもあるが、23年度までの達成状況から24年度までにギャップがあるようなものもある。着実に進んでいることは確かだとは思うが、そのような場合に、その目標自体を堅持したまま、どうやって達成したらいいかということに関して、一言でも、達成に向けて何かを強化する必要があるとか、そのような文言があるといいのではないか。全て丁寧に見ていないため、ほかの分野でもそういうことがあるかもしれない。
【須藤委員長】
非常に大事なことである。これは23年度の事後評価なので、目標が24年度というとほとんど近づいている数字のはずである。あまりのギャップがある場合は、何か解説が必要なのではないかという先生の御指摘なので、何か自然環境分野であるならば、後で自然環境局の方で解説をしていただきたい。
【山本委員】
3点申し上げたい。 
1番目は、地球温暖化が深刻化している、残念ながら対策は不十分だということを明確に書いてほしい。そうでないと、国民は、着実に進行しているような幻想にとらわれる危険性がある。昨年から今年にかけて続々と新しい現象が起きている。昨年11月にはIPCCからSREXという特別報告書が出て、現在発生しているこの極端な現象は、まさに地球温暖化のせいであるということを初めて認めた。その後、年末から今年にかけて、西南極大陸氷床で巨大なクラックが見つかって、2月には東京都の面積の1.5倍の巨大な氷山ができた。
さらに、私が今、一番懸念しているのは、北極海氷の急速な減少であり、JAXAのデータによれば、北極海氷の昨日の面積は440万平方キロメートルだそうである。これがなぜ恐るべきデータかというと、2007年に425万平方キロメートルという観測史上の最小面積を記録しており、今年、その最小面積を突破する可能性が出てきている。恐らく今週から来週にかけて、最小面積の記録が更新されてしまうであろう。その結果、凍土、ツンドラの融解と北極海氷の融解で海水と陸地の温度が上がることによって、メタンハイドレートが不安定化し、メタンガスが放出され、この1年くらいの間に急激にメタンガスの濃度が上昇している。ケンブリッジ大学のピーター・ワダムス教授らは、北極圏のメタンガス放出は地球的非常事態であるという警告を発して、今年の2月24日にはイギリスの下院で公聴会が開かれている。
なぜこの問題が重要かというと、メタンガスの放出、北極海氷の消失、そして陸地の雪氷が溶けていることによる温暖化が、放射強制力に直すと2W/平方メートル程度になってしまう。温室効果ガス全体による温室効果の放射強制力はIPCCの第4次レポートで1.6W/平方メートルである。このまま放置すると、メタンガス、雪氷面積の減少、北極海氷の減少に伴う温暖化の効果の方が大きくなってしまう。つまり、本評価報告書でおこなっているような、温暖化の軽減策はほとんど役に立たなくなってしまうという恐るべき状態に陥る。このようなことが、今年の2月にイギリス下院の公聴会で紹介されており、政府に緊急対応を求め、ケンブリッジ大学のグループは、北極圏だけ急激に温度を冷やさなくてはいけない、すなわち、ジオエンジニアリングを適用しなければいけないということを提案している。北極海氷は9月の中旬まで溶けるため、今週から来週にかけて、北極海氷の面積が最小記録を塗り替えるような事態になり、400万平方キロメートルを大きく割り込むような事態になれば、世界中が大騒ぎになることは火を見るより明らかである。
現在、アメリカはもう温暖化地獄に突入している。ロシア、インド、中国もそうである。干ばつ、あるいはワイルドファイアーが近年、ものすごく頻度が増えていて、このままでは食糧危機が来るということが今朝の新聞にも報道されていた。温暖化に伴う深刻な影響について、この政策評価で触れないというのはあり得ないのではないか。欧米では、北極圏の急速な温暖化とメタンガスの噴出、そしてそれに伴う温暖化に対してジオエンジニアリングを適用するということが提唱され、科学研究費をつけて研究調査やジオエンジニアリングを使った場合の倫理的問題など、一斉に研究を始めている。お願いしたいことは、是非日本でも調査費をつけていただき、この問題を放置してはいけない。今日現在も、オックスフォード大学は、学生に対してジオエンジニアリングに関するサマーセミナーを開催している。
2番目の問題は、循環型社会の問題である。1つは、我々はどういう循環型社会を目標としているかという目標の設定について、論理的な証拠が不十分である。どのような科学的証拠に基づいてこの目標を設定しているのか、科学的合理性、社会的合理性が十分理解できない。
なぜそういうことを申し上げるかというと、ご存知のように、IPCCと同じように、国際的な資源パネルとして国際リソースパネル(IRP)という国際機関があり、続々と報告書を出している。現在彼らが提唱しているのは、「Contraction and Convergence」と呼ばれる資源使用量の目標であり、先進国は2050年までに年間1人当たり6トンまで資源投入量を減らしていくことである。途上国は8トンまでよいようである。日本は現在1人当たり14トンであるため、それを6トンまで減らすということは、相当な脱物質化というか、資源投入を減らさないといけないということになる。ところが、循環型社会の目標設定については、以上の点を考慮したところが全く見られない。国際社会がどこを目指しているか、IPCCと同じようなIRPが何を提案しているかということを真剣に考えていただきたい。
3番目は、グリーン経済についてである。東日本大震災以降、国内対策が非常に大変な作業であることは私も十分承知しているが、やはり中長期的には、このグリーン経済を、特にアジア太平洋で日本がリードするということが、我が国の国益にとって最大の問題であることは間違いない。そのため、グリーン経済については、先ほど官房長から戦略的に対応するという心強い発言があったが、是非、政策を強化していただきたい。事後評価を読むと、まだ不十分だと感じる。
