10周年を迎えたエコ・ファースト制度
環境省では、環境問題への先進的な取り組みを行っている企業を後押しするため、2008年4月に「エコ・ファースト制度」をスタートしました。今年、ひとつの節目ともいえる10周年を迎えたことを契機に、環境保全への気運をさらに高めていきます。
エコ・ファースト制度とは
気候変動をはじめ環境問題は深刻化しており、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」やパリ協定の実現に向け、あらゆる主体が行動を起こすことが必要です。脱炭素社会や循環型社会の構築への取り組みは、企業にとっても重要な柱といえるでしょう。エコ・ファースト制度は、地球温暖化対策、廃棄物・リサイクル対策、生物多様性の確保などの環境対策について「先進性、独自性、波及効果」のある取り組みをしている企業を、環境省が「業界におけるトップランナー企業」として認定する制度です。
認定を受けた企業は「エコ・ファースト推進協議会」を組織し、自主運営をしながら、各企業間、また環境省との連携を強化して、継続的な環境保全に取り組んでいます。
現在までに認定を受けている企業は40社(2018年3月現在)。このうち制度開始直後から認定を受けている6社に、これまでの取り組みや成果、そして今後の目標を聞きました。
環境省主催の「エコライフ・フェア2018」に出展した環境省政策評価室とエコ・ファースト推進協議会の共同ブース
4月11日、イイノホール&カンファレンスセンターで開催されたエコ・ファースト推進協議会2018年度通常総会
認定企業のこの10年
1株式会社ビックカメラ省エネ家電の普及、3R活動を積極的に推進
2001年に子会社の総合循環ソリューション企業(株)フューチャー・エコロジーを設立し、省エネ家電の普及促進、法定家電リサイクル、PCリユース等の3R推進などに取り組んできました。小型家電の宅配回収リサイクルサービスや(初年度回収実績59.5t)、プラスチック製・紙製容器包装等の大幅削減(前年比21.6%)を実現。また、店舗・事務所における照明のLED化のほか、小・中学生を対象にした「ビックカメラ・エコツアー」を毎年実施しています。
SDGsの社会課題の克服、そしてSociety5.0※も視野に入れた活動を進めます。
※IoT、人工知能(AI)などの最新技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れて、一人ひとりのニーズに合わせる形で社会的課題を解決する新たな社会
2ユニー株式会社食品リサイクルを通し、地域循環・地産地消を考える
2007年に全国初の、食品リサイクル法に基づく「再生利用事業計画」認定を受け、再生利用事業者、農業生産者とのパートナーシップを基に、食品リサイクルループを構築、運用しています(2013年には、1府18県で16ループを構築。2018年度には全店舗に拡大予定)。2017年度には再生利用等実施率80%を達成しました。食品リサイクルを通して地域循環・地産地消を考え、生産者と消費者を結び、安全安心な農畜産物を提供することを目的としています。
食品ロスの発生抑制や、フードバンクなどの支援活動にも取り組んでいきます。
3キリン株式会社容器包装の軽量化によりCO2排出量を大幅削減
特に容器包装の3R推進に力を入れ、容器の製造段階も含めたバリューチェーンでのCO2排出削減を実現しています。国産最軽量の軽量中びん(従来470g→380g)を開発し、2014年から10年計画で全量を切り替え中です。また、国産最軽量のアルミ缶(13.8g 、従来より33%削減)、国産最軽量の水用2Lペットボトル(28.9g)、コーナーカットカートンから長側面をカットしたスマートカットカートンの開発・採用、6缶パックの軽量化なども進めています。
2030年までに、温室効果ガスの30%削減(2015年比)を目標に設定しました。
4ライオン株式会社温室効果ガス排出量削減に向け、着実に目標達成
2013年に環境目標「Eco Vision 2020」を策定しました。事業活動に伴う温室効果ガス排出量削減はもちろん、成分の植物原料への転換、商品の濃縮化・小型化などにより、商品使用後に排出される温室効果ガス削減に関する2020年までの約束も達成しました。千葉工場では2016年から製造工程排水リサイクル設備が稼働し、水使用量を2017年に2013年比40%削減。また、2020年までに全事業所で廃棄物リサイクル率99%以上という目標も達成しています。
環境ラベルを表示し、「エコの習慣化」につながる啓発活動を活発化させます。
5株式会社LIXIL環境負荷低減のためのトータルソリューションを
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及を目指し、LIXIL TEPCOスマートパートナーズを設立。太陽光発電システムを実質自己負担ゼロで設置可能で、電気代も節約できるサービスを開始しました。また、高断熱窓、超節水トイレなどの開発・販売も進めており、住まいと暮らしの環境負荷低減に貢献しています。2017年には、断熱性に優れた未来住宅の快適性を実感してもらうための新施設「住まいStudio」(新宿区)をオープンしました。
「環境ビジョン2030」で掲げた「環境負荷ネットゼロ」を目指した取り組みを推進します。
6積水ハウス株式会社ZEHの普及を加速させ、脱炭素社会へ
住宅は社会の中心にあり、私たちを取り巻く環境問題は住宅から解決できると考え、ZEH「グリーンファースト ゼロ」の普及を加速させています。2017年度の新築戸建住宅のZEH比率は76%で、累計35,881棟を達成。さらに、賃貸住宅や分譲マンションにも普及を拡大しています。また、地域の生態系に配慮した在来樹植栽を推進するほか、ゼロエミッション強化のための次世代システムも導入。持続可能な循環型社会への先導を着実に進めています。
「2050年ビジョン」を宣言し、住まいからのCO2排出量ゼロを目指しています。
エコとわざコンクール
環境教育の一環として、エコ・ファースト推進協議会では、毎年、全国の小・中学生を対象に、未来の地球環境を守るためのアイデアを表現する、創作ことわざコンクールを開催しています。8回目となる2017年は、大阪の小学一年生、中田理仁さんの作品が環境大臣賞を受賞しました。
エコ・ファースト情報交換会
エコ・ファースト推進協議会では、定期的に情報交換会を実施しています。会場となる企業の見学や、テーマを決めて参加各企業の取り組みや事例を発表するなど情報を共有し、企業間の連携も積極的に行われています。