水・土壌・地盤・海洋環境の保全

海域の物質循環健全化計画 | 平成22年度第2回海域の物質循環健全化計画検討委員会議事概要

開催日時

2011年1月27日(木) 10:00~12:00

開催場所

東京国際フォーラム G402

出席者

(委員)
松田座長、鈴木委員、寺島委員、中田(喜)委員、西村委員、藤原委員
(環境省 水・大気環境局 閉鎖性海域対策室)
室石室長、飯田補佐
(事務局)
いであ(株)島田、黒川、芳川、平野
(地域検討委員会事務局)
気仙沼湾:三洋テクノマリン(株)合田、水島
三河湾:いであ(株)吉村、風間
播磨灘北東部海域:(社)瀬戸内海環境保全協会 藤原 いであ(株)奥村

資料確認

〔配布資料を確認した。〕

座長挨拶

(松田座長)このプロジェクトは非常にユニークな取組である。平成22年度から24年度までの3年間の計画で、その1年目の今年度は、3回の委員会が予定されている。1回目の委員会は、地域検討委員会が開かれる前に行われたので、今回の2回目の委員会は地域検討委員会の成果や検討結果がでてくる初めての場となる。3回目は今年度3月に予定されており、そこで今年度のとりまとめと来年度の計画を検討する。本検討委員会の検討の順序を説明すると、以上のとおりである。