環境ビジネス、グリーンビジネスを、特に新規市場の創出について、2020年までに50兆円規模にすると書いてあるが、政府のグリーン購入法やグリーン契約法等によって、どれくらいの新しい市場を生み出しているのかという統計がない。日本のグリーン購入法やグリーン契約法は国際的に見ても非常に先進的な取組みであり高く評価されているが、一体、日本政府、あるいは地方公共団体はどのくらいのグリーン公共調達を実施しているのか、その調達の総額がわからない。総額がわからないため、グリーンビジネスを2020年までに50兆円つくり出すと言っても、政府の施策がどのくらいそれに寄与しているかがわからない。
他の国について言えば、中国政府は日本円にして3兆4,000億円分の調達をおこなっている。韓国も、2兆3,000億円規模である。日本も早急に政府及び地方公共団体がどの程度グリーン調達をおこなっているのか、総額を調査すべきである。
また、エコ・SRIファンドについては、減少しているものの、設定数は伸びているという評価になっているが、日本の取組みは非常に遅れている。例えば、7月段階の最新の情報によれば、日本のSRIファンドの投資残高は3,000億円程度である。ヨーロッパでは約600兆円、アメリカでは約260兆円である。しかも公的年金が全くエコ・SRIファンドに利用されていないのは、先進国としてあるまじきことである。欧米は、グリーン購入をさらにエシカル購入の方向へ進め、エシカル購入基準について、政府および地方公共団体が倫理的調達のガイドラインを策定している。日本は非常に遅れている。猛反省が必要であると感じている。地方公共団体のグリーン購入の取組みが平成23年度に78.6%となり着実に上昇しているとしても、調達額を積算して発表しなければ実効が上がらない。特にグリーン経済について、より様々なプロジェクトを実施していただきたい。
【細田委員】
どこかに記述されているかもしれないが、一般/産業廃棄物の垣根に阻まれてうまく記載されていないのかもしれないと考えて1点申し上げる。不適正処理とリサイクルについて、健全な国内リサイクルを進めるために、単に有害廃棄物が海外に出てしまわないようにするだけではなく、国内市中回収業者を通して偽装リユースによって海外で処理されてしまうという動きもあることが、様々な審議会で指摘されている。このような問題への対策がどうなったかということが読んだ限りでは見当たらなかった。もし書いていなければ、少し補足された方がよい。
【藤井委員】
3点申し上げる。浄化槽と、東日本の除染と、水俣についてである。
まず資料1の25ページ「目標4-6 浄化槽の整備によるし尿および雑排水の適正な処理」について、3.11を経ても、なぜこの水処理の問題が3月10日以前の大規模集中型に戻っていくのかということに大変歯がゆい思いを持っている。あのときに見えた一極集中型の水処理は何だったのかということを、3月11日を機に、我が国はどのように水処理をおこなうか、ラディカルに問う姿勢でなければいけなかった。地域の小規模、分散、自立を進めるとすれば、浄化槽の展開は非常に重要だというインセンティブをどう見せていくかが重要である。「施策に関する評価結果」に、「目標達成は困難である」、「目標の達成を見込むことは困難である」ということが続けて書かれていることは、大変問題がある。
次に、参考資料1の9ページ「目標10-2 放射性物質汚染対処特措法に基づく除染等の措置等」においては、前回の指摘で修正されているということが見て取れる。しかし、除染については本当に難しいことは自分自身も理解しているが、環境省と現地、地方自治体、特に住民とのリスクコミュニケーションなどを含めて、コミュニケーションが大変少ないのではないか。先々週も、福島から南相馬に向かう道路沿いの間にある飯舘村へ行ってきた。飯舘村のメンバーと歩きながら、この除染で本当にいいのかと考えさせられた。つまり、仮置場がまさに自分の敷地内の一画に寄せてあるだけ、その大きな公道のすぐ横に、かつての道の駅の除染されたものがブルーシートの下にあった。除染が終わったところは2.4マイクロシーベルトであったが、ブルーシートのところは10.7マイクロシーベルトであった。そこはもう車も通っており、パトロールも入っているために色々な方たち、動物ももちろん出入りする。このような除染のやり方を見たときに、環境事務所を含めて、もう一度本当に問い直す必要があるのではないかと感じた。今のようにコンサルタントと、除染のプロでない方たちが東京から行くのではなくて、地域の方たちの経済にも寄与する、住んでいる方たちにも寄与するようなやり方を考えるなど、もう一度きっちり、常に話し合いの場を持って、適正な除染をおこなっていただきたい。現状では除染ではなくて移染だと言われている。本当に除染するにはどうするべきか。勿論、中間処理施設が決まっていないということと、仮置場も敷地内しかない状況であるため、最終的には最終処分場をどうするかという問題になるとは思うが、震災からもう1年半たつ中で、除染についてはかなり心して取り組まなければいけないのではないか。
最後に資料1の39ページ「目標7-2 水俣病対策」について、特措法による申出が7月末で終わっており、先ほどの事務局からのお話では「着実に進んでいる」と表現されているが、本当にそこの地域の水俣病の解決が7月末で終わったのか。ここの総括の中に書きにくいかもしれないが、現地に通いながら感じたことである。7月の大検診のときにたまたま行ったところ、大変多くの20代後半から90歳の方たちが検診にいらしていたが、この年でも初めてなのかと驚いた。しかしそれは申し出てこられた方たちの数値であって、申し出ていない方たちを含めて、全体の調査を行わないままに7月末を迎えたが、このままでよいのか。一歩一歩前進しているということがあるかもしれないが、総括のところに、少し課題も盛り込んでいただきたい。
また、環境保健部会が開かれずに、どんどん進んでしまい、裁判も動くようなので、保健部会をどこかで是非開催してほしい。議論の場をどうするかということも少し課題なのではないか。
