平成24年度環境省政策評価委員会 第1回議事録要旨

  1. 日時:平成24年7月12日(木)14:00~16:00
  2. 場所:環境省第一会議室
  3. 出席者
    委員
    (委員長)
    須藤隆一
    東北大学大学院工学研究科客員教授
    井村秀文 横浜市立大学特任教授
    大塚直 早稲田大学大学院法務研究科教授
    河野正男 横浜国立大学名誉教授
    崎田裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー
    堤惠美子 株式会社タケエイ 顧問
    [欠席]
    城山英明 東京大学大学院法学政治学研究科教授
    藤井絢子 特定非営利活動法人 菜の花プロジェクトネットワーク代表
    細田衛士 慶應義塾大学経済学部教授
    三橋規宏 千葉商科大学名誉教授
    山本良一 東京都市大学特任教授
    鷲谷いづみ 東京大学大学院農学生命科学研究科教授
    事務局(大臣官房)
    谷津大臣官房長、田中総務課長、今井秘書課課長補佐、野口会計課課長補佐、瀨川政策評価広報課長、他
    環境省各局部
    坂川企画課長・細川課長補佐(廃棄物・リサイクル対策部)、小笠原課長補佐(総合環境政策局)、早水企画課長(環境保健部)、鮎川課長補佐(地球環境局)、加藤総務課長(水・大気環境局)、上河原総務課長(自然環境局)
  4. 議題:
    (1)平成23年度環境省政策評価書(事後評価)(案)について
    (2)その他
  5. 配布資料
    配布資料
  6. 議事録要旨
    議事録要旨

議事録要旨

(出欠席委員確認)

(大臣官房長挨拶)

(須藤委員長選任)

(委員長代理選任)

議事1 平成23年度環境省政策評価書(事後評価)(案)について

(事務局より資料1「平成23年施策に関する事後評価書(案)(通常評価対象施策)」について説明)

【井村委員】
「目標10-1 放射性物質により汚染された廃棄物の処理」(P.41)などにおいて、除染について記述されているのはよいことである。
しかし、ご存知の通り、昨年の東日本大震災以来、様々な問題が生じており、わが国のエネルギー政策や環境・経済政策に影響を及ぼし続けている。このことが評価書(案)の中でどのように扱われているかが気になる。廃棄物については除染に関する記述があるが、例えば「目標1-2 国内における温室効果ガスの排出抑制」(P.3)においては淡々と書かれており、震災があったのかなかったのか、この記述からは何もうかがわれない。CDMや排出権取引などのように、震災前から実施されてきたことが何事もなくそのまま続いているだけのような印象である。この点をどのように受け取ればよいのか。震災が温暖化政策に及ぼした影響については、そう簡単に評価できないとは思う。そのため、それ以前に進めてきたことがどう継続されて完成したのかを報告するという意味で、評価書(案)の記述の仕方には一理あるのかもしれないが、震災の影響を受けての変更点や今後の施策への影響について、非常に気になっている。
質問であるが、放射線による健康影響の問題について、不安など様々なことが新聞に出てくるが、環境保健部はどのように関与するのか。他省庁の管轄なのか。
【須藤委員長】
今の井村委員のお話は、先ほどの官房長の御挨拶と事務局の御説明との食い違いがあるかもしれない。今回は平成23年度の説明なので、24年度になったらこうなるということを説明していただくと、もしかしたら井村委員への御回答にもなると思う。一応「23年度」というのは2012年3月で区切っているので、委員の方々は23年度までの問題としての記載であるということを御理解いただいた方がよろしいかもしれない。
【大塚委員】
3点ある。まず、「目標1-1 地球温暖化対策の計画的な推進による低炭素社会づくり」(P.2)に「温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%」とあるが、書くとしても条件はついていた。このままの表現で書いてしまってよろしいかということである。