議事

(1)ヘルシープラン策定要領作成に向けて(地域検討委員会の状況を踏まえて)【資料-1】

〔事務局より資料説明を行った。資料-1に関する質疑応答は以下のとおりである。〕

[1]地域検討委員会の検討内容

気仙沼湾
1.(中田(喜)委員)資料-1(以下、参照ページは全て資料-1)p.4の「気仙沼湾の物質循環へのインパクトレスポンスフロー」について、1950~1970年代と現在(2000年代)の違いは何か。部分的には改善しているように見える。
→(事務局)気仙沼湾では1950~1970年代に海域環境が悪化した。その後、大規模な浚渫事業などを実施している。この結果、環境については一部改善しつつあることが認められる。たとえば、赤潮の回数が減少するなど。しかし、底質については依然として悪化した状態である。
→(気仙沼WG事務局)陸からの負荷については未解明の部分がある。赤潮の発生回数、発生期間、あるいは底層DOについては、改善が認められる。しかし、底泥のCOD、硫化物は湾奥では悪化している。その他、干潟が消失し、湾からの除去量が減少しているという状況である。p.4のインパクトレスポンスフローは、水質については改善しているが、湾奥の底質は悪化している状態であることを示している。
→(西村委員)気仙沼湾の概要を説明すると、水質は改善傾向にあるが、底質は改善傾向がみられない、あるいは悪化傾向にある。このメカニズムについて、p.6の「気仙沼湾の調査結果の概要」で説明する。平面的にみれば湾奥部の底質がかんばしくない。この要因として、湾央・養殖場では底層で湾奥に向かう流れがあり、つまり、湾奥に堆積物を送るような流れとなっている。さらに、湾奥部には陸域からの負荷、養殖場からの負荷などもあると考えられる。不確実な部分もあるが、物質循環のメカニズムと現在の状況がリンクし始めたという状況にある。
→(松田座長)ある悪かった時期に比べると、水質は改善したが、底質は悪いままである、あるいはさらに悪くなっているというケースは気仙沼湾に限らず、他の海域にもみられる現象であると考えられる。したがって、気仙沼湾がモデル海域である意味もある。
2.(鈴木委員)p.4の「気仙沼湾の物質循環へのインパクトレスポンスフロー」について、「二枚貝養殖場への有機物の集積」は、植物プランクトンが摂食されて下に落ちるという自然現象によるものを示しているのか、あるいはカキやホタテ養殖場でメンテナンスのために行われる付着生物の除去などの人為的インパクトによるものを意味しているのか。この視点は、モデルのなかでどのように表現するか、を考えるときに重要となってくる。
→(気仙沼WG事務局)p.4の図では、どちらも想定している。現在は養殖場のメンテナンスについては把握していない。今後は、ヒアリングなどをとおして明らかにしていきたい。
3.(藤原委員)エスチャリー循環流の強さは河川流量によって変わる。近年、河川流量に変化はあるのか。
→(気仙沼WG事務局)気仙沼湾には大川と鹿折川が流入している。いずれの河川も流量、流速は観測されていない。現在は水位からH-Q式で流量を推計しているが、実状はわからない。
→(西村委員)いまのところ、河川流入量の変化がエスチャリー循環に大きく影響を与えているということは想定していない。むしろ、湾奥部にあった干潟を埋め立てたことが、湾内の環境に流れを介して影響を与えたのではないか、と考えている。加えて、カキ棚などが流れに与える影響も着目している。このような観点で、データの収集整理を行っている。埋め立て前の流れは測定できないので、その点はシミュレーションに期待している。
→(松田座長)エスチャリー循環の強さは、底層の栄養塩を表層にもたらすということとも関連があると考えられる。このような視点ではどうか。
→(藤原委員)湾内ではエスチャリー循環流によって底層の懸濁物が湾口から湾奥に運ばれ、湾奥で濁度極大をつくる。また、底層の栄養塩を表層に運び、これが陸上負荷の50%を超えることがある。
→(松田座長)p.6の「気仙沼湾の調査結果の概要」では底泥から水に溶出してくる栄養塩負荷に着目しているが、藤原委員のエスチャリー循環流の考えを参考にすると、栄養塩が底層から表層の生産層に輸送されることを考慮する必要がある。検討課題にエスチャリー循環流による底層から表層への栄養塩の供給に関する事項を追加するということでよいか。
4.(寺島委員)質問が2つ。1つ目は、p.4の「気仙沼湾の物質循環へのインパクトレスポンスフロー」について、「湾からの除去量の減少」は、生産量が一定だが除去量が減少しているのか、それとも、生産量自体が変化したのか。2つ目は、河川以外の伏流水や地下水などの影響はどのように考えているのか。気仙沼は山に囲まれている。これと地形が似ている東北のある湾では、伏流水が沸き、ニシンの回帰に貢献している、という事例がある。
→(気仙沼WG事務局)1つ目の質問について、気仙沼湾の漁獲量は無給餌養殖がそのほとんどであるので、この生産量自体である漁獲量の減少を「湾からの除去量の減少」と解釈している。また、養殖種の変化による除去量の減少も考えられる。1950年代はノリ養殖が非常に多く行われていたが、現在では全く行われていない。したがって、かつてノリ養殖によって除去されていた窒素、リンの除去は現在ではまったくなくなったと考えられる。無給餌養殖が減少した理由については、漁協へのヒアリング結果から、1つは水産加工場からの排水により水質が悪化し、養殖に大きな被害がでたこと、もう1つは、消失した干潟40haはもともとノリ養殖場だったとのことで、これが全くなくなったことが減少の要因としてあげられる。
→(松田座長)伏流水や地下水などによる栄養塩の供給についてはどうか。