【河野委員】
参考資料1の2ページ「目標1-1 地球温暖化対策の計画的な推進による低炭素社会づくり」の赤字部分について、現段階ではこれで仕方がないという印象だが、エネルギー・環境会議の結論としての政府のエネルギー政策の如何では、これまで1990年代から努力してきた低炭素社会に向けた政策が停滞するような印象を受けている。昨日、野田総理が脱原発依存の方々に対応をするテレビを見たが、意見を述べられている方の中に、化石燃料を使ってでも脱原発依存をというような考え方の方もおられた。政策の如何によっては、低炭素社会の実現について、短中期的な問題をはらんでいるのではないか。長期的にはつじつまが合う政策を取る努力はされるだろうとは考えているが。
次に、資料1の37ページ「目標7-1 公害健康被害対策(補償・予防)」において「着実に進んだ」とある。目標は掲げられないものの、着実にこのような努力したというような測定指標として、進捗の状況、取組みの件数、金額など書けないか。他の項目、例えば資料1の31ページ「目標6-2 環境リスクの管理」などのように、目標がなくても件数を挙げている項目もある。数字で見える方が、ああ、やっているのだということがわかるのではないか。
最後に、事後評価というよりも、来年度以降の計画に関わることかもしれないが、先ほど山本委員よりグリーンエコノミーに関するご意見で出た、市場規模50兆円が目標となっていることに関連して申し上げたい。3月に開催された政策評価委員会において、節電についてモニタリング、ウオッチをお願いしたいと申し上げた。節電というのは、いつでももとへ戻すというニュアンスがかなり強いが、もう少し積極的に、よりグリーン化の方向で進めないと、より一層のグリーン経済の進展を目指すことから言うと望ましくないのではないか。どういう言葉が適切かはわからないが。
具体的に言えば、太陽光の政策を進めるのであれば、系統の電気について、電圧を調整するシステムへの投資促進、蓄電池の促進、関連するビジネスの促進などである。また、電車や官庁の庁舎などでは蛍光灯が間引きされている。これはいずれ蛍光灯を入れますよという話ではないかと思うが、そうではなく、LEDへの切り替えなどのように設備投資をし、一定の明るさを保つという一定の機能を充実させながら、なおかつエネルギーは使わないというような方向性への政策を強力に進める必要があるのではないか。
【地球環境局】
まず山本委員からの温暖化が非常に深刻化している一方で、対策はまだまだこれから進めなければいけないということをきちんと記載すべきであるという御指摘については、どのような書きぶりができるか、持ち帰って検討させていただきたい。「目標1-1 地球温暖化対策の計画的な推進による低炭素社会づくり」の項目は、温暖化を長期的に解決するための大きな政策を書くものであるが、目標が62年度で2億トンとなっており、現在10億トン、12億トンと比較すると、8割カットしなければいけないという意味では、これから対策をしなければいけない、加速しなければいけないという点はもう明白である。温暖化が深刻化していることと併せて、このようなことも含めて、何か記載ができないか検討させていただきたい。
同じく山本委員からのジオエンジニアリングに関するご意見についても、何が記載できるか、何ができるか検討させていただきたい。
また、河野委員より修正内容はこの程度というご指摘をいただいたことについては、おっしゃるとおりであり、御懸念・御認識も我々と共有するところである。エネルギーを確保するために化石燃料に依存することがあるかもしれないという御懸念だと理解をしているが、少なくとも、エネルギー・環境会議での議論、あるいは環境省などにおける議論においても、現在、国民的議論として0シナリオ、15シナリオ、20~25シナリオの3つの選択肢を提示しているがいずれにおいても、足元よりも化石燃料の依存度は下がっている。例えゼロケースであっても、現在よりも化石燃料による発電量は下げるということである。その代わり、省エネと再エネに取り組む。これは勿論、温暖化のためでもあるが、今後、IEAでは化石燃料が高騰するという予測がでているため、「化石に依存する=国富を単に流出していく」ということになるので、省エネ・再エネという国内投資をおこない、燃料代の節約につなげたい。これがまさに日本再生戦略の中でも、とりわけグリーンエネルギー、環境分野については4倍づけで要望を認めるというところにもあらわれている。これは化石燃料を買うお金だけではなく、省エネ・再エネに投資をしていくという、政権の強い意思だと考えている。このような意味では、河野委員のおっしゃる方向性は、まさに我々も共有している。
【須藤委員長】
ジオエンジニアリングの問題は、昨年も一昨年も、3年間連続して山本委員に御指摘いただいているので、そこまでまだいかないのかもしれないけれども、地球環境局として、対応をご検討いただきたい。
【地球環境局】
研究調査室長と相談させていただく。
【水・大気環境局】
藤井委員からの除染および仮置場に関するご指摘について、例えば飯舘村では、いわゆる除染計画を村や町議会とも十分調整の上、計画を策定しており、これに基づいて除染を進めつつある。しかし、仮置場にせよ、実際に除染をするにせよ、当該土地の所有者の方の同意、あるいは理解が不可欠である。このような観点から、例えば、福島環境再生事務所においても、この7月以降だけでも週末を含め、住民の方への説明会や当該土地の所有者の方からの同意を得る手続のために、現地へ赴いてご説明し、ご理解を得ようとしている。また、仮置場についても、村役場や周辺住民の方々との調整協議を進めており、国有林の中に既に1か所目途も立ち、現在準備を進めているところである。ただご指摘のように、仮置場から一定程度たった後にいわゆる中間貯蔵施設へ持っていく、というプロセスがまだはっきり見えない中で、仮置場についてもすんなりとご同意いただける状況にはない。中間貯蔵施設も含め、仮置場や除染関連についても、事務所ともども現地の住民の方々への、ご説明や直接の意見交換等に、週末も含めて対応しているところであり、引き続き頑張ってまいりたい。
