Lifestyle Innovation ライフスタイル イノベーション

環境省

アイコン住宅における温冷熱環境に関する
快適性評価指標の開発に関する調査

株式会社住環境計画研究所

概要

家庭における暖冷房の低炭素化に着目し、暖冷房用エネルギー消費の削減を促すと同時に、温冷熱環境の快適性や、健康への影響を定量的に評価する指標を開発することを目的とし、調査を行った。首都圏の戸建て住宅50世帯を対象として、1年間の電力消費量・温湿度の計測と、住まい方や季節ごとの快適感等を把握するためのアンケート調査を実施した。
また、機器の使い方に関する行動変容を促すため、調査対象世帯の半数である25世帯にエネルギー消費量や室内環境の解析結果を掲載したレポートを定期的に送付した。
加えて、温熱環境と健康影響の関係を把握するため、調査対象世帯の居住者23人を対象に睡眠データの計測調査と主観的睡眠指標等を把握する日誌調査を行った。
それらの結果および検討委員会での議論、ならびに住宅供給事業者、エアコンメーカーへのヒアリングを通じて、活用可能な評価指標となるよう意見収集を行い、方向性を整理した。またCO2-NEB評価指標の活用例として、断熱性能向上、行動変容、エアコン効率を向上した場合の、CO2排出量と快適性NEB評価指標の関係をシミュレーションにより分析した。

NEB/EB

NEB・暑さ・寒さ等の快適性及びそれらに伴う健康や生産性、QOL(生活の質)の向上効果

EB・・冷暖房消費量削減に伴うCO2排出削減量・光熱費削減量

試行実験

首都圏の戸建て住宅50世帯を対象として、1年間の電力消費量・温湿度の計測と、住まい方や季節ごとの快適感等を把握するためのアンケート調査を実施した。
また、機器の使い方に関する行動変容を促すため、調査対象世帯の半数である25世帯に、エネルギー消費量や室内環境の解析結果を掲載したレポートを定期的に送付した。加えて、温熱環境と健康影響の関係を把握するため、調査対象世帯の居住者23人を対象に、睡眠データの計測調査と主観的睡眠指標等を把握する日誌調査を行った。
その上で、夏・冬の快適性NEB指標をポイント付けし、評価することとした。

採用した平均値以下を推奨範囲とし、推奨範囲を基準にCO2-NEB評価指標を4つのグレードに分けて評価するものとする。各グレードは以下の通りに定義する。

グレードAA(推奨範囲):
快適性NEB評価指標が平均値より高く、CO2排出量が平均値より少ない
グレードA(我慢型):
快適性NEB評価指標が平均値より低く、CO2排出量が平均値より少ない
グレードB (多消費型):
快適性NEB評価指標は平均値より高いが、CO2排出量が平均値より多い
グレードC (非効率型):
快適性NEB評価指標が平均値より低く、CO2排出量が平均値より多い

NEB活用の方向性

住宅供給事業者・・住宅市場全体でにおいて、リフォーム時や高齢者向けに健康性の指標を活用しようという動きはあるが、既存の標準化が進んでいないため共通の評価基盤がないのが実態である。そのため、定量的な快適性や健康性の評価を簡易に行うことができ、認知度が高まれば、提供する住宅の付加価値を訴求する上で活用できる可能性がある。NEB指標を医療費等の貨幣価値に換算できれば、顧客への提案資料に医療費削減効果による建築費回収効果を提示できるため、さらに活用可能性は高まる。

エアコンメーカー・・従来から、エアコンは買換え需要が大きな市場であることから、エアコン設置後の情報収集とその活用方法の開発はエアコンメーカーの大きな課題でもある。このような環境にあって、NEB評価指標はエアコンの開発時から設置後のサービス提供まで活用が期待されている。エアコンメーカーでの活用方法として、エアコンの使い方アドバイスや適正な容量選定ツールとしての活用が考えられる。