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平成22年度第3回議事録要旨

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第3回環境省政策評価委員会 議事録要旨

1.日時: 平成23年3月9日(水)10:00〜12:00

2.場所: 環境省第1会議室

3.出席者

−委員−

(委員長)

須藤 隆一

埼玉県環境科学国際センター総長

 

井村 秀文

名古屋大学大学院環境学研究科特任教授

 

河野 正男

横浜国立大学名誉教授

 

崎田 裕子

ジャーナリスト・環境カウンセラー

 

堤 惠美子

株式会社タケエイ 顧問

 

藤井 絢子

特定非営利活動法人 菜の花プロジェクトネットワーク代表

 

三橋 規宏

千葉商科大学大学院政策情報学研究科客員教授

 

山本 良一

国際グリーン購入ネットワーク会長

 

鷲谷いづみ

東京大学大学院農学生命科学研究科教授

   

 

[欠席]

 

大塚 直

早稲田大学大学院法務研究科教授

 

細田 衛士

慶應義塾大学経済学部教授


−事務局(大臣官房)−

谷津大臣官房長、清水審議官、奥主秘書課長、紀村総務課長、
弥元会計課長、塚本政策評価広報課長、他


−環境省各局部−

明石企画課課長補佐(廃棄物・リサイクル対策部)、
庄子総務課課長補佐(総合環境政策局)、瀬川企画課長(環境保健部)
鎌形総務課長(地球環境局)、粕谷総務課長(水・大気環境局)
田中総務課長(自然環境局)

   

4.議題:

(1)平成22年度政策評価手法検討部会の検討報告について
(2)環境省政策評価基本計画(案)について
(3)平成23年度環境省政策評価実施計画(案)について
(4)その他

5.配布資料

6.議事録要旨  

配布資料

議事録要旨

〔議事録要旨〕

(出欠席委員確認)
(大臣官房長挨拶)
(須藤委員長挨拶)

議事1 平成22年度政策評価手法検討部会の検討報告について

(井村委員より、資料1「平成22年度環境省政策評価手法検討部会について」の説明)

【井村委員】
  政策評価手法検討部会での主な検討内容は、環境省の組織改変に伴う施策体系の見直しについて、および目標の設定・達成度合いの判定方法についてである。
  施策体系の見直しについては、資料3の見開きページを見比べていただき、左ページ「環境省施策体系(案)」の下線が見直し部分である。 「1.地球温暖化の推進」、「2.地球環境の保全」の記述が変更されているが、これは、昨年10月1日付で地球温暖化対策を中心とした国際関係事務を一元的に行うために国際連携課が設置されたことに伴う変更である。 施策体系は頭の中で考えて構成するものであるが、具体的にその施策を評価するとなると、組織の関係局で実施している事務をベースに評価するほうがやりやすいという問題があった。 特に40個の目標については組織に応じて設定した方がよいということになった。
  「地球温暖化対策の推進」の評価体系は、具体的には参考資料3のP.1、「地球環境の保全」についてはP.3に記述されている。 地球環境の保全の中の温暖化に関するものは施策1としてトップに出し、目標を4つ設定している。 「地球環境の保全」において、従来は、酸性雨と海洋環境の保全が明示的に記述されていたが、今回は、「2-3.地球環境保全に関する国際連係・協力」としてまとまった形で記述されている。 詳細な説明については環境省からご説明いただけると思う。 これらをどのように評価し、まとめるかについては、例えば「施策の方針:3.大気・水・土壌環境等の保全」の「目標3-3.水環境の保全」について、例が資料1のP.4にある。 「施策の方針」を最終目標、個別の目標を最終成果とし、それに対する中間成果があるという構造になっているが、下方の実施事業群から上方へと見ていくと理解しやすい。
  「実施事業群」および「実施事業群の成果」については、具体的であるために指標が設定しやすい。 しかし、「施策の中間成果」については概念がより広くなるため、定量的な目標を設定しにくい。 様々な施策を施策群に落とし、それらを推進することにより総合的な成果として中間成果や最終成果につながっていくであろうと考えている。 とはいえ、中間成果の表現と施策の結びつきを定義することが難しい。
  調査研究に関する目標(目標2-3、7-4)について、調査研究そのものを総合的に評価することができないかという議論があった。 環境研究総合推進費に関する委員会の中でもどのような課題を採択し、どのようなプロジェクトを構成すべきか、という議論があるので、このような委員会とも連携して検討したい。
  もう一つの検討内容である目標の達成度合いの判定方法については、資料1のP.6〜7に他省や自治体における手法の事例を紹介している。 環境省の施策目標は環境を総合的に改善することであろうが、このような目標を指標として設定することは難しく、判定することも難しい。 一方、国土交通省などの施策は比較的予算と事業の成果が設定しやすく、判定もしやすい。 施策の内容が各省、自治体で異なるので、環境省における政策評価の参考になるか否かについては引き続き検討していく。