次に、「目標1-4 市場メカニズムを活用した海外における地球温暖化対策の推進」(P.7)における「クレジット取得量」というのは、自主行動計画に基づく鉄鋼・電力業界による取得分は入っているのか。あるいは、「契約量」とあるので、日本政府が買ってきたものだけなのか。
最後に、「目標4-7 東日本大震災への対応(災害廃棄物の処理)」(P.23)における「災害廃棄物の処理・処分割合」が目標25年度までに100%に対して現在8.1%のようであるが、もう少し急ぐ必要があるなど、書き方を工夫してはいかがか。
【河野委員】
まず、地球温暖化について。井村委員の発言にあったように、震災があったためにエネルギー政策や環境政策に影響を与えているはずである。しかし評価書(案)ではそのようなことは伺えずに淡々と書いてあるが、どこかに影響について書く必要があるのではないか。2020年や2050年目標についても変更しなくてはならないのではないかという閣僚からの発言もあるようである。このままでよいのか。
次に、公害に関連する「施策7.環境保健対策の推進」(P.33~39)では、目標値がない。しかしながら、成果としては上がったとか、進捗があったという記述がされている。目標がないにもかかわらず、成果が上がったというのは、どのように判断したのか。
【堤委員】
まず、「目標4-2 各種リサイクル法の円滑なリサイクル等の推進」(P.11)および「目標4-7 東日本大震災への対応(災害廃棄物の処理)」(P.23)に関連して、廃石膏ボードに関する気がかりがあるため、触れさせていただきたい。
廃石膏ボードは、建設廃棄物の有効利用が遅れている数少ない品目である。廃石膏ボードの問題点は、解体後の約4割がどのように処理されているか判明していない点と、一定の条件が整えば毒性が高い硫化水素の発生源となりうる点である。自分は以前、硫化水素が発生している埋立跡地を見学したが、5つあると言われている硫化水素発生の条件を備えた特殊な光景がそこにはあるのだと思い込んでいたところ、現地ではここが生き物の命を瞬時に奪うこともあるという危険なガスが発生している場所だとは思えないような、のどかな、ありふれた埋立跡地であった。厳重な囲いとか広範に張り巡らされたパイプ管だけが事態の深刻さを物語っていたが、この見学を通して、リサイクル技術を育てて埋め立てをしないこと、あるいは埋め立てるのであれば、埋立基準を徹底して守り抜く、そういうシステムにしていかないといけない。また、自分自身への戒めとしても、廃石膏ボード処理に関わる者の最大の責務はここにあると認識した次第である。
このようなことから、平成19年度の議論以降、廃石膏ボードについて非常に心配していたところ、東北で膨大な量の災害廃棄物の処理が進められる中で、この石膏ボードが問題になりつつある。管理型廃棄物である廃石膏ボードの処理には行き詰まりが見えている。建物の1平米あたり4~6kg程度の石膏ボードが使用されているようである。この大きな量を東北において受け入れる処分場やリサイクル施設がないのが現状である。しかし、後世に禍根を残すことになりかねない、安易な処理はしてはならない。この辺りをしっかりと防止していかなければならないと考えている。
この点では、災害廃棄物の広域処理の問題もあるため、一つ一つ、中にはそういう大きな問題を抱えているということを環境省がもう一度再確認していただいて、しっかりと防止していただきたい。
次に、「目標4-2 各種リサイクル法の円滑なリサイクル等の推進」(P.11)の建設リサイクル法における特定建設資材として、廃石膏ボードの現場分別の徹底および再資源化の促進の措置については、国土交通省とともに万全の対策を打っていただきたい。是非、解体系の廃石膏ボードの多くがどう処理されているかさえ明らかにならない、そういう状況を一時も早く脱却する根本的な対策を求めていきたい。
【崎田委員】
2点、気になった点がある。1点目は、地球温暖化の目標設定についてである。目標設定については、エネルギーの将来ビジョンの選択肢などの検討において揺れ動いていたが、ようやく、エネルギー・環境会議による選択肢として、「2030年23~25%マイナス」という数値で統一されたようである。非常にわかりやすく出てきたと感じている。しかし、本数値は日本が世界的に表明していた「2020年25%マイナス」という目標よりも10年遅れた数値である。このような状況に関する記述が情報提供としてあってもよいのではないか。今後ご配慮いただきたい。
