環境省
VOLUME.66
2018年8・9月号

課題解決ストーリー エコ・サクセス

エコに取り組み、目標を達成した
サクセスストーリーを紹介します

Vol.02 筑西市商工会エコの木プロジェクト部会

太陽の光と熱だけで果物や野菜を効率よく乾燥させる「おひさまドライヤー」を開発。
地域の商工業者の取り組みが、エコと地域の産業をつないでいます。

【課題】採れすぎるゴーヤをムダにしたくない…

START!
余ってしまう実の活用方法を考える

 電気を使わず、青果物を手軽に乾燥させることができるおひさまドライヤー。仕事の中でできる温暖化対策を考えようと活動する、エコの木プロジェクト部会が製作した。メンバーは左官業、石材業などの地元事業主で構成され、部会が10年続けている緑のカーテンプロジェクトでは、採れ過ぎるゴーヤが悩みの種。実を効率的に乾燥させて活用しようと、開発がスタートした。

START!

ゴーヤを育てて日差しを遮る緑のカーテンプロジェクトは、2009年から市役所や商工会で続けられている

PROCESS
アルミホイルと桐で性能アップ

 おひさまドライヤーは箱形で、内部の3段の乾燥棚に果物や野菜を並べて乾燥させる仕組み。製作は、部会メンバーの木工所を中心に進められた。完成した1台目は重く、乾燥に時間がかかる難点も。そこで、市販の片面が黒いアルミホイルを乾燥棚に使い、集熱の効率を上げて乾燥時間を大幅に短縮。さらに2台目は、軽い上に断熱性が高く、虫もつきにくい桐材を使って軽量化、性能アップを図った。

PROCESS

仕上げの塗装を行う部会メンバー。開発や製作には、木工所や塗装業を営む部会メンバーが知恵や技術を提供した

GOAL!!!
6次産業にエコを組み込み「7次産業化」

 現在はゴーヤの乾燥にとどまらず、近隣のつくば市の農家が、おひさまドライヤーを利用して製造した七味唐辛子を商品化。通信販売や道の駅での販売も始まり、農産物の生産、加工、販売が結びついた6次産業に、エコをつなげて広げる「7次産業化」の可能性が広がっている。

 また、太陽エネルギーだけで品質の良いドライフルーツや乾燥野菜を作ることができる特徴を活かして、JICA青年海外協力隊がザンビアで行っている栄養改善プロジェクト、マダガスカルでの里山エネルギースクールでも利用されているという。

 おひさまドライヤーを作る過程で、部会メンバーは温暖化対策への意識を高め、部会長の島田さんは「それぞれの心の中に“エコの木”が育っている」と語る。商工業者の知恵や技術を活かして作った製品が、エコと産業をつなぎ、温暖化対策の輪を広げていく。そんな将来を描きながら、プロジェクトは続いていく。

GOAL!!! エコの取り組みが新しい産業につながりました

完成したおひさまドライヤーを使用してトウガラシを乾燥。常に50〜60℃を保ちながら湿気がなくなるまで乾燥が続くため、カビの発生が少なく安定した品質を保つことができる

SUCCESS HINT!

温暖化対策と同じく継続することが大事

成功のポイントになったのは「飽きずに続けられたこと」と島田さん。軽量化や乾燥の効率アップなどの課題は、メンバーが知恵を出し合い、試行錯誤を重ねてクリアした。絶えずコミュニケーションを取り、楽しみながら継続したことが成功につながった。

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