放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成30年度版、 HTML形式)

第3章 放射線による健康影響
3.4 リスク

低線量率被ばくによるがん死亡リスク

低線量率被ばくによるがん死亡リスク
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国際放射線防護委員会(ICRP)では、大人も子供も含めた集団では、100ミリシーベルト当たり0.5%がん死亡の確率が増加するとして、防護を考えることとしています。これは原爆被爆者のデータを基に、低線量率被ばくによるリスクを推定した値です。
現在、日本人の死因の1位はがんで、大体30%の方ががんで亡くなっています。
つまり1,000人の集団がいれば、このうちの300人はがんで亡くなっていることになります。この1,000人の集団全員が100ミリシーベルトを受けたとして放射線によるがんでの死亡確率を試しに計算して加算すると、生涯で305人ががんで死亡すると推定できます。
しかし実際には、1,000人中300人という値も年や地域によって変動しますし1、今のところがんの原因が放射線であるかどうかを確認する方法は確立されていません。そのため、この100ミリシーベルト以下の増加分、つまり最大で1,000人中5人という増加分について実際に検出することは大変難しいと考えられています。

1. 平成22年度の年齢調整死亡率を県別で比較すると、対人口10万人で女性では、248.8人(長野県)から304.3人(青森県)、男性では477.3人(長野県)から662.4人(青森県)とばらつきます。そのうち、がんが死因である割合を調べると、これも男性では29.0%(沖縄県)から35.8%(奈良県)、女性では29.9%(山梨県)から36.1%(京都府)とばらつきが見られます。

本資料への収録日:平成25年3月31日

改訂日:平成31年3月31日

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