水・土壌・地盤・海洋環境の保全

海域の物質循環健全化計画 | 平成23年度第1回海域の物質循環健全化計画検討委員会議事概要

開催日時

2011年7月19日(火) 10:00~12:20

開催場所

東京国際フォーラム G502会議室

出席者

(委員)
寺島委員、中田(喜)委員、中田(英)委員、西村委員
藤原委員、松田委員(座長)、山本委員
(環境省 水・大気環境局 閉鎖性海域対策室)
富坂室長、阿部室長補佐、的場主査
(事務局)
いであ(株)島田、黒川、芳川、平野
(地域検討委員会事務局)
三河湾:いであ(株)風間
播磨灘北東部海域:(社)瀬戸内海環境保全協会 藤原、いであ(株)奥村

資料確認

〔環境省の担当者は今年度から変更。閉鎖性海域対策室の富坂室長、阿部室長補佐、的場主査の紹介。山本委員が今年度より参加。鈴木委員はご欠席。〕

環境省挨拶

〔 本事業は3ヵ年計画の2ヵ年目で、海域と陸域が一体となった管理方策、いわゆる海域ヘルシープランを策定することを目的として開始した。昨年度は3つのモデル地域を選定し、海域ヘルシープランの策定に向けて、栄養塩類の滞りの現状把握、要因究明、滞り解消のための方策案を検討した。あわせて、全国の閉鎖性海域において海域ヘルシープランの策定と豊かで健全な海域の構築を可能とするべく、海域ヘルシープラン策定要領の骨子を検討した。今年度は昨年度に引き続き現状を解析し、この結果から明らかとなった栄養塩類の循環を滞らせる要因をさらに究明し、海域あるいは地域の環境健全度を向上するために着目すべき評価因子、改善対策を検討願いたい。今年度、第1回目となる今回は今年1年間の検討方針と計画を審議願いたい。また、本年3月11日に発生した東日本大震災のため、モデル地域の一つである気仙沼湾は残念ながら当面検討を中止せざるを得ない状況となっている。気仙沼湾のかわりとして新たな調査検討対象海域を検討願いたい。〕

座長挨拶

〔出席委員の承認により、松田委員が座長として選出された。〕

資料確認

〔配布資料を確認した。〕

座長挨拶

(松田座長)昨年度からの経緯もあり、今年も座長を務めさせて頂く。さきほど富坂室長からこの委員会の役割について適切な説明があったように、私自身としてもこの委員会は今の時代にあったユニークな役割を担っており、重要なテーマを扱っていると考える。閉鎖性海域のみならず日本の沿岸海域の環境管理を考えると、現在大きな転換期を迎えている。従来は水質管理が中心であったものが、物質循環の制御あるいは生態系の管理に大きく舵を切りつつある。これは私個人の意見だけではなく、環境省のその他の検討結果もそのようになっている。これから、そのように変わっていく必要があるということだろう。ただし、こうした取組は簡単ではない。実現のためには、優れた計画と実証的なデータが必要となる。3海域で進みつつある検討は、これからの日本の沿岸管理にとって重要な役割を担っていると考える。この事業はモデル地域の物質循環をすぐに健全化させるようなハードを伴うものではなく、物質循環を健全にするための方策を検討すること、他の地域でも使えるマニュアルを作ることが目的である。全体の仕組みとしては、この統括検討委員会は親委員会のような役割を担っており、並行して各モデル地域では地域検討委員会が進められる。この両者の関係が重要であると考えている。いずれの委員会も一人歩きしてしまってはうまくいかないだろう。それぞれの委員会は、委員をとおしてつながることができるようになっているので、連携・協力・調整が重要である。
気仙沼湾は津波によりたいへんな状態となった。私も4月末から5月初めにかけて現地をみる機会があったが、本当の意味での復興は長期戦とならざるを得ないだろう。現在、陸域の再生が中心となって進んでいるが、今後は海域の再生も必要となるだろう。昨年度は西村先生が中心となって気仙沼湾の環境を整理した。これは、津波の直前までの気仙沼湾の状況がまとまった貴重な資料となっている。この成果が今後の気仙沼湾の再生・復興になんらかの形で貢献できればと考えている。