【河野委員】
 資料1、P.4「施策の中間成果」という記述について、成果即目標のように読める。 確かに過去から見れば「成果」であるが、特に「成果」という表現を使用された意図は何か。
  自治体でも中間目標を設定することは難しい。 例えば、1960年代の公害が激しくなる前の過去の状態に戻すことが考えられるが、現代の産業・都市構造が全く異なるために実現が困難なことから目標設定が非常に難しいということがある。 そのため、中間目標を数値として設定することを非常に難しいと実感している。

【井村委員】
 評価する立場で「中間成果」としている。将来の施策のことと考えれば確かに「目標」と書くほうが適切かもしれない。ある段階で評価するときには「中間成果」の意味でもあるので、使い分けが必要になる。

【藤井委員】
 施策体系(案)について、旧施策体系では「2.地球環境の保全」に「酸性雨・黄砂対策」、「海洋環境の保全」が明記され、国民にとっても施策が見える形になっていたが、施策体系(案)においては「2-2.地球環境保全に関する国際連携・協力」に含まれているという説明だった。 しかし、水環境の保全の中にも漂流ゴミの対策や、海洋の環境モニタリングの推進が入っているため、旧施策体系の方がわかりやすい。 くくりで考えることがよいことなのか疑問である。

【井村委員】
 藤井委員がおっしゃったキーワードは「実施事業群」に入ってくるが、検討部会においても同じような議論があった。9施策40目標の数をこのまま維持し、減らしたり増やしすぎたりしない方がよいという考えの下、現在の案となった。しかし、まだ議論する余地はある。

【山本委員】
 「1.地球温暖化対策の推進」について、意味として入っているのであろうが「適応」という言葉が見られない。 現在の状況としては、漠然とした「1-1.地球温暖化対策の計画的な推進による低炭素社会作り」などでは済まない状況である。 「適応」を打ち出すべきときに来ている。
 「8.環境・経済・社会の統合的向上」における「8-1.経済のグリーン化」について、テーマが大きすぎる。どのような最終状態が理想と設定するのかが非常に難しいのではないか。
  環境基本計画の公開諮問においても指摘があった国際戦略については、「2-2.地球環境保全に関する国際連携・協力」に含まれるのか。
 
【三橋委員】
 P.4の説明について、施策の下から積み上げて目標達成を狙うことについて、施策の中間成果がわかりにくいということは、環境省の扱っている内容からは当然であると考える。 その場合、これまでとは異なる評価の仕方を考えてみることはいかがか。 例えば、関係者から直接意見を聞くというオーラル・ヒストリーが新しい評価手法として注目されてきている。 施策の中間成果については、最終的には地域に返ってくるものであるため、人選は別問題として、地域の関係者のオーラル評価を入れてみてはいかがか。 人選においては匿名するなどして工夫すべきであろう。 このような新しいアプローチをいくつか考えることが必要であり、そうしないと堂々巡りになってしまう。