2点目は、東日本大震災への対処として様々な項目がでてきており、どれも非常に重要である。これらの項目については、予算はそれなりについているが、それをどう使うかは走りながら、また苦しみながら考えている状況である。しかし、このような状況でありながらも政策評価書(案)では、目標設定して努力していると淡々とした表現で記述されている。もちろんこのようなことは書きにくいということは重々わかっているが、実際に福島県における対話へ協力している経験から申し上げると、このような書き方で本当によいのかと考えてしまう。皆様がご苦労されている状況をもう少しわかるような書き方でもよいのではないか。
最終的な政策目標がうまく実施されているかどうかということが、この政策評価の大事なところではあるが、東日本大震災という日本で初めての状態の中で、法律は決めて政省令も決めてあるが、それを具体的に進めるに当たって、本当に現場でガイドラインどおりにいくのかいかないのか、毎日口角泡を飛ばしやっているような状況の中で、今までと全く違う対処をしているのだという状況を表明しておいた方がよいのではないか。東日本大震災というこれまでにない状況で、今までとは全く異なる対処をしているという状況がわかるようにしていただきたい。
【須藤委員長】
自分自身、被災地の真ん中におり、現場のお手伝いをしている。そのような中で、評価書(案)を読むと、本評価書(案)は23年度の事後評価であるから、24年度、25年度については書かなくてよいであろうが、地球温暖化や東日本大震災への対応において、実際の話があまり出てこない。例えばエネルギー政策に関連して、節電などがあり、原発もすべて停止してしまい非常に苦労している。このようなことは地球温暖化対策に一時的には影響を及ぼしていると思うが、このようなものの切り替わり、あるいは価値観の変更の展望があまり記述されていない。
また、災害廃棄物については、マスコミは対処が遅れていると報道しているが、自分は遅れていないと考えている。しかし世間的には遅れているということで、環境省から県市町村などの自治体へ出向いたようである。26年3月までにすべて完了すればいいことになっているが、目標立てて予算の配分をし、検討を市町村にまかせて当該市町村から報告を受けたことなど、あっさり書きすぎている。放射能の特別措置法についても同様であるが、目標を立てにくいのかもしれないが、進捗と対応および将来の展望については23年度の分はこのように考えた旨の記述があってもよいのではないかと考えている。
【地球環境局】
井村委員、河野委員、および須藤委員長からの、震災によってエネルギー・環境・経済政策に大きな影響があったにもかかわらず関連する記載があまり見受けられない、というご意見については、おっしゃるとおりである。須藤委員長からも冒頭おっしゃっていただいた通り、本評価書(案)は、平成23年度の事後評価ということであるが、確かに個別の年度ごとの予算事業、より細分化すると節電や再生可能エネルギー、省エネというような予算が23年度も補正を含めてかなりついているため、表現を検討したい。
崎田委員からもご発言いただいたとおり、現在2020年、2030年における地球温暖化対策の姿については、震災の影響を受けて、白紙から見直した。対策自体は2013年以降であるため、事後評価においてはうまくはまらなかったが、このような検討をしている旨は評価書(案)に記述している。ただ、「震災を契機に」という表現は記載していなかったため、表現できていないところがある。しかし、震災関連については、P.2に「震災・原発事故を踏まえて見直しが必要である箇所の選別を行い」とあっさりではあるが、一言記述している。
また、同じく崎田委員がおっしゃったとおり、地球温暖化の目標設定の選択肢でパブコメ等、国民的議論の手続を進めている。地方説明会、意見聴取会などによって国民の意見を直に聞くということも含めて、7月いっぱい取り組みたいと考えている。一応、8月中を目処に選択肢の中からエネルギー・環境に関する戦略を取りまとめる予定であるため、24年度の評価書においてきっちり書き込む予定である。現在は23年度ということでこのような表現にならざるをえないことをご理解いただきたい。
