里海復興に着手する地域等の参考とするために、里海復興の実践事例を収集・整理しました。
東日本大震災で被災した漁村で、「おらが海」を取り戻す第1歩は漁業者らによるがれきの除去であった。残った船を用いて、あるいは浜に繰り出して散乱したがれきを除去した。その目的は、海を再び漁場として利用可能にすることであったが、五感に通ずる景観を取り戻すことでもあった。
しかしながら、漁場以外の海底には未だがれきが残っていると言う。
アマモ場の造成については、潜水作業をともなうことが難易度を高くする要因のひとつであった。広島県水産海洋技術センターでは、波浪による移動・流出等の懸念事項はあるものの、船上から可能な移植方法を開発している。
苗一株あたり130~141円で従来の造成方法の1/7となっていることが大きな特徴である。
里海を形作る主体は漁村を核とした地域住民であるが、都市での生活者等が里海を訪れることにより、里海の良さを実感するとともに、地域住民には資産、あるいは誇りとしての海への愛着がより強固になるものと考えられる。
自然を実感するものとして、「エコツーリズム」が提唱されている。日本エコツーリズムによる定義は、以下の3点としている。
環境省では「グリーン復興」の一環として地域の自然環境やくらし等、地域ならではの宝を活かした、自然を深く楽しむ旅を創造するため、エコツーリズムを推進している。その中の構想のひとつである「みちのく潮風トレイル」では、対象として、「人と自然が織りなす風景が見られる場所(里山、里海、棚田等)」があげられており、里海復興を支援・促進するものとして期待される。