放射線を出す原子核の中には、大変長い半減期を持つものがあります。ウラン238の半減期は45億年です。地球の年齢は約46億年といわれていますので、地球が生まれたときに存在したウラン238は今ようやく半分になったところです。
放射性物質の中には、1回放射線を出して安定になるものもありますが、安定な物質になるまでに複数回壊変して、いろいろな放射性物質に変化するものもあります。
例えば、ウラン238はα(アルファ)線を放出してトリウム234に変わりますが、これも放射性物質です。トリウム234は更にβ(ベータ)線を放出し、やはり放射性物質のプロトアクチニウム234に変化します。安定な鉛206になるまでに10数回も異なる原子に変化する系列をなしています。
カリウム40も、半減期が13億年と長く、地球が誕生したときに地球に取り込まれた自然起源の放射性物質です。カリウム40は系列を作らず、1回の壊変で安定なカルシウム40またはアルゴン40になります。
(関連ページ:上巻P10「親核種・娘核種」、上巻P11「半減期と放射能の減衰」)
本資料への収録日:平成25年3月31日
改訂日:平成31年3月31日