【須藤委員長】
この問題は放射性物質という「相手」のある問題で、努力したからすぐ実現できるということでもないために、今のような御説明になるであろう。極めて嫌われることが多いので、なかなか進まないのは事実ではあろうが、扱いを迅速にできるような対応をもう少し書き込んでいただいた方がよいのではないか。是非もう一度ご検討いただきたい。
【自然環境局】
鷲谷委員からの目標達成できそうにない項目には今後の対策強化について追加した方がよいというご意見については、目標値を掲げているもので、基本的には年度の変化で目標値に達成しそうもない項目については、記述を現状分析なり、見込みなりを追加させていただきたい。具体的には、29ページ「目標5-1 基盤的施策の実施及び国際的取組」の測定指標2「生物多様性地域戦略策定着手済数」や33ページ「目標5-2 自然環境の保全・再生」の測定指標1「自然再生協議会の数」などである。なお、41ページ「目標5-5 自然とのふれあいの推進」の測定指標2「エコツーリズム推進法の規定に基づく全体構想認定数」については、実は24年度に入って既に2つ認定しているため、目標は達成しているので例外である。
【廃棄物・リサイクル対策部】
まず、山本委員からの循環型社会の目標に関するご指摘について、現在環境省では、資源生産性という目標を設定しており、できるだけ少ない資源投入量の中で経済活動を営んでいくことに取り組んでいる。ご指摘の内容は、IRPの目標に比べると、まだまだ日本の資源使用量は多過ぎる、もっと厳しくやっていかなければいけないのではないかということであると捉えている。現在の資源生産性の目標は平成20年に循環基本計画の中で策定したものである。それから来年で5年経つため、循環基本計画の改正・改定に併せて、新しい目標を定める予定である。循環型社会計画部会でご審議を始めていただいており、新しい目標を定めるに当たり、国際的な目標についても参考としながら、どこまでできるのか検討していきたい。
細田委員からの輸出入に関するご指摘については、資料1の22ページ「目標4-5 廃棄物の不法投棄の防止等」に記述がある。ここで国内の不法投棄対策と併せて、国際的な不適正な輸出入対策についても記述しており、バーゼル法の適切な運用、また、アジア地域における様々な国際協力をすることによって、不適切な輸出入を防止していく。現在国会で、使用済小型電子機器の再資源化の促進に関する法律が成立し、来年4月から施行予定である。その施行に向けて準備をしているが、関連して、国内において適切に循環・リサイクルしていく必要性があるため、引き続き取り組んでまいりたい。
藤井委員からの浄化槽に関するご指摘については、資料1の25ページ「目標4-6 浄化槽の整備によるし尿および雑排水の適正な処理」に「目標の達成は困難である」と記述されているが、その理由として、「1基あたりの処理人口の減少」とある。また、浄化槽の整備は進んでいるものの、一方で下水道の整備が進むと、下水道に接続するということで減少するケースもあるため、結果的に、この目標を達成するのは短期間では難しく、このような記述になっている。しかし、浄化槽を整備する、また単独浄化槽を合併に切り替えていくということは大変重要であるため、さらに取り組んでいきたい。また、地震の被災地、東北地方において、今後、特に必要になるのではないかというご指摘については、同じ考えを持っている。被災の程度や今後どのようにまちづくりをしていくのかによっても変わるが、市町村によっては、今まで下水道だったところも、今後は浄化槽に変えていこうというところも出てきている。このようなところを積極的に支援していかなければいけないと考えている。今年度の予算でも、東日本大震災復興交付金の中に浄化槽の予算も計上している。これは、被災地において集中的に浄化槽を導入していこうというところに対して支援をするものである。これからも積極的に整備を進めていきたい。
【総合環境政策局】
山本委員からのグリーン購入、グリーン調達の総額の件に関するご指摘については、確かにそのようなデータは現在のところ把握できていない。現在把握している自治体からのデータとしては、グリーン購入の実施率までである。自治体自身が把握しているかどうかも含めて課題はあるが、ご指摘について、環境経済課の担当と相談をさせていただく。
また、同じく山本委員からのSRIに関するご指摘については、そのとおりである。ただ、ヨーロッパ、アメリカの場合は、SRIという投資信託そのものというよりは、株主行動やネガティブスクリーニングなどの割合が高いので、かなり額が大きくなっている。一方、我が国については、株主行動やネガティブスクリーニングは必ずしも一般的でないので、SRIだけの統計しかないために、小さくなっている部分もある。しかし、圧倒的に規模が小さいというのはご指摘のとおりである。山本委員からもご指導いただきながら、SRIの拡大ということには取り組んできており、環境金融行動原則も策定し、数百の会社にご参画いただいている。このようにSRIのみならず、投資行動において環境配慮や、社会的な配慮、持続可能性への配慮も含めた取組みを進めようと取り組んでいるところであるが、いまだ不十分であるというのはご指摘のとおりであるので、より一層、SRIの拡大に取り組んでまいりたい。
【環境保健部】
放射能のリスクコミュニケーションに関するものについては、除染の関係のご質問と理解し、それについては、基本的には除染チームの方で対応しているため、一般的な健康不安対策に関するリスクコミュニケーションについては当方より回答する。
藤井委員からの水俣病問題に関するご意見について、今回の救済措置はいわゆる水俣病の特措法に基づいて、その趣旨を踏まえ、申請期限として設定した3年以内を目途に対象者を確定したいが、その中でもできる限り柔軟に対応するため、今年の7月末に申請の期限を設定をし、なおかつ提出書類などについてもいくつかの柔軟な対応を行った。また、救済措置の要件についても、色々ご批判もあるが、水俣訴訟の和解の条件を基本として設定をしたものであることをご理解いただきたい。