大塚委員からのご意見である、条件なしで25%と記述している点については、確かに前提条件を記述していなかった。単純に省いてしまっていた。記述していきたい。なお、第4次基本計画に入っていないというご指摘については、第4次基本計画の策定時点で2020年25%という中期目標については事実関係ということで記載している。
河野委員が言及されていた、2050年目標について変更しなければならないというような点については、基本計画でも今までと同様に目指すということで第4次基本計画にも記述しているため、現在のところ、政府内で変更するという議論はない。
最後に大塚委員からの「クレジット取得量」の定義については、「契約量」とあるため、政府が契約したものであり、電気事業連合会などの自主行動計画達成のために取得して政府に移転した分は入っていない。
【須藤委員長】
移転分について統計は取れているのか。
【地球環境局】
政府口座に移転済みのクレジット分についての統計はとれているはず。ただ、電気事業連合会全体の取得分については必ずしも数値が公表されているわけではない。
【大塚委員】
その旨記述しておいたほうがよいのではないか。
【地球環境局】
電気事業連合会などからの移転分については、市場メカニズムの活用という政府の施策ではない。政府の方の1.6%というのは、目達計画で買う、政府として調達すると計画に載せている部分であるため、明確な記述を検討したい。
【廃棄物・リサイクル対策部】
大塚委員からの、廃棄物処理についてさらなるスピードアップが必要ではないかというご指摘については、確かに、昨年度末の処理・処分の割合が8.1%であるため、地震から3年以内に処理をするという目標を立てている以上、このペースで行ったのでは到底間に合わないということになり、スピードアップしていく必要がある。ご指摘の通りであるため、表現を変えたほうがよいと考えている。
ただ、状況をご説明すると、昨年度は様々な課題があり、数値で見る限りでは8.1%に留まってしまっていた。昨年度は主に仮置き場まで移動させる作業を重点的に行っていたため、処理・処分量で見ると少なくなってしまっている。また、今年度に入ってから現地では仮設焼却施設が設置されてきているため、今後、よりスピードアップが図られると考えている。
広域処理については、実現まで非常に時間がかかっているが、様々な自治体で広域処理を実際に実施していただいたり、近々始まる自治体が増えてきているため、今後は昨年度よりかなり進むであろうと考えている。なんとかして目標を達成していきたい。
その他のご指摘として、書き方があっさりしすぎている点については、その通りかもしれない。本問題については昨年度から様々なことを実施してきている。単なる予算の増額のみならず、使い道についても補助制度の枠を超えて特例的に手厚い支援を行っているほか、人的支援、法律制度についても特例を設けるなど色々行っている。今まで行ってきたものを考慮に入れて、記述をもう少し充実させたい。
堤委員からの石膏ボードに関するご意見については、建設リサイクル法の見直しにおける次の課題である。今までコンクリート、アスファルト、木くずなどについてはかなりリサイクルが進んでいるが、石膏ボードについてはリサイクルがしにくいということで、リサイクル義務がかかっていない。今後どのようにリサイクルすべきかという検討を行っている。リサイクルについても安全に行わなければならない。石膏に戻してもそのままでは使い道がないため、他の用途に使っていかなければならない。土壌改良剤などに利用したときに安全なのかなど、安全な使用方法を検討している。次の建設リサイクル法の見直しに向けて、国土交通省と相談しながら解決策を考えたい。
堤委員よりお話があったとおり、災害廃棄物についても一つの課題であり、現地ではリサイクルできるものはできる限りにリサイクルするということになっているが、リサイクルできないものもある。その一つが石膏ボードであるが、なるべく現地の処分場へ持っていかざるを得ない。この際には、適切に環境保護上問題がないような処分を進めていきたいと考えている。いずれにしても、リサイクルをどんどん進めていかなければならない品目であるので、リサイクルの方法についてさらに検討を進めていく。