【須藤委員長】
 本問題は、総務省から一律にこうしなさいという指示による部分がかなりあるとは思うが、環境省として独自にやりたいという意思を出さないといけない。

【崎田委員】
 実態を踏まえた意見を考慮に入れた評価は非常に重要であるが、すでに環境基本計画や循環基本計画のフォローアップではこのような手法をとっている。 同じ環境政策の評価に関して、中央環境審議会総合政策部会における社会の動きに対する評価の仕方と、本部署(政策評価)における部門ごとの積み上げ評価が一緒になれば、総合化される。 このような全体の評価をどのような場で、どのような視点で行うのか整理し、統合化する視点も重要であろう。 この点、資料1の裏面の上から3番目の意見で、「環境基本計画の進捗状況も政策評価の枠組みの中で評価すべきである」とあるが、その通りであり、今後も検討を深めるべきである。
  また、資料1の意見で、「各分野の計画の連携した推進を評価する視点および指標の設定が必要」とあるが、このような分野横断的な視点を持つ必要性について、環境基本計画の見直しでも多くの委員から意見が強くでている。 今後このように進める場合のやり方をきちんと考えた方がよい。
  さらに、資料の意見で、「指標が設定されていないと、進捗状況が外部からはわからない」とあるが、その最たるものが広報や人材育成などの分野である。 このような分野が事業仕分けで切られる傾向にあるので、評価手法を明確にすることや、施策を実施するときに社会を巻き込むことを明確に位置づけて施策を実施するという視点が必要である。

【山本委員】
 環境施策体系の中に矛盾があるのではないかという指摘を受けたことがある。 このような環境政策全体における「compatibility(適合性)」については本施策体系(案)のどの項目で検討するのか。 例えば、海面の埋め立てと土壌汚染対策は矛盾する。 土壌汚染法の環境基準は非常に厳しく、海面埋め立ての環境基準は緩いため、海面の埋め立てに土壌汚染法を適用するとほとんど引っかかってしまうが、それは実態にそぐわない。 施策体系全体の「compatibility」を議論するところが必要ではないか。 

議事2 環境省政策評価基本計画(案)について

議事3 平成23年度環境省政策評価実施計画(案)について

(事務局より、資料2「環境省政策評価基本計画の改定について」、資料3「平成23年度環境省政策評価実施計画(案)」の説明)

【三橋委員】
 「3.大気・水・土壌環境等の保全」「目標3-1.大気環境の保全」(参考資料3、P.5)にある、「越境大気汚染や酸性沈着の影響」が黄砂や酸性雨を指すとは読みにくく、表現が一般人にはわかりにくい。 表現を変えた方がよい。

【山本委員】
 本件については、中国からの黄砂および酸性雨を監視している等、もっと明確に記述したほうがよい。

【清水審議官】
 大気や水の問題は、今まで「地球環境の保全」という分野に明確に打ち出されていたものが、各局の施策に溶け込んでしまい、わかりにくいという議論があることは理解している。 しかし、環境省の組織が変更した背景をご理解いただきたい。 例えば、大気汚染については、対馬あたりのオゾンの濃度が上がっているのは、中国からの大気汚染が影響していると考えられている。 今までは国内の大気汚染と国外の大気汚染を別物と考えた施策体系となっていたが、現在は国内の大気汚染は国外の大気汚染とつながっており、一体となって進めていくことが行政として正しい姿であるという考えの下、組織改正をした。 そのため、従来の国内の大気汚染対策は、国際的な問題を視野に入れて、国内外一体として行っていくという体制になった。 地球環境全体の大気を見ながら大気行政、あるいは国際的な海洋汚染も見ながら水質汚濁行政を行っていくという発展形の中で組織改正が行われ、このような中での施策体系がここにあるということをご理解いただきたい。

【河野委員】
 環境省の中において部課横断的な評価が必要である。 評価対象が施策であり、評価主体が部課であるということで、うまく対応できないというねじれがあるとのことであるが、少なくとも温暖化等はどこかで統一的な評価が必要である。
  温暖化施策のような国民にとって重要な政策について、経済産業省、農林水産省、および国土交通省などの他府省が同種の政策を行っている場合、国民への結果の公表に当たっては、環境省から、他府省の政策予算、同省における指標の達成度合いなども一緒に示されるとわかりやすくなるのではないか。

【崎田委員】
 私も府省横断的な環境対策がきちんと評価できる形がよいと考える。 現在、各省にとって環境エネルギーは重要分野になってきているので、グリーンイノベーションの全体像を連携して評価し、日本全体で推進することが重要である。
 「4.廃棄物・リサイクル対策の推進」にある、「4-2.循環資源の適正な3Rの推進」という文言がひっかかる。 循環資源になる前の資源そのものを大事にする、資源生産性を高める、という発想から循環基本計画が描かれているはずである。
 今後の放射性廃棄物対策について、低レベルも高レベルもあるが、環境省でも対策が重要である。 参考資料3にも記述がないが、どの分野に入るのか。

