放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成30年度版、 HTML形式)

第5章 国際機関による評価
5.2 WHO報告書

WHO報告書(4/4)不確かさの評価

WHO報告書(4/4)不確かさの評価
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世界保健機関(WHO)は、実効線量推計結果の不確かさについて、主に次のように説明しています。

・ 空間中の放射性物質濃度を地表の沈着量から推定することに伴う不確かさがあります。例えば、ヨウ素の化学形により沈着量が異なるため、吸入による被ばく線量の評価には大きな不確かさが伴います。また、地域によって、ヨウ素131とセシウム137の組成割合等、放射性核種の組成が異なることも不確かさの原因の一つとなっています。
・ 線量評価では、コンクリート等の建物に比べて遮へい効果が小さい木造の建物を想定しており、これが過大評価につながる不確かさの一因となっています。
・ 内部被ばくの評価に当たり、線量換算係数(1ベクレルの体内摂取による線量の値)には、国際放射線防護委員会(ICRP)による標準的な値を使用しています。しかし、日本人は海産物摂取が多く、体内に存在する安定ヨウ素の量が多いといわれています。その場合、一時的に放射性ヨウ素を体内に摂取したとしても甲状腺に取り込まれる量は少なくなりますが、このことは考慮されておらず、内部被ばく評価の不確かさの一因になっています。
・ 食物摂取による内部被ばくの評価においては、福島県及び近隣県の食品のみを摂取したと仮定する等、過大評価につながる仮定の下で評価が行われており、不確かさの一因になっています。

【報告書記載箇所】
・ WHO線量評価報告書(P60~62, 4.7 Main sources of uncertainty and limitations及びP31~33, 2.6.1 Ingestion doses inside Japan)

本資料への収録日:平成27年3月31日

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