放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成30年度版、 HTML形式)

第1章 放射線の基礎知識
1.2 放射性物質

原子核の安定・不安定

原子核の安定・不安定
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同じ原子番号(陽子数)の原子で中性子数が異なる原子核の関係を「同位体」といいます。同位体には放射性壊変を起こして放射線を放出する「放射性同位体」と放射線を出さずに原子量も変わらない「安定同位体」があります。
放射性物質が、不安定な状態を解消するために放出する放射線には、α(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線があります。α線とβ線の放出後には、原子の種類が変化しますが、γ線が放出されるときには原子の種類は変わりません。どの放射線を出すかは、放射性物質の種類ごとに決まっています(上巻P8「自然由来・人工由来」上巻P13「放射線はどこで生まれる?」)。
炭素は陽子の数が6個の元素ですが、中性子の数が5個から8個のもの等が存在します。セシウムは陽子の数が55個の元素ですが、中性子の数は57から96個のものまで見つかっています。そのうち安定なものは中性子の数が78個のセシウム133(陽子55個+中性子78個=133)だけで、残りは全て放射線を出す放射性物質です。原子力発電所の事故が起こると、ウラン235の核分裂により生成されたセシウム137や、核分裂の生成物に中性子が当たって生成されたセシウム134が環境中に放出されることがあります。これらのセシウムはβ線とγ線を放出します。
(関連ページ:上巻P30「原子炉内の生成物」

本資料への収録日:平成25年3月31日

改訂日:平成31年3月31日

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