【堤委員】
 廃棄物対策がどの程度地球温暖化防止に貢献するのか、地球温暖化との関係がわからない。 3Rとくくってしまい、本来であれば地球温暖化防止のためにはリサイクルの優先順位は3番目であり、リデュース、リユースを強化しなければ到底温暖化には効果がないという考えがあっても一緒にされてしまっている。 この3つをバラバラにできないか。 化学物質で言えばフロン対策なども同様である。 具体面で温暖化対策とどのようにつながっているのか見えるように、もう少し分類に別立てがあってもよい。
  いよいよ大量生産、大量消費、大量リサイクルということになっている。リユースについては庶民の間でどのようにするのかわからない。 自分のパソコンのキーボードの文字盤一つが取れてしまい、ある大手メーカーに部品調達も含め修理をお願いしたところ、部品交換がきかずに一式取替えとなってしまった経験がある。 生産現場でリユースは理念的にどこかにいってしまっているかのように感じている。 やはり、実際の現場につながっていくような表現や分類があってもよいのではないか。

【井村委員】
 酸性雨、黄砂、海洋環境が明記されていないことについては、部会や審議官にご説明いただいた上で納得していたが、確かに入っているというメッセージが弱いかもしれない。 国際的な大気行政という観点が少し弱いかもしれない。 もう少し強く書くべきであろう。
  評価については、政策評価は現在から3年後などという将来だけを考えているわけではなく、政策は過去の歴史を背負っており、過去からの継続である。 そう考えれば、10年評価も何とか可能ではないか。 そのような時に、昔の生活と比較した国民の感覚をうまく評価できるようなシステムができればよい。 例えば、地球温暖化対策は80年代から始まっているが、その間にどのような施策を打ち出して、どのように変化してきたのかという歴史を押さえた上で評価しなければならない。 環境庁は20年史を作成しており、かなり評価された歴史がある。このようなもののストックを作っていくことは重要である。
  「2-3.地球環境保全に関する調査研究」、「7-3.環境保健に関する調査研究」、および「9-3.環境問題に関する調査・研究・技術開発」と、環境に関する調査研究の項目が複数ある。 環境省は、政策の実施を他省庁に依存していると言われているが、調査研究については、環境プロパーの独自の研究予算を持っている。 この調査研究費をもっと武器として利用することはできないか。

【藤井委員】
 三橋委員のオーラル・ヒストリーについてのご意見は、市町村行政および都道府県行政の声とのすり合わせが重要であるため、非常に良いご意見である。
  政策評価自体には専門家の意見を反映させるとのことだが、他省庁から事業仕分け以外の厳しい意見があることついても考慮に入れなければならない。 例えば会計検査院からのRDFに関する厳しい評価がある。 RDFについては、環境省はリサイクルの中で相当力を入れていたが、予想通り破綻した。 生ゴミを含めて全てRDFと分類してすべてリサイクルしているとし、プラス評価するという実態と離れた評価をしていることが、会計検査院から指摘されたことがある。 また、2002年にスタートしたバイオマス・ニッポン総合戦略に対する、総務省による評価については、少々言いすぎであると感じている。 本政策評価において、このような他省庁からの厳しい意見をどのように反映させるかということを考慮に入れていただきたい。

【三橋委員】
 低炭素社会づくりは、現状の産業構造や行政手法を転換させるという新しい発想で取り組むことによって初めて実現できる。この点において、政策作りに色々問題がある。例えば、排出量取引制度の小委員会のメンバーには利害関係者が入っている。利害関係者が入れば切れのいい制度が作れない。中立的な学者や専門家だけで制度を作らないと効果的な制度はできない。このような委員会の作り方にそもそも問題がある。環境省の管轄ではないが、RPS法についても、利害関係者が入った委員会で議論されるため、目的は良いものの、導入時に効果が上がらないような仕組みにされてしまっている。結局、RPS制度は今度の全量買取制度の導入とともに廃止されると聞いている。低炭素社会づくりを実現するために、いかにして個々の制度を効果的に作るかということが重要である。利害関係者の意見を聞くことは重要であるが、あくまで参考意見として聞くべきであって、実際に制度を作る委員会からは排除するべきである。実施の段階において利害関係者と調整をすることは必要である。初めから利害関係者をいれれば新しい制度や法律は内容の薄いものになってしまう。コンセンサスという名目で利害関係者を入れるこれまでの政策作りの手法は、世の間を大きく転換させなくてはならない時代には、非効率であり、間違っているのではないか。

