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環境省

アイコン住宅の断熱性能向上がもたらすNEBの指標

株式会社 三菱総合研究所

概要

寒冷地である札幌市をフィールドとして、住宅の断熱性能の向上がもたらすNEBとして居住者の健康度に着目し、これを評価するための指標の仮説を構築し、その妥当性を検証するとともに、断熱性能の向上を促進させる方策を検討した。
既往研究やモニターへのインタビュー結果を参考に、住宅の断熱性能向上が居住者の健康度に与える影響をロジックツリーとして整理した。また、札幌市の協力のもと、住宅の改修・転居により断熱性能を向上させるモニターを募集し、断熱性能の向上前後での断熱性能、室温、住まいの感じ方、血圧、活動量などのデータを計測した。分析の際は、個々の評価指標に着目するだけでなく、総合的な評価を行う指標化を検討した。室温の変化の大小と生活の健康度の変化の関係を分析したところ、室温が改善した場合には最高血圧が降下するモニターが多く観察された。それ以外の指標は、ロジックツリーから予想される相関は見られなかった。また、断熱性能がよい住宅の場合、室温を安定化させるための冬期のエネルギー消費量が少なく済む可能性が示された。

NEB/EB

NEB・・住宅の断熱性を向上させることによる健康への効果

EB・・住宅を高断熱化することによるCO2削減効果

試行実験

札幌市の協力のもとで、住宅の改修・転居により断熱性能を向上させるモニターを40世帯・80名募集し、断熱性能の向上前後での断熱性能、室温、住まいの感じ方、血圧、活動量、自覚症状、睡眠、主観的健康観、光熱費などのデータを計測した。
分析の際は、個々の評価指標に着目するだけでなく、総合的な評価を行う指標化を検討した。

NEB活用の方向性

本調査では、想定したNEB評価指標の全てが指標として妥当であるとは判断されなかったが、普及啓発を行う上で有効な事例データや分析データはある程度得られたと考えられる。
今後、継続的な調査研究が必要ではあるが、その結果を待ってから普及啓発に取り組むのではなく、事例的な情報を用いて誤解を与えない形での普及啓発を積極的に進めるべきである。
温暖化対策はより長期的な視点に立ちながらも、地に足の着いた取組を着実に進める必要がある。本調査で得られたような優良事例となり得るデータを今後も増やしつつ、効果的に普及啓発を図って住宅の断熱性能向上を進めるべきである。