大気環境・自動車対策

過去の黄砂飛来状況(主な黄砂現象の紹介)

2016年の黄砂概況

 2016年の黄砂は主に4月から5月初頭にかけて数回見られました。最も顕著な黄砂は、4月24日から25日に観測されたもので、西日本から北日本までの広い範囲でみられました。

1.SPM濃度に見る黄砂飛来状況

浮遊粒子状物質(SPM)とは、大気中に浮遊する微少な粒子状の物質のことで、黄砂も含まれます。このため、黄砂飛来時にはSPM濃度が高くなる傾向があり、国内約1300カ所の測定局で常時監視しているSPM濃度が飛来した黄砂の規模を理解する上で参考となります。
 (1)黄砂観測日にSPM濃度が環境基準(1時間値で0.2mg/m3)を超過した都道府県数は、年によって変動がありますが、大規模な黄砂が飛来した2010年には44都道府県あり、36都道府県で環境基準値の2倍の0.4mg/m3を超過しました。(図1)また、環境基準を超過した延べ日数は100日に迫り、0.4mg/m3を超過したのは延べ48日でした。(図2)さらに、黄砂観測日におけるSPM1時間値の最高濃度は、年間平均値約0.02mg/m3の40倍以上にあたる0.898mg/m3でした。(図3)

(図1)

(図2)

(図3)

(2)黄砂観測日におけるSPM平均濃度に黄砂観測日数を乗じた数値は黄砂の曝露量の程度を示していると考えられます。
都道府県別に黄砂の暴露量をみると、北・東日本より西日本の方が多く、太平洋側より日本海側の方が多くなっていることがわかります。(図4)

(図4)

2.東京と長崎の比較

 東京と長崎の黄砂飛来状況を比較すると、長崎の方が黄砂観測日数が多く、黄砂観測日におけるSPMの最高濃度が高くなっています。

区分2001年2002年2003年2004年2005年2006年2007年2008年
長崎東京長崎東京長崎東京長崎東京長崎東京長崎東京長崎東京長崎東京
黄砂観測日数(気象庁発表) 15 0 20 0 1 0 11 0 11 0 6 1 11 4 6 0
SPM1時間値最高濃度
(mg/m3)
0.306 - 0.705
(4月17日)
- 0.099 - 0.152 - 0.178 - 0.296 0.13 0.582
(4月2日)
0.167 0.446 -

区分2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年
長崎東京長崎東京長崎東京長崎東京長崎東京長崎東京長崎東京長崎東京
黄砂観測日数(気象庁発表) 5 3 11 4 7 2 0 0 6 - 7 0 3 0 3 0
SPM1時間値最高濃度
(mg/m3)
0.152 0.131 0.898
(3月21日)
0.198 0.316 0.156 - - 0.112
(3月19日)
- 0.208
(5月26日)
- 0.106
(6月12日)
- 0.146
(5月7日)
-

注1)SPMとPM10は、いずれも粒径10μm(10-6m)以下の微少な粒子状物質と定義されているが、測定方法が異なり、SPMの方が若干低めの数値となる。
注2)「黄砂を観測した」との判断は国によって異なるため(例:日本では各気象官署が目視で判断)、黄砂観測日数の直接比較はできない。