当然、環境省としても、今回の救済措置で全ての水俣問題が終わったと思っているわけでは決してなく、例えば資料1の39ページの「目標期間終了時点の総括」に、「高齢化が進む胎児性水俣病患者とその御家族の方など関係の方々が、生涯にわたって安心して住み慣れた地域で暮らしていけるよう」と記載し、生活支援、医療・福祉施策、地域の活性化施策などを進めていくということで、「医療・福祉施策の充実を図る必要がある。」と表現し、今後の課題を掲げている。これについては、今年の2月に今後の水俣病対策の推進について、環境省から様々な施策を公表しているため、このようなことを念頭に置いているということはご理解いただきたい。
また、本評価書の対象は23年度の施策であり、救済の申請を締め切ったのは24年度になるので、そういう意味で、締め切ったことを前提に記述しにくかった。一方で、「目標の達成状況」に記述されているのは22年4月の措置の方針と、23年3月の和解であり、22年度の話になる。23年度の対応としては、今年の2月に水俣病の今後の対策の方針を公表しているため、その話を書いて、なおかつ2月以降に特に申請の方々に周知することをかなり強化しているので、その辺りを少し記載したい。「目標の達成状況」の欄に、今年度、特に年度末から始めた周知の話、あるいは将来の施策について打ち出した話などを少し書き足せればと考えている。総括について、課題はこれでいいのではないかと思うが、御指摘もあったため、もう一度持ち帰って検討させていただきたい。
同じく藤井委員からの環境保健部会に関するご意見については、確かに最近開催されていないが、昨年開催したときに既に救済措置の方針は出ていたため、それを踏まえて行うことはご説明させていただいている。恐らく、どこかの時点で今年中に開催することになると思うので、その時にきちんと報告をさせていただきたい。
河野先生からご指摘いただいた健康被害については、資料1の37ページに測定目標に指標が入っていないのはご指摘のとおりである。調べてみたところ、昔から入れていないという状況であり、入れるとしたら、金額や予算額なりを入れることになるのではないか。例えば、人数を入れるとなると、人数的には毎年減っているものの、それは新たに認定をしていないということと、減っているのは、回復された方も勿論いらっしゃるが、亡くなられた方もいらっしゃるために、その人数を出すというのも適切ではないと考えている。そこで、出すとすれば、予算額のようなものになるのではないか。しかし、上の欄にも予算は記載されており、一方で環境省で交付しているものと、自治体で行われている施策もかなり掲載されているので、おそらく、きちっと集計してフォローしていくというのは難しいのではないか。今の時点ですぐにこの表を埋めるのは難しいが、ご指摘があったことを踏まえて、何らかの指標の設定ができないか、もう一度部内で検討させていただきたい。
【総合環境政策局】
河野先生からのグリーンエコノミーに関連して、節電が一時的なものではなく、継続的に取り組むようにすべきではないかという御指摘をいただいていた。環境省自身のことでは、ISOの目標が、継続的に減らしましょうという目標なので、どんどん、永遠に減らし続けなければいけないような目標で、それはそれでなかなか大変ではある。世の中一般のことで言えば、エネルギー構造は今後とも原発に依存できないという状況自体は変わらないと予測できるため、例えば、温暖化対策税のようなものを入れて、色々な政策ツールを使いながらも、節電というものが一過性のブームではなく、継続的に進むような仕組みづくりを地球環境局と連携しながら取り組んでいく必要があると考えている。
【鷲谷委員】
地球温暖化対策について日ごろ思うことを述べさせていただきたい。
地球温暖化がもたらす大きなシステムの変化が進行しつつあることをレポートする論文や報告書は、山本委員がおっしゃるように、現在、うなぎ登りで増えている。劇的な変化、カタストロフィックな変化の兆しを示唆するものもあって、人類にとってかなり厳しい局面に入ってきたのではないかという印象を、生態学の研究者としても持っている。
温暖化対策は、ここで議論している、他の様々な環境問題の対処が、局所でも、地域でも、取り組めば効果が上がるというのとは異なっていて、地球規模で対策を、それも変化ということを低減させるのにふさわしい程度で取り組まなければ効果が上がらない。オゾン層の問題と似ているところがあるものの、他の環境問題とは違うものであるため、国内での対策は勿論のこと、緩和策として、世界全体で有効な対策を着実に進める上で日本ができることにももっと力を入れる必要があるのではないか。
エネルギーに関して、再生可能エネルギーの転換など、今も重点が置かれているようなことを確実に進めていくという、その必要性は言うまでもないが、どちらかと言えば質に関する議論から、量に関する議論に転換することも必要ではないか。量的に意味のある緩和策である。削減を世界全体で、できる限り早く実現しないと、劇的な環境変化を止めるのは難しそうな状況になっているのではないかと思われるからである。ジオエンジニアリングもあるが、生態学の研究者として、すぐジオエンジニアリングを推奨するというところにはなかなかいけないので、やはり正攻法というか、緩和策をもっと量的にも効果のある形で進めていく必要がある。その量的な効果を上げることを考えると、例えば、国際的に見て、今後も電力に占めるシェアが大きいと予想されている化石エネルギーの利用における効率の向上、火力発電におけるバイオマスの混焼なども含めて、それを世界全体で進めるために日本が果たすことができる役割などについても目を向ける必要があるのではないか。例えば、石炭火力の効率の高い日本の最新技術を中国やアメリカの火力発電所でも使うようにすれば、それだけでも削減効果は非常に大きいと示されているデータを見たことがある。
