京都御苑工事等情報
今年度、京都御苑管理事務所では、苑内の自然環境や人文歴史資源情報についてよりよく利用者へ伝えていくこと等を目的として、御苑庭園基幹施設の今後の整備等に関する計画の策定を進めてきましたが、その概要(骨子案)をとりまとめたのでご案内いたします。
計画策定にあたり、関係機関や多くの有識者、市民・利用者からも貴重な情報をいただきました。ありがとうございました。
計画策定のため、これまで3回にわたり、専門家による作業委員会を開催し、情報整理を行ってきましたが、3月4日に最終の作業委員会を行い、計画を決定したいと考えています。概要案の主な内容は次のとおりです。
計画の基本理念と方針
計画策定にあたり、目指すべき基本理念と計画の方針を設定します。
重点作業事項
「公家町跡としての歴史的遺産の再整備」「情報発信機能の充実」「バリアフリー動線の整備」の3項目の業務に重点的に取り組みます。
継続的に取り組む事項(検討事項含む)
「景観」「地球環境・生物多様性」「御苑利用」の3分野について、継続的に取り組みます。また、適正な事業実施に向けてさらに検討を行う事項を掲げています。
京都御苑の区域をわかりやすくイメージできるよう6つの区域にゾーニングします。
それらは、外周林の区域、御苑の玄関口、御所透かしの手法で手入れされた松が展開する御苑の主要部、母と子の森一帯の里山的な自然管理区域、御苑南部と北部の歴史施設や遊戯区域が集まった区域、運動広場の区域の6区です。ネーミングは第4回作業委員会で整理します。
この概要案についてのご意見、お気づきのことなどがありましたら、次の宛先まで郵便、FAXまたは電子メールでご連絡をいただけますようお願いいたします。
FAX: 075-255-6433
郵便 : 〒602-0881 京都市上京区京都御苑三 京都御苑管理事務所御苑計画担当宛
Eメール: Kyoto7@env.go.jp
締め切り: 平成20年2月28日到着分まで
- 連絡先
環境省 京都御苑管理事務所
京都市上京区京都御苑三 直通:075-211-6348
所長 小沢 晴司
担当・庭園科主査 千田 智明
(参考)
- ・京都御苑庭園基幹施設再整備基本計画の概要(案)[PDF183KB]
- ・京都御苑庭園基幹施設再整備基本計画策定について
- ・情報提供のお願い
- ・関係機関・有識者ヒアリングと市民から提供された情報について[PDF62KB]
- ・京都御苑区域にかかる参考図[PDF429KB]
京都御苑庭園基幹施設再整備基本計画の概要(案)
京都御苑庭園基幹施設再整備基本計画とは
京都御苑では、一昨年春、歴史施設「閑院宮(かんいんのみや)邸跡」が再整備・公開されました。
「京都御苑庭園基幹施設再整備基本計画」は、安全で快適な公園利用はもとより、近年の地球環境問題等への対応も考えながら、京都御苑の自然環境や人文歴史資源等の情報について、より良く利用者へ伝えていくことなどを目的として、御苑施設の今後の整備に関して方針等を定めるものです。
計画の策定にあたって
京都御苑は、幕末期まで、京都御所を囲んで存在した「公家町」の大半の区画を、明治期に解体し、「御苑」の命名とともに、庭園等として整備したことにはじまります。
戦後は皇居外苑、新宿御苑とともに、厚生省所管の国立公園行政の中で「国民公園」として保存・整備が進められ、現在は環境省が直接管理しています。
今回の計画策定は、戦後に定められた以下の事項などが前提となっています。
- ・由緒ある沿革を尊重し、努めて現状の回復保存を図る
- ・各苑地の特性を活かし、国民公園に適合した整備運営を行う
- ・苑地と関連がない施設、特に営利目的、利権を伴う諸施設は認めない
- ・国民庭園として公開するため、苑路、下水道、照明のほか、運動広場、児童遊園、休憩所などを整備する ~「旧皇室苑地整備運営計画」(昭和24年)より
なお、本計画策定にあたり、関係機関や多くの有識者から情報、提案を得るとともに、市民・利用者からも貴重な情報をいただきました。
