水・土壌・地盤・海洋環境の保全

水質汚濁防止法の改正~地下水汚染の未然防止のための実効ある取組制度の創設~(平成24年6月1日施行)

 水質汚濁防止法の一部を改正する法律が平成23年6月14日に成立、平成23年6月22日に公布され、平成24年6月1日に施行されました。
同法により、有害物質(※1)による地下水の汚染を未然に防止するため、有害物質を使用・貯蔵等する施設の設置者に対し、地下浸透防止のための構造、設備及び使用の方法に関する基準の遵守、定期点検及びその結果の記録・保存を義務付ける規定等が新たに設けられました。

(※1)規制対象となる有害物質は、水質汚濁防止法施行令第2条に規定されるカドミウム、鉛、トリクロロエチレン等の全28項目(平成25年6月現在)です。

1.改正の概要

 今回の法律等の改正の主な内容は以下の通りです。

(1)対象施設の拡大

 今回の改正により、届出の対象となる施設の範囲が拡大されました。従来から届出の対象となっている施設も含め、平成24年6月1日以降、以下の施設を設置する場合には、都道府県知事等に対し事前の届出が必要となります。

<対象1-1>有害物質使用特定施設(※公共用水域に水を排出する施設)
...水質汚濁防止法施行令第1条に規定される特定施設のうち、有害物質の製造、使用、処理を行う施設が該当します。今回の改正以前から、公共用水域に水を排出する施設として水質汚濁防止法(水濁法)に基づく届出の対象となっている施設であり、水濁法第5条第1項に基づく届出が必要です。
<【拡大】対象1-2>有害物質使用特定施設(※公共用水域に水を排出しない施設)
...対象1-1と同じく、水質汚濁防止法施行令第1条に規定される特定施設のうち、 有害物質の製造、使用、処理を行う施設が該当しますが、雨水を含め排水の全量を、下水道や水質汚濁防止法施行令別表第1第74号に定める施設(共同処理施設)に排出する施設など、上記1-1及び水濁法第5条第2項の対象となる施設以外の有害物質使用特定施設が新たに届出対象に該当します。改正後の水濁法第5条第3項(新設規定)に基づく届出が必要です。
<【新設】対象2>有害物質貯蔵指定施設
...有害物質を含む水を貯蔵する施設が該当します。改正後の水濁法第5条第3項(新設規定)に基づく届出が必要です。 なお、有害物質貯蔵指定施設について、法令では、改正後の水濁法第5条第3項において、「指定施設(有害物質を貯蔵するものに限る。)であって当該指定施設から有害物質を含む水が地下に浸透するおそれがあるものとして政令で定めるもの」と定義されており、「政令で定めるもの」については、改正後の水質汚濁防止法施行令第4条の4において、「第2条に規定する物質(=有害物質)を含む液状の物を貯蔵する指定施設」と定義されています。

届出の対象施設について、詳しくは「地下水汚染の未然防止のための構造と点検・管理に関するマニュアル(第1.1版)[PDF 2,893KB]」(以下「マニュアル」という。)のP.7~21をご覧下さい

各都道府県等の担当窓口一覧[PDF]

設置・変更の届出様式 [Word 211KB]

(2)構造等に関する基準遵守義務等

 有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設(以下「施設」という。)の設置者は、(ア)施設の床面及び周囲、(イ)施設に付帯する配管等、(ウ)施設に付帯する排水溝等、(エ)地下貯蔵施設について定められている構造、設備及び使用の方法に関する基準(構造等に関する基準)を満たす必要があります。
(改正後の水濁法第12条の4、改正後の水質汚濁防止法施行規則(改正後の施行規則)第8条の2から第8条の7)

※改正法の施行(平成24年6月1日)の際に既に設置されていた施設(既存の施設)については、実施可能性に配慮し、構造等に関する基準の適用が3年間(平成27年5月31日まで)猶予されます。

構造等に関する基準について、詳しくはマニュアルの以下のページをご覧下さい
  • 基本的な考え方について...マニュアルP.33~44
  • 具体的な基準等について...マニュアルP.45~95

(3)定期点検の義務の創設

 施設の設置者は、施設の構造等について、目視等の方法により定期点検を実施し、その結果を記録し、保存する必要があります。
(改正後の水濁法第14条第5項、改正後の施行規則第9条の2の2から第9条の2の3)。

※既存の施設についても新設の施設と同様に、改正法の施行の日(平成24年6月1日)から定期点検、記録、保存が必要となります。

定期点検の方法について、詳しくはマニュアルの該当のページをご覧下さい
  • 基本的な考え方について...マニュアルP.33~44
  • 具体的な基準等について...マニュアルP.45~95

2.改正の経緯

 今回の改正に係る検討経緯等は、以下のリンク先よりご覧いただけます。

3.関係資料

(1)地下水汚染の未然防止のための構造と点検・管理に関するマニュアル(第1.1版)(再掲)

マニュアル追加資料

(2)説明会等で使用した資料

平成26年度 地下水汚染未然防止のための構造と点検管理に関する講習会テキスト

平成24年1~3月に行った説明会で使用したスライド資料(法改正の概要)

(3)改正法に関わるQ&A

改正法Q&A

(4)改正後の条文

(5)関連の報道発表資料

(6)届出様式

(7)地下水汚染未然防止のための管理要領等策定の手引き

 有害物質使用特定事業場や有害物質貯蔵指定事業場において作成することとなっている、管理要領作成の際の参考資料を作成しました。併せて、管理要領を作成する際は、同時に点検要領、点検記録表をセットで整備することが望ましいと考えられるため、これらに関する作成例も以下に示します。

 なお、上記作成例は一例であることから、対象となる全ての工場・事業場を網羅的に対応していないことにご留意ください。また、法で求められている内容が網羅されていれば、自治体や業界団体で作成している管理要領等の例も参考になります。

4.事業者等の活用できる支援策

 改正後の水濁法第12条の4に規定する構造等に関する基準を遵守するために必要な設備投資に対して、下記の日本政策金融公庫の融資制度があります。

詳しくは、日本政策金融公庫にお問い合わせください(日本政策金融公庫窓口 (リンク))。

  中小企業事業
貸付対象 株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号)第2条第3号に定める中小企業者

有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設を設置している方

有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設を設置しようとしている方

※水濁法第5条第2項に該当する施設の設置者は除く。

資金使途 水質汚濁防止法第12条の4に規定する構造等に関する基準を遵守するために必要な設備投資
貸付限度 7億2,000万円
貸付利率 4億円を限度として、特別利率が設けられている。
貸付期間 15年以内

注)この表は、構造等に関する基準を遵守するための設備投資を行う際、使用できる制度について記載しています。

水濁法関連の施設については、他にも対象となる設備投資があります。詳しくは日本政策金融公庫のHPをご覧下さい。

※ 平成28年4月1日から国民生活事業は廃止になりました。

5.その他

改正の内容に関するお問い合わせ先
環境省 水・大気環境局水環境課 地下水・地盤環境室
TEL(代表):03-3581-3351(6607)
(直通):03-5521-8309
E-mail:mizu-chikasui@env.go.jp

※届出方法の詳細についてご不明な点がある場合には、届出先の各都道府県等の担当窓口一覧[PDF]をご確認下さい。

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