【総合環境政策局】
井村委員からの原子力安全規制関係の組織に関するご質問については、前回の政策評価委員会において政府として原子力規制庁設置法案を提出している旨をご報告したが、その後、自民党・公明党から独立行政委員会として原子力規制委員会設置法案が提出された。6月に与野党において調整がなされ、両者の折衷案というかたちで6月20日に法律が成立、27日に公布、公布後3ヶ月以内に施行となっている。
内容としては、原子力規制委員会という独立行政委員会を設置する点については自民党・公明党の案を採用している。本委員会は、基本的に原子炉の規制や技術派遣を中心に行うことになっている。その上で、防災対策として原子炉の外のオフサイトにおける住民の避難なども含めた調整については、必ずしもアカデミックな判断だけではないため、内閣府に原子力防災会議を設置した。本会議については、内閣総理大臣や環境大臣が関与して防災対策を行うという、自民党案・政府案の折衷案のようなかたちになった。
この中で健康管理については、原子力規制委員会設置後については、環境省本省の環境保健部が担当するということになっている。
【環境保健部】
井村委員からの健康不安に関するご質問については、現在のところは内閣府における原子力被災者生活支援チームが中心となりつつ、様々な問題があるため、環境保健部のメンバーも実質的にサポートしながら有識者懇談会や各省の連絡調整などを行っている。今度新しく規制委員会ができ、環境省のなかに組織ができることになるが、実際の仕事分担などは現在調整中であるものの、基本的に環境保健部も関与しながら進めていくことになっている。内閣府の支援チームについてはなくなることになっているため、その分はきちんとフォローしていく。
河野委員からの、目標設定がないのに目標達成に関する記述があるというご指摘については、「目標7-1 公害健康被害対策(補償・予防)」の部分は、補償や認定について予防措置をとるということになっており、例えば水質汚濁防止法など実際の公害対策については別の目標グループになっている。公害病と認定された方への補償給付または保健福祉事業、あるいは水俣病や石綿で健康を害された方の認定などでは、認定される方と一部認定されない方も場合によっては出てくるということになるが、このような認定事業や認定された方への医療費の支給などについては、なかなか目標が立てにくいということで、具体的な数値目標は立てられていない。評価書(案)の中で成果があったと書いている点については、「健康被害の予防及び健康の確保に成果があった」というのは書きすぎている点もあるが、ここで書きたかったことは、公害健康被害者の方で認定されている方についてはきちんと必要な支給なり福祉事業は行っているということと、認定申請があった方にはきちんと審査をして必要があれば認定・給付を行っているということである。
【水・大気環境局】
井村委員、河野委員、須藤委員長からの除染においてあっさり書きすぎているというご意見は、その通りである。除染の担当者とも相談してもう少し書き込める箇所は工夫したい。いずれにしろ、除染についても24年度に入ってからも日々進捗しているため、どこまで書けるか検討する。
【崎田委員】
環境保健部から今後の放射線影響による健康被害に関する発言があったことを受けて一言申し上げたい。福島県において大きな研究拠点構想があり、今後の放射線の長期的モニタリング、放射線影響の研究、および健康被害などを網羅し、各省庁の研究機関がすべて参加するような大きな拠点構想を計画中のようである。同時に国も、本計画を補強し、応援するような国レベルの拠点構想を持っているようである。現在、環境省が中心となってとりまとめているが、この調整は今後非常に大切である。国の構想には健康被害対策などについても入ってくるであろう。今後環境省が具体的に国全体の構想を束ねながら取り組むにあたって、明確な部署を環境省内に設けるのはいかがか。長期的視野に立って今後社会に発信することを考えると必要なのではないかと考えている。是非、様々な情報を集約し、国民にわかりやすいかたちで検討を進めていただきたい。