日本が既に持っている高い効率の技術を改善して、さらに高い効率にできる可能性もあると思うが、そういう技術を世界中で使ってもらうようにすることは、日本にとっても、その技術を使う国にとっても、経済的なメリットは大きい。効率を向上させるという技術であるから、経済的なメリットが大きく、これこそがグリーン経済である。エネルギーというと、質をすぐ考えがちで、化石燃料から再生可能エネルギーとなるが、もちろん再エネも考慮に入れなければならないが、シェアの大きいところの効率化も重視しないといけない。日本がそういう技術を持っていることを忘れてはいけないのではないか。もう少し量的にしっかり効果が上がる緩和策を世界中で進めるための日本の役割や、グリーン経済についても考えていただけるといい。
【山本委員】
最近、私が3.11の後、強く感じているのは、個々の科学者の力量というのは非常に限定的であり、やはり同じ分野の科学者集団、それから、異なった分野を併せての科学者集団がもっと積極的に社会に提言していかなければ、大変な事態になりつつある。今、鷲谷委員がおっしゃったのは、6月の「Nature」誌に掲載されていた、生態系、エコロジストの22人程度による、現在生態系全体がティッピング・ポイントを迎えつつあるという大変な論文のことである。その前に、2009年にスウェーデンの学者が先頭著者になって、地球の限界という、今、3つの限界を乗り越えられつつあるという論文が出た。その前にモナコ宣言が出ており、これは海洋酸性化が起きていると150人くらいの科学者が署名し、モナコの国王が宣言を発表したものである。
私が非常に残念に思っているのは、日本の科学者が全くこういうことに寄与していない。日本国内ではみんな奥歯に物の挟まったようなことしか言っていない。3.11以降、我々科学者は猛反省しなくてはいけない。産総研の学者が14mの津波が来るということに確信が持てるなら、なぜ銀座の真ん中へ出て大声でわめき散らさないのか。そのくらいの覚悟で社会に警告をしなければいけない。東電の6mか7mくらいの防潮堤で皆満足して、科学的な研究としては1つ2つそのような研究はあるものの対策は取る必要がないと、あらゆる局面で日本がこのようなことをやっている。これは全く環境行政にも当てはまる。
海洋酸性化の問題にしても、生態系がティッピング・ポイントを迎えるにしても、地球温暖化に伴う大変な悪影響がもう出ている。ところが、出ていると言わない。特に環境省の関係の委員会は皆そうである。適応研究委員会で報告書を出しているが、読むまでもなく、要するにIPCCの極めて保守的な見解に基づいて述べられているだけであろう。
九州北部の豪雨をテレビで見ていて、大変心を痛めた。耶馬渓の近くで川が氾濫し、レストランの天井まで水が来て、それを掃除し終わったら、1週間後にまた来て、そこでその経営者はもう心が折れたということであった。同じことはこれから全国で起きる。5月のつくば、栃木の竜巻も、2,000棟が被害を受けている。補償金は1軒100万円程度であろう。自分の金を出して再建して、来年また来たらどうするのか。地球温暖化に伴う環境影響というのは非可逆的であり、現在我々が直面している問題は、1,000年は続くものである。毎年毎年、竜巻にやられ、大洪水にやられ、そのときに自力で再生することはできない。当然、保険料は上がり始めるため、税金で対応するしかなくなる。ということは、全国民が貧しくなるということである。あるいは見殺しにするか。そういう時代に我々は入っているので、適応策の検討部会を早急に開催し、きちんとした適応策を是非やっていただきたい。
また、2℃ターゲットを昨年のCOP17で決めたが、ほとんど実行不可能な状況である。これについては膨大な論文が出ている。ケビン・アンダーソンや、チンダル研究センターの所長はもう絶望して、このままでは世界人口10億人くらいしか生き残れないなどということを発言している。有力な科学者が発狂寸前の状態まで追い詰められている。しかし、このようなことが全くこの政策評価には反映されていない。要するに認識が甘い。もっと真剣に考えて適応策を立てなければ、これは大変なことになる。
最後にグリーン経済について一言申し上げたい。グリーン経済は、日本の独壇場というか、お家芸であるため、ここに政策を集中していただきたい。環境レポートについても、まだボランタリーに取り組ませているために、環境レポートの結果を使ってエコファンドやSRIファンドができない。もっと厳しく、環境レポートを、大企業については公表を義務づける。どういうデータを出すかもきちんと指定する。この段階になれば、我々はそれをやるべきである。
【細田委員】
廃棄物・リサイクル対策部からご説明は、この書き方だと仕方がないかなと思うが、誤解があった。明らかにバーゼル法に違反するとか、明らかに廃掃法違反ではないけれども、例えば、古物商のライセンスを持っていないのに家電製品を受け取って海外に流してしまうとか、確かにリユースはあるが、動作確認をせず流れてしまうものがあるとか、家電リサイクルのリユースのガイドラインを守っていないのに、リユースとしてリサイクルしてしまう、というようなことについては、法律には違反していないけれども、国内のリサイクルという概念には明らかに抵触するであろう、そういうものに対しての取組みがまだ甘いと思う。
なぜそれを強調するかというと、この点について環境省に対する不満が大きいからだ。環境省は真面目にやっている人には廃掃法を厳格に適用しているが、たくさんの使用済みの家電をただで集め、市中回収し、海外に流してしまう人を取り締まっていないではないか。自分たちは一生懸命、家電リサイクルや、これから始まるであろう小型家電リサイクルを守ろうと思っても、これはできないと思っている人がたくさんいる。それは明らかなバーゼル法違反でもないし、明らかな廃掃法違反でもないが、やはりそれはおかしい。これに対して貴省の認識がどうなのか。無理にとは申し上げないが、やはり何らか反映する必要があるのでないか。
