京都御苑は、京都盆地のほぼ中央部に位置し、盆地東部を南流する鴨川の氾濫を繰り返しうけて生成された沖積地で、標高は北端の55mから南端の45mと南に向かって緩やかに傾斜しています。都市の「海」に 浮かぶ「緑豊かな島」のような御苑ですが、歴史からも明らかなように、自然植生がそのまま残ったわけではなく、明治時代の大内保存事業に始まる整備によって植栽が行われてきた場所です。しかし、百年以上の年月を経て、今では多様で豊かな樹林が形成され、近衛邸跡のイトザクラや出水の小川周辺などの里桜、梅、桃などの花木、モミジなどが四季折々に御苑を彩り、訪れる人の目を楽しませてくれます。これらの苑内に生育する樹木は約10万本といわれており、また、草地ではカンサイタンポポの群落が見られるなど、苑内に生育する植物は500種を超えます。野鳥もオオタカが餌場として利用したり、アオバズクの繁殖が見られるなど100種以上が確認されています。また、50種を超えるチョウやマツカサを分解するマツカサタケなど400種を超えるきのこ類が確認されるなど、驚くほど多様な生き物たちが生息しています。