【須藤委員長】
ただいまの崎田委員からのご意見は、もう24年度の評価であり25年度への展望なりということになってしまうのであるが、23年度の評価というよりも、このような連続性のある議論なになっており、今のようなご意見にお答えいただくのは大切だと考えているため、ご回答いただきたい。
【総合環境政策局】
崎田委員からの研究拠点構想に関するご意見については、本拠点構想は、県と国が別にというより、福島県の環境創造センターをベースとして国の色々な省庁が関わり、県と国が連携しながら一つの構想として作っているものである。その中には様々な研究機関が入っており、環境省関連では国立環境研究所、その他に放射性医学総合研究所も加わっていく。現在予算を調整しているところである。専属の部署を設置することについては、行政の中では難しいことではあるが、環境省の中で言えば、総合環境政策局、環境保健部や除染チームなどが連携して拠点構想に取り組んでいきたい。
【河野委員】
2点質問がある。1点目は、この評価書(案)は淡々と記述されているが、標準形式が採用されたことに関わりはあるのか。枠の中に収めるためにこのような書き方になったのか。実際に書かれた方はどのようにお考えなのか。自分自身が政独委の委員でもあるため気になるところである。できるだけ各省で統一的に評価書を作成するとなると、省によっては省略したいという箇所もあった。統一的に作成した方がいいということで議論していたが、標準方式について書かれた側のご意見を伺いたい。
2点目は、廃棄物の処理について、広域処理については出来るだけ早く行うためには余剰能力がある処分場で行うことになるとは思う一方、ごみが分散することを考えるとすべて広域処理ではないほうがよいとも考えている。仮処分場も設置されているという話を伺ったが、この仮処分場と広域処理に任せる分量や割合はどのように決定しているのか。
【廃棄物・リサイクル対策部】
河野委員からの広域処理に関するご質問については、今回は放射性物質によって汚染されているという懸念があったために進みにくかった。そこで、今回はなるべく被災地において処理することを基本にしながら、それでも目標期限までに処分できないものについては他の都道府県に広域的に処理をお願いするということになっている。
福島県については県の中で処理をするということが基本的な考え方になっている。岩手県と宮城県については、平成26年3月までに処理可能・処理不可能な分量に関するデータを5月に作成した。3県の沿岸部の災害廃棄物は1,900万トン程度あるうち、247万トンについては広域処理をお願いしたいということにしている。
現時点では可燃物については見通しがついているが、不燃物については広域処理の引き受け手が十分見つからない状況である。そこで、不燃物については今一度それぞれの県の中で再生利用ができないか検討を進めている。被災地で更に処理を進めながら、どうしても処理できないものは他の県にお願いしていくという方法で進めているところである。
一方で、広域処理を進める際には、安全には念には念を入れて、どのように放射性物質の濃度を監視していけばいいかとか、処理をする際にどういう点に気を付ければいいかとかなど、より安心していただけるようガイドラインを示しながら進めている。
【谷津大臣官房長】
河野委員からの標準形式を使用することに関するご質問に関連して、前年度の政策効果の評価については、原課原局の立場で考えると、4つ程度、同じように前年度の政策のレビュー作業を行っている。
1つ目は白書であり、前年度の政策を閣議決定して国会に報告するものである。
2つ目は、環境基本計画の実施状況の点検であり、これは、5年計画で立てた環境基本計画に盛り込まれた計画について毎年度レビューを実施するものである。基本計画の中にも、個別の目標は当然掲げてなるべく数値化し、定量的な評価ということを別途中央環境審議会の場で行っている。