議事

(1)本年度の海域の物質循環健全化計画の検討方針について【資料-1】

〔事務局より資料説明を行った。資料-1に関する質疑はなかった。〕

(2)追加調査対象地域の検討について【資料-2】

〔事務局より資料説明を行った。資料-2に関する質疑応答は以下のとおりである。〕

1.(山本委員)三津湾ではカキ養殖が行われており、これからの負荷があるだろう。流入河川に大きな河川はないため、水というよりも底泥の細粒化が問題ではないだろうか。底生生態系がかなりいたんでいると感じている。したがって、三津湾の物質収支モデルには、カキ養殖と底生生態系を入れておく必要がある。私達の研究室はカキ養殖が行われている広島湾の研究を長年続けており、モデルも開発している。このモデルの構造を参考にしてはどうか。パラメータなども提供する。
物質循環の調査項目に窒素、燐に加えて、シリカも加えてほしい。
鉄炭団子を対処療法的に使用しているようだが、陸からの鉄の供給不足の可能性はあるだろう。他の海域との差別化もできるという意味でも、可能であれば鉄の調査を入れてみてはどうか。
公共用水域のデータでは底層での酸素の枯渇はみられない。夏場に底層の貧酸素を確認するのは有用だろう。
水産の分野ではAVS(酸揮発性硫化物)を測定することが多いが、これは硫化水素ガスそのものではない。底泥の間隙中の硫化水素を測定することで現状を適切に把握することができる。硫化水素そのものを測定する方法としては、例えば検知管を用いた方法などがあり、こうした方法を利用してはどうか。
→(事務局)検討したい。
2.(中田(英)委員)議題4にも関連するので意見を述べたい。マニュアルの中でのタイプB-1のコンセプトとしての位置づけを明確にしてほしい。タイプCは三河湾、播磨灘など生態系、物質循環ともによくない海域。タイプB-1は物質循環の点では比較的悪くないが、なぜか生態系がよくないタイプ。これまでの検討をふまえて、うまくまとめられるようなストーリーを作って、検討するのがよいだろう。
三津湾は、基本的には貧栄養で、物質循環は比較的悪くないが、局所的にヘドロ化している。この局所性のようなものが生物の生息基盤を悪くして、生態系を不安定化しているのかもしれない。
タイプ別の特徴をマニュアルの中でどのように位置づけて、最終的なまとめにもっていくのかを検討してほしい。
→(松田座長)三津湾は研究データがなく、実態がよくわかっていない。今回のヘルシープランの作業を進めていく中で、資料-2、p.1(以下、参照ページはすべて資料-2)の図式の再評価もなされてくることもあるだろう。
この図式の縦軸、横軸にある「物質循環の円滑さ」「生態系の安定性」は、OPRF(海洋政策研究財団)が中心となって進めてきた「海の健康診断」によるものであるが、このスキームで全国の88閉鎖性海域を評価すると、極端に物質循環が悪いわけではないのに貧酸素が発生するというような、なぜか調子が悪いという海域が多い。三津湾はこうした一見平凡だが調子が悪い湾としての意味もあるだろう。
3.(藤原委員)瀬戸内海では栄養塩レベルが低く、栄養塩レベルでは問題がないところでも、底質が細泥化するなど、底質が悪くなって生物がうまく育たない場合がいくつかみられる。瀬戸内海中央部から西にかけてこうした事例が多く、三津湾もその中の一つだろう。
細泥化の原因はよくわからないが、一つの原因として、瀬戸内海中央部では海砂採取が1980年代~90年代中頃まで続けられていたことが挙げられる。海底から砂をとって、泥を海に戻すという行為が大規模に行われてきた。この地区では、海底が10mであったものが30mまで深くなっているところなどがかなり存在する。
現地調査では、採泥のコアサンプリングをするので、いつから底質が細泥化したのかを調べて、海砂採取の時期と比較するなど、時間軸でみて検討してほしい。
→(事務局)底質については、現状ではコア抜きをしたうえでいつごろ細泥化したのかを把握する調査を入れている。年代測定についてもあわせて検討する。
4.(中田(喜)委員)湾口が浅く、シル(浅瀬)が形成されている。シルのあるタイプのエスチャリーという観点で物理観測をしてほしい。
安芸津浄化センターは埋立てか、いつごろ建設されたのか。浄化センターの建設による影響に関する項目を調査に入れてほしい。
底質の細粒化の原因は貧酸素と関係があると考えているが、細粒化してきた場所は湾全体に及ぶのか、局所的なのかを確認してほしい。
→(松田座長)底質の面的な分布などわかっていないので、あわせて調査する必要がある。p.4をみると、三津湾は地形的に島に囲まれており、比喩的にいえば3重の閉鎖性海域となっている。三津湾の湾外では比較的潮流も速いようだ。
5.(寺島委員)三津湾は、さきほど松田座長が身近な地域と表現したように、山に囲まれた閉鎖性の湾であり、昔から漁業もあるという日本のどこにでもあるような地域となっている。日本のいろいろな地域を考えるうえで、三津湾をモデル地域とすることはおもしろい。
湾への影響はどこからきているのか。山側の河川からの影響、湾外からの影響はどのようになっているのか、興味がある。また、ヘドロ化についても、その原因が例えば流入する河川の上流でダムや堰などがあるかどうか、あるとすればいつごろからあるのか、といった点に関心がある。
→(松田座長)p.3みると、伊予灘から安芸灘にかけては豊後水道からの外洋水の影響を強く受ける海域となっている。湾の外側からの水との関係性もテーマの一つとなってくる。
→(藤原委員)たしかに、外洋水が入るルートではあるが、もっとローカルな話だろう。
6.(藤原委員)p.4みると、さきほど中田先生がいう湾口のシルは、大芝島の島影にできた砂堆になっている。大芝島の東側は流れが速く、ここで貧酸素が発生するのは違和感がある。普通の湾では8月後半に貧酸素が強くなるが、ここでは8月後半では消失しているだろう。早い時期に鉛直分布を測定し、貧酸素の状況を把握する必要がある。
→(松田座長)観測の実施計画に反映してほしい。
→(松田座長)環境省の第6次総量削減の考え方では大阪湾を除く播磨灘以西の瀬戸内海では、表現が難しいがさらなる削減をしなくていいということとなった。しかし、問題がないというわけではなく、これからどうしたらいいかということで物質循環や生態系の問題などが取り上げられた。非常に単純化してこのようにとらえると、さきほど述べたやや平凡な湾という観点では、三津湾はこのような湾のモデルとなると考えられる。
7.(藤原委員)底質が細泥化した要因を調べてほしい。この地域には畑地、特にじゃがいも畑のようなものが多かったが、畑地の使われ方が90年代以降に変わったかどうかなど調べてほしい。
8.(山本委員)安芸津浄化センターが合流式か分流式かの把握やその他データの提供など、東広島市の協力のもと実施してほしい。
→(松田座長)応募者の協力のもと調査検討を進めてほしい。県の協力は確認がとれているのか。
→(事務局)県の協力はまだ確認はとれていない。