また、専門家で構成された作業委員会を設置し、収集した情報をもとに、課題の整理、計画の方針を設定しました。
計画の基本理念と方針
本計画を策定するにあたり、目指すべき基本理念と計画の方針を以下のように設定しました。
「御所と一体となった特別な空間の風致を維持し、豊かな自然環境を保全し、もって適正な利用を推進する」
~御所とそのまわりの空間に経過した日本の歴史・記憶を継承し、都人が親しんだ池水や花木、庭園、大都市に広がる広大な樹林を保全するとともに、多様な利用者に対応した施設の整備を推進する。~
重点作業事項
次の3項目について重点的に取り組みます。
●公家町跡としての歴史的遺産の再整備
京都御苑全域に広がる歴史的遺産の再整備を図り、公家町の沿革をもつ京都御苑の特徴ある歴史的空間の保存と、適正な利用を進めます。
~具体的には~
近衛邸跡、中山邸跡がのこる京都御苑北部や、閑院宮邸跡、九条池がのこる京都御苑南部など、貴重な庭園や施設が集中する地区について、その保存や修復方法を検討し再整備を行います。また、公家屋敷の跡を示す由緒ある樹木等についてもその保護に努め、これらに関する情報を整理します。
●情報発信機能の充実
京都御苑にある歴史・文化資源や自然等の情報を、外国人や子供、高齢者など多様な層の利用者へわかりやすく伝えます。
~具体的には~
歴史施設に関する案内看板等の四カ国語表示や、情報発信・収集拠点の整備を行います。また、苑内施設を活用し、歴史や自然環境分野のほか幅広い環境問題についても情報発信できるよう、関係機関と連携して取り組みます。
●バリアフリー動線の整備
京都御苑の景観に調和し、苑内の自然や歴史資源の魅力に親しむことのできる、バリアフリーに配慮したモデルルートを整備します。
~具体的には~
優先的に整備を行うルートを計画し、段階的にバリアフリー動線の整備を行います。点在する歴史資源や優れた自然資源等を結ぶルートについて検討していきます。
継続的に取り組む事項(検討事項含む)
次の分野について、継続的に取り組みます。また、京都御苑のよりよい整備・管理のため必要な事項について検討を行います。
●景観
- ・御所と一体となった京都御苑の優れた景観の維持・向上のため、視点場や、視線方向を考慮し、苑内樹林や庭園等の適切な管理を行います。
- ・御所をとりまく風致の維持、充実のため、建築物、外灯、ベンチ、サイン等苑内施設の再整備時に、デザイン上の配慮をしてその維持、改修を行います。
- ・苑内から外部方向の景観質の維持・向上のため、外周林の保護・育成を進めます。市街地が見える箇所等では積極的な植樹も検討します。
●地球環境・生物多様性
- ・京都御苑は、京都市のヒートアイランド現象の緩和のほか、地域の生物多様性の維持等様々な機能があると考えられています。苑内樹木類の適切な手入れにより、このような緑地機能の維持・充実を進めます。
- ・オオタカ、アオバズク、タシロランなど、苑内を生活の場とする貴重な動植物について、適切にその保護管理を進めます。
- ・子どもが自然とふれあう場としての水辺環境等の創出、また都市の貴重な自然としての生物多様性を育む豊かな樹林の育成・管理手法について検討します。
- ・地球環境問題対応として、省エネルギー設備の設置、太陽光発電の導入、光害対策、地場産材の活用等の取り組みを進めます。地球温暖化対策やバリアフリー対策推進の観点から、苑路砂利敷の今後の管理や整備のありようについて検討します。
●御苑利用
- ・京都御苑がもつ多様な機能(観光・祝祭利用、散策・休憩及びスポーツ利用等日常の利用)を充実させるため、苑内施設の改修、維持に努めます。
- ・様々な利用者層のニーズに対応した、人にやさしい施設づくりを推進します。
- ・多くの市民の生命・財産や重要文化財が集積する京都における京都御苑の防災機能のありようを検討します。その際、ライフラインとしての水系の確保についても、関係機関と連携し検討を行います。