【山本委員】
 三橋委員の意見に大賛成である。
  1点目としては、日本独自の環境ビジョン(政策)を持ち、その上で国内施策を考えるというようになぜならないのか。 特に、地球温暖化対策については参考資料3の施策1に記述があるが、及び腰な書きぶりであり、どの水準で温室効果ガスの濃度を安定化させるのかということが記述されていない。 CO2濃度を450ppmにするのか、CO2等価指標で550ppmにするのか、あるいは気温の上昇を2℃以下にするのか、この点についてしっかりとしたビジョンがないから本評価書に書けない。
  井村部会長からのご指摘でもある調査研究の成果を戦略的に生かすということは非常に重要であり、常に10〜20人張り付けて勉強し、調査をしていることが重要である。 このようなことを述べる背景としては、温暖化の悪影響について非常に厳しい意見が国際的に公表されていることがある。 イギリス政府のアドバイザーであるティンダールセンター所長のケビン・アンダーソンが、あと50年で最悪4℃上昇し、4℃上昇すると、世界の人口の10%以下しか生存できないであろうと発言している。 同じく、ドイツ政府顧問であるポツダム研究所長のシェルンフーバー教授が、4℃上昇した場合の世界における人口収容能力は、世界人口の10億人程度であると唱えている。 シェルンフーバー教授の資料は、地球温暖化にどのように適応するべきか国際的で抜本的な戦略を示しており、最適地で穀物生産を行うという「Great Land Use Transformation」を唱えている。 このような世界的な戦略の下、ドイツは国家としてどのような資源・食料確保の戦略をとるか、と論理的に考えている。 しかし、日本にはこのような戦略がなく、誰も考えていない。非常に心配である。 是非、戦略的な調査研究の強化をお願いしたい。
  2点目としては、崎田委員ご指摘の「循環資源の適正な3Rの推進」は表現が適切ではない。 「資源の適正な3Rの推進」で十分意味が通じる。 このように記述するのであれば、「循環資源」の明確な定義付けが必要である。
  また、天然資源の消費を抑制することが重要である。 この点についてUNEPの資源パネルによれば、日本の場合、現在一人当たり年間14.5t程度の天然資源の消費を、年間6tまで削減すべきであると提言している。 CO2のみならず、天然資源も大幅に削減することでグリーンな社会を作ることが長期的な方向性である。 「4.廃棄物・リサイクル対策の推進」についてはもう少し検討が必要なのではないか。
  最後に、鳥インフルエンザや口蹄疫で大量の処分が実施されていることや、大地震や洪水などによる大量の廃棄物は、環境省でどのように安全を担保しながら処理をしているのか。

【鷲谷委員】
 決められた手順で評価することも大事だが、環境的な視点で天下国家を論ずる部分があってもよい。
  例えば、生物多様性については、おそらくCOP10による愛知目標設定を強く意識した施策はおそらく「5-1.基盤的施策の実施及び国際的取組」を介して推進されるであろうが、もっと強い影響力を発揮できるような実施体制が必要ではないか。 国際社会が生物多様性2010年目標を達成できなかった理由として、農業政策やプログラムなど、他のプログラムと統合することができなかったことが第一に挙げられている。 日本においても生物多様性の損失は留まることを知らない勢いであり、国際社会の構図と同じ構図がおそらく日本にも存在するのではないか。 環境省の中で政策間の連携というご意見が随分出ていたが、環境の視点から他の政策分野を統合することが必要ではないか。
  愛知目標においても、農業や水産業に関わる目標があるが、世界的には強い農業が生物多様性損失の主要な原因の一つとして認識されている。 ところが、現在の日本の政策は強い農業を打ち出しており、到底生物多様性戦略に寄与できそうにない。 このような分野間の矛盾をチェックし、国民を巻き込んだ議論を展開できるような政策評価をすることによって、他の行政分野において環境と矛盾している施策を進めているところを指導できるようにすることが重要ではないか。
  「1.地球温暖化対策の推進」「1-3.森林吸収源による温室効果ガス吸収量の確保」は林野庁の管轄分野のような気がするが、環境省としてどのように進めるつもりかご説明いただきたい。