第2点は、山本委員の指標の話で、先ほど廃棄物・リサイクル対策部からのお話にあったように、我が国の資源生産性、循環利用率、最終処分量として3つ出したが、経済学的、工学的、あるいは経済工学的に改定の作業を進めている。最近はTMR(Total Material Requirement)も含めて勘定しようとしている。もしそれがうまく指標化できれば、将来はIFRSの資産除去債務とも間接的につながってくる可能性もある。そういう意味で、このような指標を科学的に出している。
ここからはお願いであるが、このようなことの説明が循環基本計画では出てくるが、もっと対外的に説明して、山本委員のおっしゃったような国際指標とすり合わせをするなど、我が国はここまでやっているということを広める必要があるのではないか。そうしないと、循環基本計画でいきなり指標が出てくるということになりかねない。それは大きな誤解を生むため、是非、広報的な努力もした方がいい。
【藤井委員】
参考資料1の5ページ「目標4-7 東日本大震災への対応(災害廃棄物の処理)」については、ここは既に廃棄物のところはこの書きぶりで良いと置かれたのだと思う。しかし、除染と同じように、仮置場も大変な状況になっている中で、「目標の達成状況」に、「広域処理の調整や災害廃棄物の再生利用の促進を図るなど、災害廃棄物の処理・処分を加速させていく必要がある」という書きぶりだけであるが、3月までの時点で、仮設焼却炉を含めて、処理・処分、また、再利用をもう少し前面に出して、これが動くなという予感がもう少し書けないか。目標の達成の中で、3月末時点では動く予感が全くなかったのか。方向性として、再生利用の促進を図るぐらいしか書けないのかどうか。勿論、今、ここに至っても、仮置場がどんどん設置され、一方で仮置場すらもできないところもあるため、このままでは総括のところが少し弱いという気がする。もう少し動いているぞというところを見せる、総括の中に幾つか文言を入れていただけたらと思う。
【河野委員】
先ほど山本委員から環境報告書の話が出たが、おそらく、SRIの普及とはかなり密接に関係があると思う。以前には、環境報告書のガイドラインの検討で、評価・検証制度などは議論したことがあるが、その後、少し停滞している。今後、SRIの普及とともに、おそらく環境報告書の重要性はさらに増し、その内容についての信頼性の問題や担保ということで、検証制度の検討も必要になるであろう。環境報告書作成の義務化ということも議論されたと思うが、今後、さらに重要な問題であろう。
また、先ほどの環境保健部からのお話で、金額がいいか、人数がいいかということがあったが、個人的には人数の方がいいと考えている。減っている場合に、問題があることについては、書き方の問題ではないか。努力したから減ってきているのだとも捉えられる。また、場合によっては、増えていてよくないことがある。これは認知が進み、増えているということであろう。書き方の問題ではないか。以上意見です。今後の検討に参考にしていただきたい。
【地球環境局】
まず、鷲谷先生からのご指摘は、全くおっしゃるとおりである。日本の排出量は世界全体のシェアで言えば4%である。勿論、一先進国として、あるいはグリーン技術を持っている国として、自らが下げるというのは大事だが、ご指摘のとおり、世界全体で下げていくことも重要である。それも2℃目標、これはほとんど無理というご指摘もあったが、そこに向けて、意味のある削減量をこれから世界全体で稼いでいくという必要性のご指摘だと思っている。
我が国としても、この点にも貢献したいと思っており、具体的には、国際枠組みの議論ある。2020年までの枠組みとして、現在のカンクン合意、2年前のCOPで合意したものに基づいてプレッジ・アンド・レビューということで、各国の取組みを強化していきながら、2020年までまず取り組む。さらに2030年以降は、全ての国が参加する法的枠組みをつくっていく。ダーバンプラットフォームというが、その議論が2015年までに結論が出るように取り組んでいる。2020年までの取組みについても、現在各国で目標を立ててプレッジをしている。
ただ、これを全部足し上げても、とても必要な削減量には達しないというUNEPからの指摘もあり、世界的にも、このレベルをもっと上げていかなければいけない。野心のレベルを上げると国際交渉の場では言うが、各国の目標をさらに深掘りしていくという努力は今後も継続していかなければいけない。さらに2020年以降は、現在の枠組みに入っていない国も含めて、法的な枠組みのある仕組みをつくろうと国際社会は動いている。その中でも、例えば、2030年以降の枠組みをつくるダーバンプラットフォーム特別作業部会において、この前のCOPで、閣僚レベルで提唱したのは我が国の細野大臣である。このような国際交渉の場での議論も、引き続き、今後は、その枠組みはどうあるべきか、という点についても、日本のアイデアを積極的に出していきたい。
さらに、国際枠組みだけではなく、実際の削減にも貢献したいと思っている。日本の技術、特に省エネ技術は世界に冠たるものがある。石炭、火力だけではなくて、鉄鋼もそうであり、民生技術でも、LED、車、エアコンなど、日本がトップクラスであり、再エネでも地熱発電は確か7割ぐらいは日本の企業がシェアを持っていた。グリーン技術、特に省エネは日本の得意分野であるため、このような技術を世界に使ってもらいたい。その貢献を適切に評価してもらう仕組みが必要で、技術移転については、京都メカニズムで金銭的に評価をされているが、なかなか省エネが採用されづらい。そのため、新たな補完する制度として、二国間オフセット・クレジット制度という2国間で文書を、例えばベトナムやインドネシアと結び、日本の技術でベトナムの削減がされた場合、そこで削減量を評価し、削減量を計上する。このような仕組みを進めようと、これらの国々を含めて進めている。
