環境省
VOLUME.66
2018年8・9月号

CASE STUDY 1 損害保険ジャパン日本興亜株式会社 作物への被害を「保険」が救う!

天候に負けず、農家が安心して作物を作れるように支援

天候異常がもたらす農家への損害を減らそうと保険を開発し、資金や支援の少ない
東南アジアの農家を助ける、新しいスキームでの取り組みが行われています。

農業は気候変動によって、大きな影響をうけやすい。こうした状況を受けて始まったのが、天候インデックス保険だ

農業は気候変動によって、大きな影響をうけやすい。こうした状況を受けて始まったのが、天候インデックス保険だ

 農業は極端な天候の変化によるダメージを受けやすい産業のひとつ。損害保険ジャパン日本興亜(以降、損保ジャパン日本興亜)は、2007年から国際協力銀行などと共に天候リスクに適応するための商品の研究を始め、2010年に農業を主要産業とするタイ東北部の稲作農家を対象に、干ばつリスクに対応する「天候インデックス保険」の提供を開始した。

 天候インデックス保険は気温や風量、降水量、日照時間などをもとに、あらかじめ設定した「天候指標」が一定の条件を満たした場合に定額の保険金を支払う保険商品で、農家は異常気象などによる収入の減少リスクを軽減させることができる。「一般的な保険の場合は、保険金の支払いを確定させるために損害調査が必要となりますが、天候インデックス保険は、天候指標などの条件を満たしていれば、損害調査を行うことなく保険金を支払うスキームを採用しています。そのため被害を受けた農家にとっては迅速に保険金を受け取れるというメリットがあるのです」と語るのは、同社の小川慶章さん。

 2010年の販売当初はタイ東北部の1プロビンス(タイの行政区域)のみでの販売だったが、2018年現在では、20プロビンスまで販売地域が拡大。またフィリピンのバナナ生産者へも同様の保険を提供し、ミャンマーの稲作・ゴマ農家などにも保険の販売を準備するなど、ほかの東南アジア諸国への展開も進んでいる。
「まだ日本で環境問題がそれほど意識されていなかった90年代から、当社では環境をはじめとする社会課題の解決に向けたビジネスに意欲的に取り組んできました。地球温暖化が進行すれば気象災害が増加し、それによって農家の損害も増えることが想定されます。今後も気候の変化に適応できるように、商品を通じて社会に貢献したいですね」。

ミャンマーで行われた、現地農家へのヒアリングの様子。データを集め、保険の展開に役立てる

ミャンマーで行われた、現地農家へのヒアリングの様子。データを集め、保険の展開に役立てる

東南アジア各国では産業の多くを農業が占める事も多い。現在、図中各国に天候インデックス保険を展開している

東南アジア各国では産業の多くを農業が占める事も多い。現在、図中各国に天候インデックス保険を展開している

INFORMATION損害保険ジャパン日本興亜株式会社https://www.sjnk.co.jp/

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