(3)物質収支モデルの精度向上について【資料-3】

〔事務局より資料説明を行った。資料-3に関する質疑応答は以下のとおりである。〕

三河湾地域

1.(中田(喜)委員)昨年度の三河湾地域検討委員会ではクラゲ、マイワシが議題として取り上げられていた。モデルではクラゲ、マイワシをどのように扱うのか。
→(事務局)マイワシ等の魚類はモデルには組み込まず、上位の生物に摂餌される餌量として整理し、評価する。クラゲはモデル化に至る十分な知見を得ていない状況である。今後、地域検討委員会と検討していきたい。まずは、プランクトンやベントスの区分を細かくするなどを中心にモデルの精度向上を図りたい。
→(藤原委員)三河湾のモデルで扱っている微生物食物網は播磨灘でも重要であるが、それを扱うまでには至っていない。三河湾でぜひ解決してほしい。
→(松田座長)とりまとめのモデル地域ごとの役割のところで議論したい。

播磨灘北東部地域

1.(中田(喜)委員)境界の潮汐に4分潮を与えている。これで問題は起きていないのか。
→(事務局)多少の課題はあるものの、流れなどは表現できている。
→(藤原委員)播磨灘北東部地域はバウンダリー(境界)が2つある。東と西のバウンダリーで平均水面の高さが数cm変わり、その違いが季節変動もする。平均水面の東西差も考慮してほしい。
→(事務局)資料-3、p.23(以下、参照ページはすべて資料-3)、潮位に加え、水位差を考慮してチューニングで細かく調整している。指摘のとおり、このようなところを検討しないと流れがあわない、というのが感想である。

