放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成30年度版、 HTML形式)

第2章 放射線による被ばく
2.4 線量測定と計算

放射線測定の原理

放射線測定の原理
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放射線は物質中を通過する時に、物質と相互作用することが知られています。放射線と物質との相互作用を利用して放射線の量を測定します。
GM計数管式サーベイメータや電離箱では、放射線と気体との電離作用を利用します。電離作用とは放射線が物質中の原子核の電子を外に弾き飛ばす作用です。GM計数管式サーベイメータや電離箱の検出器の中には、ガスが充填されています。検出器の中を放射線が通過すると、放射線が気体原子に対して電離作用を起し、原子が陽イオンと電子に分離します。分離した電子と陽イオンは、それぞれ電極に引き寄せられ電流が流れます。これを電気信号に変換して放射線の量として測定します。
NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータでは、物質との励起作用を利用します。放射線が原子核の電子にエネルギーを与え、その電子が外側の軌道に飛び移る場合を励起と呼びます。この状態の原子は不安定な状態(励起状態)で、再び安定な状態(基底状態)に戻る際、エネルギーを光として放出します。これが励起作用です。シンチレータとは放射線が入射して光を発生する物質です。シンチレータから発せられる微弱な光を光電子増倍管で増幅し電気信号に変換して放射線を計測します。NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータ以外にもゲルマニウム半導体検出器が同じ励起作用を利用しています。
(関連ページ:上巻P18「放射線の電離作用-電離放射線の性質」

本資料への収録日 :平成29年3月31日

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