3つ目は行政事業レビュー、いわゆる事業仕分けのようなものである。これは環境省の予算の立て方で区分けしているが、環境省の事業全体では300以上の事業あり、それぞれの事業ごとにいかに予算が効率的に使われたかを評価している。一部分のものについては公開プロセスで客観的な御議論、評価をいただくという中で、現状どおりなのか一部改善なのか抜本的改善なのか廃止なのかという予算ベースでの作業が行われている。
最後は、法律に基づいて各省が行う政策評価がある。
これらには当然ながら、固有の目的・手続き・プロセスがあるが、上記の4つの政策レビュー業務はそれぞれ課室で行っているため、その中で、政策評価をどのように差別化し、追加的プログラムとしての獲得目標をどのように設定するかというのは毎年悩んでいる。実感的に言えば、まだ試行錯誤中のプロセスのような気がする。引き続きご指導いただきたい。
【須藤委員長】
廃棄物の量については、当初予定していたよりも400万トン程度少なかったようであるが、このような場合、本当に広域処理は必要なのか。海に流出または沈殿したものも、100万トンや200万トンもあるといわれており、アラスカまで到達しているといわれている。基本的には海流漂着物については漂着先の国に任せることになっているが、災害廃棄物についてはどのように考えているのか。
【水・大気環境局】
海洋漂着物については、すでに到達しているものもあるが、シミュレーションによれば、本格的に到達するのは今年の夏から秋にかけてとされており、このような情報については、米国・カナダと情報交換をお願いしている。日本からはシミュレーションの情報を提供している。
処理については、日本の民間NGOが相手国のNGOと共に取り組んでいただいているため、国としてはそのような活動に対して支援を行っている。
また、費用負担については、ごみを流した国が払うという国際約束にはなっているわけではない。例えば日本も中国や韓国などからの漂着物について日本の費用で処理しているという実態である。とはいえ、費用も含め、今後どのように対応すべきか日本政府全体で検討しており、海洋本部において環境省や他省庁が検討している。
環境省の役割については、シミュレーションによる漂着時期に関する情報提供や、民間NGOのサポート、外務省も含めた関係省庁の間で海洋本部を中心とした情報交換である。
【大塚委員】
先ほどの水・大気環境局からのお話にあった中国や韓国からの漂着物については、不法投棄物であるケースが多く、今回は不可抗力によるものであるため、法的には同じものとして扱わないほうがよろしいと考える。日本が費用負担した方が倫理的にはいいと思うが、法的にはそこまで求められる理由はないことはないと思われるため、その点は、不法投棄物と一緒にしないほうがよい。日本が何もしなくてよいというわけではなく、やった方がよいとは考えてはいるが。
また、31基の仮設焼却炉が設置されたということは、247万トンを広域処理としてお願いすることを5月に決定されたわけではあるが、この数値は今後減る可能性はあるのか。
最後に、除染に関して、「目標10-2 放射性物質汚染対処特措法に基づく除染等の措置等」(P.43)において、測定指標で1ミリシーベルト以下というのは長期的な目標であるからまだよいが、「測定指標」の3~5については目標の期限が決まっているので、もう少しスピードを上げなければならないのではないか。非常に大変なことはわかってはいるが、書くとしたらそのような問題がある。
【廃棄物・リサイクル対策部】
大塚委員からの広域処理をお願いする量に関するご質問については、5月に宮城・岩手・福島の3県において、247万トン分を広域処理としてお願いしたいという数値を出した。うち、木屑可燃物については105万トンあった。これはもともと仮設焼却炉で焼却することを見込んだ上で、広域処理が必要であると算出した数値である。この数値は今後あまり変化ないであろう。一方、不燃物については129万トンあるが、もう少し被災地において再生利用できないか検討しているため、本数値はもう少し減る見込みである。
須藤委員長から5月の時点で災害廃棄物の量が減ったというご指摘があったが、減った要因としては、洋上へ流れてしまったものもあるが、それ以外に大きな理由としては、もともと去年見込んでいた時点では津波被害があった建物は廃棄物になると考えていたものが、実際は修理して使い続けるというものが多かったため、全体量が減ったことにつながった。