そうすれば、日本の技術を途上国にきちんと移転し、それが世界全体の削減につながる、それが日本の企業にとってもいいし、日本にとってもいい、勿論、移転された国にとってもいいという、win-winの関係をCDM以上に進めていくことに取り組んでいる。このように、世界全体の削減に対する日本の貢献に取り組んでいきたい。これは須藤委員長がおっしゃったとおり、事後評価の記述というよりは、今後このような形で引き続き取り組むということで回答とさせていただきたい。
また、山本委員から厳しくご指摘をいただいた適応については、一応、資料1の2ページの「目標期間終了時点の総括」の最後に、適応策を今後取り組むということで、かなり具体的に書いたつもりである。今年度、文部科学省と気象庁という、温暖化の影響評価を司る役所と具体的に手を握り、連絡会議をつくって、観測予測等々に関する政府としてのレポートをつくりたい。そのレポートも踏まえつつ、「更に関係省庁と連携しつつ」と書いてあるのは、影響予測だけではなく、具体的に適応を担当する役所、例えば、国土交通省、あるいは農林水産省、あるいは厚生労働省も巻き込んで、最終的には、我が国が今後取り組むべき適応策をとりまとめた適応計画を政府として策定したいという趣旨を書いたつもりである。記述としては不十分かもしれないが、環境省だけではなく、関係した役所をみんな巻き込んで、政府として取り組むという姿勢であるため、引き続きご指導をいただきたい。
【廃棄物・リサイクル対策部】
細田委員からの、輸出入の問題で、明らかに違反とは言い切れないけれども、怪しいのが多いのではないかというご指摘については、税関のところで全部止めようとしても、なかなか難しい。そういう意味で、現在問題になっているのは、不用品回収業者の取扱いであろう。このような業者の適正化を図る必要性は、大変大きな課題だと思っている。今年3月に、このような業者が扱うものについて、廃棄物なのか、そうでないのか、どのように判断するのか、ということをわかりやすく説明した通知を出しており、少なくとも家電リサイクル法の家電4品目については、きちんとリサイクルしようとすれば費用がかかるものであるから、決して有価物ではないのだと説明している。これらは廃棄物であるため、扱う場合には許可が必要であるということを含めて、通知を出した。その徹底を現在図りつつある。
この点については、使用済小型電子機器の再資源化の促進に関する法律が国会で審議されたときも、審議の中で同じようなご指摘を受けたため、環境省としても、しっかり取り組んでいきますという答弁をおこなった。大変重要だと考えている。
同じく細田委員からの資源生産性などの指標に関するご指摘について、確かに、もう少し国際的なPR、国際的な指標とのすり合わせも重要だと思うため、これから積極的に取り組んでいきたい。
また、藤井先生から、災害廃棄物の再利用の件についてのご指摘については、今回の地震では、現在仮設焼却炉などを建てて燃えるものは燃やそうとしているが、実を言うと、燃えないものの方が量的には圧倒的に多いため、それをどう処理していくか、またリサイクルしていくのかというのが大変大きな課題である。この点については、再利用できるものが大半を占めているため、特にコンクリートの瓦れきなどは、その再利用を図る必要がる。再利用に関しては利用する側の協力が必要であり、特に被災地では、これから復旧・復興のための公共事業がどんどん進んでいくため、そのような場所で使ってもらう必要がある。そこで、関係閣僚会合を3月から今まで4回開いており、使う側として公共事業をおこなう国土交通省や農林水産省にも入っていただき、リサイクルや再生利用をしていただくことをお願いしている。実際に防潮堤や堤防などに使うことがようやく進みつつあり、既に一部始まっているところもある。
昨年度の時点では、まだ仮置場まで持ってくるのが精いっぱいだったため、使い道があっても、なかなか供給できないという状況であった。しかし、ようやく供給体制も整ってきて、なおかつ復旧のための公共事業もこれから山場を迎えるため、そこに使っていただくという状況が整いつつある。各省の御協力をいただきながら、できるだけたくさん使っていただくことを進めていきたい。また、それはかなりできるのではないかという見通しもつきつつある。
しかし、一部、それでも使えないものもある。特に不燃物の中に色々なものが混じってしまっている。このような不燃混合物については、最終処分をするなり、最終処分場も足りないので、一部広域処理も進めていかなければならず、両面で進めていきたい。
【総合環境政策局】
山本委員と河野委員からいただいた環境レポートに関するご意見について、4年前の環境レポート法の見直しの検討会に両委員にご参画いただき、いろいろ議論をした。当時の議論としては、大企業については環境報告書が概ね作成されていること、また、環境レポートのみならず、持続可能性報告書になっている現状、さらに、CO2については算定公表制度が既にあること、むしろ今後の課題は、信頼性、比較可能性の向上をどう図っていくかということ、などの議論があった。その一方で、逆に義務化して項目を統一化しないと、信頼性、比較可能性も向上しないのではないかという議論もある中で、ひとまず作成という中で、マニュアルの改訂等によって、比較可能性、信頼性の向上を図っていこうと、このような暫定的な結論であった。それから期間が経過しているため、また環境レポートをどのようにしていくのかという議論を今後していくことが必要になってくる。その中で、このような議論がされてくるのであろうと考えている。

議事2 その他

(事務局より参考資料2「平成24年度政策評価業務の主なスケジュール」について説明)

【須藤委員長】
以上をもって、本年度の第二回政策評価委員会を終了する。

以上


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環境省大臣官房総合政策課企画評価・政策プロモーション室
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