三津湾地域

1.(山本委員)p.42、図4.2では還元遷移金属類をモデルに入れている。モデルの検証のためには、観測項目に入れるべきである。
懸濁物食者には、カキ、アサリに加えて、「その他」のようなものを設けない限り収支が合わない。現存量に占めるカキ、アサリの割合が圧倒的に多いなら良いが、そうともかぎらないかもしれない。
2.(藤原委員)三津湾の現象に対する流入する負荷の寄与率のようなものがわかるようにしてほしい。三津湾の中で起きていることが、三津湾の中に入ってくる負荷によるものなのか、あるいは湾外の変動に連動しているのか、などがわかるようにしてほしい。三津湾は外との交換がよいので、p.41図4.1のもっとも小さい入れ子だとほとんどが境界条件の影響を受けて変動してしまうおそれがある。湾内と湾外の影響を区別できるようにしてほしい。
→(中田(喜)委員)負荷のありなしでモデル上で検討してみるということか。
→(藤原委員)例えば、三津湾内にある安芸津浄化センターからの負荷量の寄与がどれくらいなのか。湾内のことをコントロールすることで海域をなんとかできるのかどうかを見極めてほしい。
→(松田座長)下水処理場からの負荷量はモデル上でコントロールできる。今後のヘルシープランの展開を考えると、下水処理場からの負荷量をコントロールして効果があれば政策提言などにつながる可能性があるので、役に立つ検討になるだろう。
3.(中田(喜)委員)p.42表4.1、アマモ・ガラモなどはこの海域にあるのか。
→(事務局)アマモの存在は環境省の自然環境保全基礎調査で確認がとれている。ガラモについては、資料-2、p.4の海図をみると大芝島の東側にガラモ場を確認できる。また、この海域ではメバルがよくとられており、メバルの生活史を考慮すると海藻藻場の存在が推察される。これらのことから、現在のモデル案としてアマモとガラモを入れている。
→(中田(喜)委員)アマモ・ガラモの現存量は調査項目に入っていないようだが。アマモ・ガラモの現存量をどのようにモデルに与えるのか。
→(事務局)アマモについては自然環境保全基礎調査の面積や被度のデータから把握できる。ガラモについては、まず東広島市や県の現状のデータとしてどのようなものがあるのかを早急に調べたい。

気仙沼湾地域

1.(中田(英)委員)気仙沼湾でのモデルの進捗状況はどのようになっているのか。
→(事務局)課題としては漁業船舶からの船倉排水の影響、地域固有の生物(カキ、ワカメ、コンブ)をモデルに入れることであった。船倉排水については現地調査により船倉排水からの負荷量を把握し、モデルへ反映する構想であったが、今は休止状態である。地域固有の生物については三河湾のモデルを参考にしてモデル化する準備を進めている状況であった。
→(西村委員)一年目は調査により流れの特徴はつかめた。表層は湾口に、底層は湾奥に向うという特徴であった。流れのモデルに関しては、個人的にはだいたいあっているという感想である。気仙沼湾では三津湾と同様に底質が問題となっているということであったが、カキ棚の下は実は悪くなく、湾奥に泥がたまっている状況であった。この泥の由来については安定同位体の調査により海由来、陸由来ともにおおまかにわかってきたところであった。生態系についてのモデルは不十分な点もあるが、三河湾のモデルなどを利用していけばなんとかなるのではないかと考えていた。
→(松田座長)現在の気仙沼湾の状況については、把握は進んでいるだろうか。
→(西村委員)地形の変化を見たり、底質も一部採泥し分析した。この委員会とは別ではあるが、継続的に観測をしていきたいと考えている。