【水・大気環境局・除染チーム】
放射性物質汚染対処特措法は廃棄物と除染の二本立てになっており、バランスも考えられている。大塚委員からの、もう少しスピードを上げて対処する必要があるというご指摘に関連して、数値指標に対する評価結果については、特措法が1月から全面的に施行になったため、書ける内容が限られてしまっている。一方、これまでモデル事業などを行ってきているため、廃棄物・リサイクル対策部と連携をとって書きぶりを検討していきたい。
大塚委員からの仮置き場の確保が重要というご指摘についてはその通りである。評価結果という欄に書くことが的確か否かを含めて検討する。
また、同じく大塚委員からいただいたご指摘の中国・韓国の不法投棄物とは異なるというご指摘については、災害漂着物については、米国政府と話したところ、不可抗力によるものということは理解いただいているため、そのようなことを含めた議論にしていきたい。
【井村委員】
環境省において4つのレビューを行っていらっしゃる点に関連して、政策評価は法律に基づいて毎年しっかり行わなければならず、淡々と行うと、今年のような書きぶりになってしまい、どのようにすればよいのかと自分自身も考えているところである。
環境白書については、総論が設けてあり、大きな流れとして大局的な見方を入れ、それを毎年記者発表すると、新聞が取り上げてくれるとのことである。これも一つのヒントになるかもしれない。
ただ、そうは言っても様々な作業をしなければならないために大変であろう。うまく負担をかけずに作成することが問題である。すぐにいい知恵はないが、今年度についてはもう少し工夫の余地があるのかもしれない。総論的な説明を加えるということについては、今後課題として検討が必要かもしれない。
【須藤委員長】
瓦礫の処理など仕事は増えており、予算も増えているが、人が増えていない。特に、水・大気環境局と廃棄物・リサイクル対策部である。今まで取り組んできた行政が立ち遅れてしまうのではないかと心配している。
【廃棄物・リサイクル対策部】
正直に申し上げるとなかなか答えにくいが、一応定員も今年度はかなり増やしていただいた。十分かどうか別にして、今まででは考えられなかったぐらい定員増はしていただいたということであり、そういった増えた人数をうまく使いながら、災害廃棄物、放射性物質に汚染された廃棄物処理を行っていきたい。ご指摘のように、それ以外の従来からの業務に影響があってはならないため、何とか問題がないようにしっかりやっていきたい。
【水・大気環境局】
水・大気環境局の方も、実際上なかなか人が足りていないということはあるが、今の現有戦力の中で、落ちがないように頑張ってやってきている。自分自身、局内で3足のわらじを履いているため、できる限りのことをやっていきたいと考えている。
【谷津大臣官房長】
廃棄物・リサイクル対策部は、このような危機的な状況にもかかわらず、現在法律を国会に2本提出している。一本は産業廃棄物特別措置法を10年間延長する法案であり、もう一本は小型家電のリサイクル法である。各部局とも必要な施策は歯を食いしばってギリギリに行っているところである。
【崎田委員】
話が少し広がりすぎてしまうかもしれないが、政策をきちんと実行するために、職員の健康、身体と精神の健康というものへの予算配分も考えなければならないのではないか。緊急対応が増えている状況における予算配分について、内部できちんとお考え頂きたい。
【谷津大臣官房長】
予算配分については、一つはタクシーで帰宅できるか否かということである。ISO14001という一定の枠がはまっているために柔軟に対処することは難しいが、遅くまで仕事をしている職員については少しでも休息の時間をとってもらえるように配慮している。
予算面については、できるだけ外注をして、直接職員が行わなくても済むような外注のための予算なども現場で色々工夫している。

議事2 その他

( 事務局より参考資料4「平成24年度政策評価業務の主なスケジュール」の説明)

【須藤委員長】
以上をもって、本年度の第一回政策評価委員会を終了する。

以上


問い合わせ先
環境省大臣官房総合政策課企画評価・政策プロモーション室
ご意見・ご要望