【地球環境局】
 河野委員からの部署横断的な評価の必要性に関するご意見について、確かに温暖化対策一つをとっても環境省のみでできることではないが、環境省の役割としては、自らプロジェクトを進めるという役割とともに、各省における温暖化対策も推進するという横割りの役割もある。 現行の温暖化対策の仕組みでは、京都議定書における2012年以降の計画として、今後国会へ提出予定の地球温暖化対策基本法案があり、2020年および2050年を見据えた政策を進めていく上で、政府全体の基本計画及び実施計画を作成して実施しようというものである。 未だ法律しては成立していないが、このように環境省が率先して動かすという役割を担っている。 実際にちゃんと動かせているのかということを本評価書で評価することが可能かもしれない。 ただ、各府省の取組施策を本評価書のどこに位置づけるかは今後ご議論いただきたい。
  井村委員からの調査研究・技術開発に関するご意見については、本局だけの問題ではないであろう。 確かに重要であることは認識している。 例えば技術開発の予算などは、政策コンテストという仕組みを利用しながら、全体の予算がなかなか取れない中で伸ばしている。 各局と合わせて評価することについては、運用面で言えば、競争的資金は全体として統合的な運用をすることにはなっている。 このような動きの中で、各局と相談して取り組むことになるであろう。
  藤井委員からの、総務省からのバイオマス・ニッポン総合戦略への指摘があったことに関するご意見について、バイオマス関連は各局にまたがる事項であるが、我々としては効果がある施策に予算を使っているつもりである。 しかし、具体的な削減がきちんとした根拠によって示せていなかったかもしれない。 削減にどのように寄与するのかということを明確に示せるようにしたい。 次年度以降の予算の組み方においても、どのような効果があるのかについて、説得力ある説明をできるようにしていかなければならない。 無駄なことを行ったつもりはないが、このような説明をすることが重要であると受け止めている。
  山本委員からの地球温暖化への「適応」という記述がないというご指摘について、確かに、参考資料3の「2.地球環境の保全」「2-3.地球環境の保全に関する調査研究」に調査研究対象として書いてあるのみである。 「適応」は今後、非常に重要になってくる。 「適応」については、地球温暖化対策基本法案の中で明確に「適応」に取り組むことを位置づけ、基本計画の中にも「適応」についてどのように取り組むか記述することを提案しているところである。 さらに、現在の取り組みとして、自治体における災害対策や農産物に関する対応マニュアルを、他省と連携しながら作成し、普及を開始したところである。 このように、「適応」については取り組んでいないというわけではない。 しかし、本評価書における具体的な記述の仕方については、宿題とさせていただきたい。
  三橋委員からの低炭素社会づくりのために現在の産業構造を変える必要があるというご意見や、山本委員からの地球全体を見渡した長期的な戦略が必要であるというご意見について、まさにその通りである。 具体的にどうするかについては、地球温暖化対策法案を、温暖化対策や低炭素社会づくりを大きく変えて戦略的に進めるスキームとして提案している。 本法案には今までの基本法とは異なり、大きな到達目標を明記しており、それに対する計画的な施策や方向性を盛り込んでいる。 究極目標がないという山本委員からのご指摘については、カンクン合意の中で日本が合意した2℃目標がある。 この2℃目標に向けて、世界全体で2050年にCO2を半減させるというのは国際合意にはなっていないが、先進国として80%削減するということは大きな目標として掲げているので、このような点について記述を工夫したい。
  三橋委員からの制度設計への利害関係者の参加に関するご意見については、色々なやり方があると考えている。 昨年の中央環境審議会において排出権取引を議論し、年末に中間整理を公表した。 本フェーズでは、制度のプレーヤーの理解を得なければ動く制度にならないという判断から、産業界にも参加いただいた。 本フェーズに先立つ検討においては、学識者による検討によって論点を整理した。 色々なやり方を試みているところである。 意見の違いになってしまうかもしれないが、最終的に国会を通るような法制度とするためには、利害関係者の意見を真摯に聞くフェーズも必要であると考えている。

