放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成28年度版、 HTML形式)

第8章 食品中の放射性物質
8.1 食品中の放射性物質対策

食品安全委員会による評価

食品安全委員会による評価
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食品安全委員会はリスク評価機関であり、食品中の危害物質の摂取による健康影響を、科学的知見に基づいて、客観的、中立公正に評価する機関です。リスク管理機関(厚生労働省や農林水産省等)はリスク評価結果に基づいて、食品ごとの規制値の設定等、リスク管理に関する政策を立案し実行します。リスク評価機関とリスク管理機関は機能的に分担されている一方で、相互に十分な情報交換が行われています。
下の囲みは、東京電力福島第一原子力発電所事故後の食品の放射性物質に関するリスク評価とリスク管理の経緯をまとめたものです。事故後、リスク管理機関の厚生労働省は、平成23年3月17日に食品中の放射性物質の暫定規制値を設定して、規制することとしました。この暫定規制値は、もともと原子力安全委員会の指針により示されていた「飲食物摂取制限に関する指標」を準用したものです。
通常、規制値あるいは基準値を設ける場合は、食品安全委員会でリスク評価を行い、その評価結果を踏まえてリスク管理機関が規制値の設定を行います。しかし、今回の事故による放射性物質に関しては、緊急を要する事態であったため、リスク評価を受けずに定められたものであったことから、事後的に平成23年3月20日に厚生労働大臣から食品安全委員会委員長に対して評価の要請が出されました。
これを受けて、食品安全委員会は計5回の委員会会合を経て、平成23年3月29日に「放射性物質に関する緊急とりまとめ」として厚生労働省に通知しました。この緊急とりまとめを踏まえて厚生労働省は、当面「暫定規制値」を維持するという決定をして、平成24年3月まで「暫定規制値」が適用されました。
食品安全委員会は、「放射性物質に関する緊急とりまとめ」の通知後も諮問を受けた内容について継続してリスク評価を行い、平成23年10月27日に評価結果を厚生労働省に通知しました。その後、厚生労働省において、暫定規制値の見直しが行われ、新しい規制値が平成24年4月から適用されました。

本資料への収録日:平成25年3月31日

改訂日:平成28年1月18日

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