報道発表資料

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2019年03月19日
  • 地球環境

WMO温室効果ガス世界資料センターにおいて温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」データの提供を開始しました

 気象庁が運営するWMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)において、環境省、国立研究開発法人国立環境研究所(NIES)及び国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(平成21年打上げ)による観測データを平成31年3月19日(火)より新たに提供開始しました。

<気象庁、国立環境研究所、宇宙航空研究開発機構同時発表>

 気象庁は、世界気象機関(WMO)のもと、平成2年から温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)*を運営し、温室効果ガスに関する唯一の世界データセンターとして世界各国からの観測データを収集・解析し、提供しています。

 今般WDCGGにおいて、我が国の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」が平成21年4月から取得した二酸化炭素濃度データの提供を新たに開始しました。これまでの地上、船舶、航空機等の観測データに加え、WDCGGにおいて初めて提供される衛星データとなります。

 従来の地上、船舶、航空機による高精度な「点」のデータに加え、衛星による「面」のデータを組み合わせて使うことにより、地球全体の二酸化炭素濃度分布の長期的な監視や地域ごとの排出・吸収の収支把握などへの利活用拡大が期待されます。 

 今後も「いぶき」の後継機である「いぶき2号」(平成31年2月1日定常運用開始)を含む世界の衛星観測データの掲載を追加するなどデータの拡充を図り、気候変動の監視や世界の温室効果ガス削減に貢献してまいります。

「いぶき」による二酸化炭素濃度分布例(平成30年5月)図 「いぶき」による二酸化炭素濃度分布例(平成30年5月)

*温室効果ガス世界資料センター(WDCGG) 衛星観測データページ

https://gaw.kishou.go.jp/satellite

温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)とは

 気象庁は世界気象機関(WMO)の要請に基づいて、平成2年より温室効果ガス世界資料センター(World Data Centre for Greenhouse Gases:WDCGG)を運営しています。WDCGGは、全世界から報告される二酸化炭素やメタン等の各種温室効果ガス観測データを収集し、提供している世界で唯一の国際的な機関です。

 WDCGGはこれらのデータを利用して様々な解析を行っており、その結果は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書や、WMO温室効果ガス年報として気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP)で毎年配付されるなど、温室効果ガスの現状を伝える活動に有効に利用されています。さらに、WDCGGが提供している観測データや解析結果は、世界の地球温暖化の研究者にも広く利用されています。

 なお気象庁は、平成30年8月31日にWDCGGホームページをリニューアルし、データの形式と品質を改善するとともに、データの検索・表示の機能などを強化しました。

温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の概要

WDCGGホームページ

https://gaw.kishou.go.jp/jp/

温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」とは

 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」は、環境省、国立環境研究所(NIES)及び宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で開発した、世界初の温室効果ガス観測専用の衛星です。二酸化炭素とメタンの濃度を宇宙から観測し、その吸収・排出量の推定精度を高めることを主目的にしています。平成21年1月23日の打上げ以降、現在も観測を続けています。

 「いぶき」は温室効果ガス(二酸化炭素とメタン)を観測するセンサと雲やエーロゾルを観測するセンサの二つの観測機器を搭載しています(図A)。

 「いぶき」のデータは、生データ(レベル1プロダクト)、気体濃度等の物理量に変換したデータ(レベル2プロダクト)、時間方向/空間方向に平均/内外挿したデータ(レベル3プロダクト)、モデルを利用して作成した吸収排出量データ(レベル4プロダクト)に大別されます。このうちレベル1プロダクトはJAXAが、高次プロダクト(レベル2~4プロダクト)はNIESが担当しています。プロダクト間の関係を図Bに示します。

 「いぶき」の全ての標準プロダクトおよび関連する文書はNIESが運用するGDAS(GOSAT Data Archive Service、https://data2.gosat.nies.go.jp/index_ja.html)から無償公開されています。

 温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)にて取得可能になる二酸化炭素濃度データ(Bias-corrected FTS SWIR Level 2 CO2 Product Ver.02.75)は、レベル2プロダクトのうち、FTS SWIR Level 2 CO2 Product Ver.02.72に対し、地上観測データとの濃度の違い(バイアス)を低減させるために経験的な補正を適用したレベル2プロダクトです。

(参考URL)

環境省:温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による地球観測

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/gosat.html

NIES GOSATプロジェクト

http://www.gosat.nies.go.jp/

JAXA 第一宇宙技術部門 GOSATプロジェクト

http://www.satnavi.jaxa.jp/project/gosat/

図A 「いぶき」外観図

図A 「いぶき」外観図

図B 「いぶき」プロダクトについて図B 「いぶき」プロダクトについて

問合せ先

WDCGGについて

気象庁 地球環境・海洋部 環境気象管理官付   電話 03-3212-8341(内線4226)

「いぶき」観測データについて

国立環境研究所 衛星観測センター GOSATプロジェクト   電話 029-850-2966

「いぶき」衛星、搭載センサ及び観測状況について

宇宙航空研究開発機構 広報部   電話 050-3362-4374

「いぶき」行政利用について

環境省 地球環境局 総務課 研究調査室   電話 03-5521-8247

連絡先

環境省地球環境局総務課研究調査室

  • 代表03‐5521‐3351
  • 直通03‐5521‐8247
  • 室長大井 通博(内線 6730)
  • 室長補佐磯野 賀瑞夫(内線 6733)
  • 担当加藤 尚(内線 7761)
  • 小林 和史(内線 7718)