【水・大気環境局】
 藤井委員からの黄砂や酸性雨が明記されていないことでメッセージ性が弱いというご指摘については、参考資料3の中でもう少し記述することや、体系図の中に注書きを加えることなどを検討したい。 どのような形になるかは内部における議論になるが、重要な問題であるため、きちんと力を入れていかなければならないと考えている。
 山本委員からの埋め立て地と土壌汚染対策との矛盾に関するご指摘については、ちょうど現在、自然由来の土壌汚染と合わせて規制改革の観点から指摘されている。 土地の姿および利用の姿によってどのようなリスクがあるか、ということに応じて規制の水準を柔軟に対応させる必要がある。 現在、規制の在り方について検討中であり、一定の方向性を出そうとしている。 今までは規制をしっかり行っていることを評価してきたが、世の中の動きや他分野からの要請に対してどのような対応をしているかについても政策評価の中で打ち出すべきなのかもしれない。
  同じく、山本委員からの鳥インフルエンザや口蹄疫による処理に関するご質問については、水・大気環境局でも地下水、公共水域、悪臭などの観点からモニタリングを実施している地方公共団体と連携しているが、現在のところは韓国における地下水汚染などのような事態には至っておらず、特段問題ない状況である。

【自然環境局】
 組織の改編に基づき、現在自然環境局は、従来地球環境局で担当していた国際的森林対策、砂漠化防止対策、南極保護を担当している。 評価書の中では、参考資料3のP.10「基盤的施策の実施及び国際的取組」において記述されている。
  鷲谷委員から大きな問題としてご指摘いただいた、環境的な視点で天下国家を論ずることについて、昨年のCOP10において世界目標が採択されたことにより、生物多様性基本法に基づく国家戦略の見直しを1年半かけて実施しようとしている。 その際は、今回の愛知目標を含む新戦略計画で何が求められているかということを常に念頭に置いて新しい国家戦略を作成することになる。 その中には、生態系への影響のみならず里山のように農林水産業が生物多様性保全に果たす積極的な役割も含めて議論することになる。 専門家のみならず国民の意見を広く聞きながら、参加型の改定作業を進めたい。

【地球環境局】
 鷲谷委員からの吸収源対策の扱いに関するご質問について、林野庁で推進する事項であるが、環境省としての役割は、吸収源についてインベントリーを作成し、国際社会に報告することである。 また、全体の地球温暖化対策の進行管理をする中での吸収源対策がうまくいっているのか進行管理をする役割がある。

【廃棄物・リサイクル対策部】
 崎田委員、および山本委員からの「循環資源の適切な3Rの推進」という表現へのご指摘について、もともとの意味は「廃棄物の適正な3Rの推進」であるが、循環基本法が制定された際に、単なる廃棄物(=捨てるもの)の3Rを進めるという意味だけでなく、資源として循環させようという概念を作った。 この意味を込めて「循環資源」が使われており、この点ご理解いただきたい。
  崎田委員からの放射性廃棄物の今後の対応に関するご質問については、文部科学省等の原子力担当省庁の管轄である。 環境省としては、クリアランス制度において再利用されたものの所在管理システムを有しており、この点に関し関係府省と連携して進めている。
  堤委員からの3Rをバラバラに考えることができないかというご意見については、過去の政策評価の継続性の問題から悩ましい点ではある。 決してリユース、リデュースをないがしろにしているわけではないが、リサイクルに比べると定量的な評価が難しい。リユースは非常に重要であり、当部においても取り組みを進めているところ。 本評価書においてリユースを特出しすることが適切か否かについてはこの場ではお答えできないため、持ち帰って検討させていただきたい。
  同じく堤委員からの廃棄物対策がいかに地球温暖化防止に貢献するかわからないというご指摘について、廃棄物行政においても、地球温暖化対策にどのように対応しているのかという観点がある。 この点、例えば、現在の政策評価においてもゴミ発電などについて目標設定しており、進捗状況、達成状況についても評価している。
  山本委員からの家畜が大量に死んだ場合の処理に関するご質問については、農林水産省の管轄である家畜伝染病予防法に基づいて、立会い焼却・埋め立てなどをしており、現在のところは韓国における地下水汚染のようなことは起こっていない。