(4)ヘルシープラン策定要領(案)について【資料-4】

〔事務局より資料説明を行った。資料-4に関する質疑応答は以下のとおりである。〕

1.(中田(英)委員)形式的なことを3つだけ述べたい。「ヘルシープラン」という表現では「プランがヘルシー」という印象を与えかねない。もっとよいネーミングにしてほしい。
目次の構成で、「5-5健全化に向けた目標の設定」とある。本来、目標の設定は「4.基本方針の決定」に含まれるようなものだろう。ここでいう目標の設定とは方策の設定とその効果の予測という意味だろうから、誤解を招かないように表現を工夫してほしい。
「3.健全化に向けての課題の抽出」から「4.基本方針の決定」につながるプロセスがこのヘルシープランの心臓部になると考えている。課題を抽出し、基本方針を決めるところまでのマニュアルのようなものがあるとよい。
→(松田座長)3つのモデル地域で物質循環の健全化に向けて検討した成果を抽出し、マニュアルに反映するところが重要だろう。モデル地域の検討ではシミュレーションモデルを用いた検討を行っている。こうしたモデル地域での検討がわかるような目次にしたほうがよい。
→(事務局)課題をどのように把握し、それにもとづいてどのように基本方針を決めるのかという、目次の2.3.4.が重要であると考えている。この中で、例示の事例としてモデル地域での成果を入れて、整理をしていきたい。
2.(山本委員)健全性の指標と基準について、海の健康診断を参考にしてほしい。
→(中田(喜)委員)海の健康診断の考え方では、「生態系の安定性」「物質循環の円滑さ」の2つの側面を組み合わせて評価をしていた。資料-4、p.9~10では指標が羅列されているが、分類してもらうと理解しやすい。例えば、生態系の安定性の場合には何々というようにするのがいいのではないか。「配分バランス」というのを表現するのは難しい。「緩衝力」「復元力」とは「安定性」という分類になるだろう。
→(松田座長)「緩衝力」「復元力」と他の指標との関係性も整理していくのがよい。海の健康診断では、三河湾、英虞湾、大村湾の3つモデル地域で成果をまとめているので、参考にするとよいだろう。
3.(山本委員)資料-4、p.9~10、健全性の基準の考え方に、水産的な観点から環境収容力などを入れてはどうか。例えば、三津湾ではカキ養殖を行っているが、どのくらいカキ養殖ができるか、というようなもの。漁獲圧のような考え方もあるのではないか。
4.(寺島委員)「I."ヘルシー"の考え方」が重要な意味をもっていると考えている。「I."ヘルシー"の考え方」の海域の役割、海域への人為的負荷の問題、"ヘルシー"ということについての合意形成などは、海の健康診断の研究にさらに付け加わるポイントとなるであろう。I.の考え方がII.以下の策定要領でどのように扱われているのかがわかるように、目次に反映してほしい。
→(松田座長)「I."ヘルシー"の考え方」は原理原則であるから、とってつけたようなものではよくない。「I."ヘルシー"の考え方」のたたき台を今年度の早い時期に議論したい。
→(事務局)そのようにしたい。
5.(松田座長)このマニュアルにはユーザーがいるのだから、ユーザーフレンドリーなものがよい。医者の診断マニュアルのように、どういう症状があるときにはこうするというような、症状から診断に至るまでのスキームがわかる簡単な見取り図・フロー図があるといい。細かくは第何章の何を参照というようなものをはじめにつけるとわかりやすい。
6.(西村委員)現状把握のはじめのところで、資料-4、図4物質フロー図(案)をみると、全部わかっていないとだめなのではないか、という印象を与えるのではないか。これは、使う側にとってはハードルが高い。実際にできあがったときにうまく活用されるかどうか、心配である。海の健康診断は既存データが活用できる点がメリットで、このヘルシープランの考え方もその延長にあったという印象をもっていた。そこのところの接続をうまく工夫してほしい。例えば、既存のデータを用いて海の健康診断の図のように自分の湾がどこにあるのかがわかって、さらに特徴的な問題、例えば底質や基礎生産が重要となればこちらの物質フロー図を使うというようなもの。全部を精密に検査して診断しようというよりは、さきほどの松田先生のような一次診断、二次診断というように順番をおっていく方法もあるだろう。三河湾で扱っている微生物連鎖などは研究レベルのもので、ここまで至るには時間もかかる。これを自分の湾でやらなくていいのかと不安に感じるのではと心配である。すくなくとも、なぜ三河湾では微生物連鎖が大事で、そこを調べなくてはいけないのかを明確にし、自分の湾では調べる必要があるのかどうか判断できるような交通整理をしてほしい。3つのケーススタディがでてきたときに、なぜ微生物連鎖を他の湾では考慮していないのか、という素朴な疑問がでてきたときに、答えられるようにしておく必要があるだろう。
→(松田座長)この策定要領のユーザーを想定すると、地方の小さな自治体や市町村など「自分のところの海の調子が悪いのだけれども、政策的にどうしたらいいか」という需要もあるだろう。詳しい研究者や研究がない場合に診断マニュアルとして利用できるものとして、症状と診断の類型化のようなものがあり、モデル地域で検証をしてみて実際に効果があった、というような組合せもあるだろう。モデル地域でやったことをそのまま他の海域でやるのは無理だろう。

以上

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