【総合環境政策局】
 井村委員からの調査研究および技術開発の推進に関するご意見について、政府全体の科学技術関係予算が減額傾向にある中で、環境研究総合推進費の来年度予算は10億円ほど増額となっている。 その中でも従来の循環型社会形成推進科学研究費補助金を環境研究総合推進費に統合したところであり、全体を見渡して研究を推進していきたい。 来年度の研究内容においても、温暖化対策と廃棄物対策などの領域横断的な調査研究を特に実施することとしており、相乗効果が期待されるようなやり方で進めていきたい。
  三橋委員からの政策評価への住民の意見の取り入れに関するご意見について、先ごろ、環境基本計画の見直し作業について中央環境審議会に諮問したところであるが、その中でも国民の意見をよくお聴きしていくことは重要なことであると考えている。 本見直しの中でも念頭に置きながら進めたい。
山本委員からの「8-1.経済のグリーン化の推進」というテーマが大きすぎるというご指摘について、本テーマの内容としては、経済・社会活動に環境配慮を織り込むような共通的な政策を進めることである。 具体的にはエコアクション21、グリーン購入、環境報告書などがある。 各局個々の取り組みの中にもグリーン化という視点の政策はあるが、本項目においては共通的な政策手法としてのグリーン化の推進に当たるものを位置づけている。 名称についてはなかなかよい表現が見つからず、このような表現になっていることをご理解いただきたい。

【環境保健部】
 井村委員からの調査研究に関するご意見について、今回の施策体系における調査研究の中で環境保健部が関係する分野は、花粉症や電磁波などについてのみである。
  エコチル調査や大気汚染被害者の疫学調査について、紹介する。 エコチル調査については、来年度予算が46億円(昨年度30億円)であり、今後20年以上かける大規模な調査となるため、なんとか継続していきたい。 大気汚染に関する調査については、10〜20万人もの児童、学童、成人を対象とした大規模な調査を実施してきた。

【清水審議官】
 三橋委員からの評価手法としてのオーラル・ヒストリーに関するご意見については、基本計画の見直し作業における連携の中で検討したい。
  河野委員、および藤井委員からの部課横断的な評価、および他府省からの評価をどのように取り入れるかについては、今後よく検討していきたい。 各省に対して事業官庁ではない環境省ができることとしては、企画・調整機能を発揮し、全体としてどのような形でできるのかよく検討していきたい。
  崎田委員からの広報に関するご指摘については、官房でも全省的な立場からの戦略広報に関する会議を開催するなどして検討しているが、評価手法については明確なものが打ち出せない。 井村委員などとご相談しながらこのような広報的なものを含めた評価をどうするか考えていきたい。
  同じく、崎田委員からの黄砂や酸性雨などの記述については、もう少しアピールできる表現を須藤委員長、井村委員を中心にご相談していきたい。

【谷津大臣官房長】
 環境省は個別の政策分野で連携を図っている。 例えば、政府の主要テーマに関する省庁連絡会議などで、環境省は、環境に関するものについて事務局を務めている。 このように、リーダーシップをとりながら個別の課題に対処している。 このようなことについて政策評価の中でどのように書き込めるか、記述面を検討していきたい。
  パッケージとしての環境政策としては、環境基本計画が政府全体の環境政策の枠組みを示している。これを本政策評価の中で評価することが、省庁連携を評価する一つの鍵になると考えている。
  現在、評価書の構成は、「はじめに」からいきなり評価シートになっているが、国民への説明責任の観点からも、鷲谷委員からのご意見でもある環境省のミッション的なものを、科学的・合理的にまではいかなくとも、物語的にわかりやすく示す工夫をしてみたいと考えている。 メッセージ性がある分野と科学的・合理的分野をつなげるやり方について工夫しながら考えていきたい。

(事務局より、総務省による政策評価の統一方式に関する提案に関する説明)

【須藤委員長】
 以上をもって、本年度の第三回政策評価委員会を終了する。

以上



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環境省大臣官房政策評価広報課