→(気仙沼WG事務局)未確認であるので、今後検討したい。
5.(鈴木委員)養殖場だけでなく、自然に繁茂している藻場の栄養塩ストックも重要である。この周辺では、水産庁が環境保全漁業のために藻場再生や磯焼け防止のウニ除去などを実施している。藻場再生などについてはどのように考えているのか。
→(気仙沼WG事務局)現在までに、水中カメラを用いて藻場の生育状況を確認している。カキ棚の下にもアマモ場が広がっていた。藻場の栄養塩ストックを利用した物質循環の健全化については、アイデアとして非常に有効だと考えているので、前向きに考えたい。捕足として、環境省の資料によると、近年藻場は変化していない。
→(松田座長)藻場の量や機能の変遷を把握することを、検討課題に追加するということでよいか。
→(西村委員)はい。
6.(藤原委員)外海水の影響も考慮したほうが良い。気仙沼湾では親潮の影響があると考えられる。湾口部のTN、TPが季節によってどのような値となっているのか、また、エスチャリー循環によって湾外から湾内への流入する窒素量などを把握しておくべきである。
→(松田座長)検討課題に追加するということでよいか。
ピコ・ナノプランクトンについて
1.(室石室長)三河湾ではピコ・ナノプランクトンの存在量による循環状況への影響を検討しているが、微小プランクトンの課題は三河湾特有のものなのか。
→(中田(喜)委員)三河湾特有のものではなく、今まで考慮されてこなかっただけだと考える。例えば、東京湾などでも同じ状況が考えられる。
→(松田座長)他の海域で考慮すべきか、という観点では、富栄養の海域では考慮すべき事項である、という理解でよいか。
→(中田(喜)委員)はい。
播磨灘北東部海域
1.(鈴木委員)播磨灘北東部海域では、栄養塩の局在をなんとかするということを、物質循環の健全化に向けた対策として取り上げている。具体的にはどういう施策をイメージしているのか。
→(松田座長)本プロジェクトは実際に海域をヘルシー化するための事業を行うのではなく、ヘルシー化するためのプランを考えるものと理解している。したがって、どこに問題があって何をするとヘルシー化するのかを提案をするところまでがその検討範囲だと考える。環境省としてはどのように考えているのか。
→(室石室長)そのような理解でよい。
→(藤原委員)瀬戸内海の概況を説明すると、かつては富栄養化していたが、現在はTN、TPともに非常に低くなっている。海域における環境基準の類型指定別に整理すると、IV、III類型の海域はごく沿岸部に多く、陸上の負荷量削減に対応して沿岸海域でのTN、TP濃度は顕著に低下している。一方、II類型は外海の濃度変動に対応して30年ぐらいの時間スケールで濃度が変動している。このように、瀬戸内海では外海の濃度変動が内海に影響を与えていることが明瞭に確認できる。播磨灘北東部海域では、局所的には栄養塩が存在しており、港湾内と加古川河口域には窒素が非常に高い濃度であることがわかっている。この原因を調べたところ、事業所からの排水流入が大きく寄与している。播磨灘北東部の事業所からの全窒素の流入量は日量約10tで、そのうち約5tが港湾内に流入している。事業所の特徴としては、石炭を燃やして発生した窒素酸化物を湿式で固定して海に放流している工場が大きな割合を占めている点があげられる。化学工場や下水処理場からではなく、こうして流入する窒素の割合が大きい。港湾内に窒素が多く存在し、港湾の外には少ない状況である。したがって、港湾内の窒素を有効利用して、沖合いに出すという対策を考えている。その方法としては、土木的手法を用いて港湾の内と外との海水交換をよくする方法や、加古川の水を港湾内に導入しエスチャリー循環流をつくるという方法を考えている。もう一つは、この地域には、ため池が多数存在しており、その底泥は窒素が多い。そこで、漁業者がため池の底泥を海に流出させる、という取組をおこなっている。また、地元の農家もため池に窒素が多いことを問題視しており、改善したいという希望があった。ため池の協議会も存在しており、地域検討委員会に協力したいとの話がきている。ため池を管理している方々は、池さらいをしたかったが、海に栄養塩のあるものを出してはいけないと思っていたため、池さらいをおこなっていなかった。地域検討委員会をとおして海域に窒素分が足りないことを知り、池さらいした泥も使えるのであれば、協力したいとのことであった。このように、播磨灘北東部海域では、陸側からも海側からもヘルシープランに期待が大きい。
→(松田座長)ため池をとおした取組の事例は、物質循環を改善するために陸域の環境管理と海域がどのようにつながっていくのかという展望を示しているように思える。類型指定の違いによって、海域に存在する栄養塩の起源が異なるという点については、他の海域にもあてはまる場合があると考えられる。したがって、海域の概況図(気仙沼湾を除く)には類型指定の図も入れてほしい。
実証実験について
1.(西村委員)三河湾では実証試験(案)として、たとえば「生物生産性確認調査」などを計画している。物質循環の健全化過程を考えるなかで、この実証試験によって得られる知見をどの様に対策検討に結び付ける構想なのか、位置づけ、論理展開をどのように考えているのか。
→(鈴木委員)この背景として、陸域での排水処理技術の高度化によって、溶存態有機物の質が大きく変化してきているのではないか、という議論がある。河川では難分解性有機物がふえてきている可能性があるというデータもある。「生物生産性確認調査」はいわばAGP試験のようなもので、AGP試験を行うことで、栄養塩濃度だけで評価できるのかどうか、質を考慮する必要はあるのかどうか、を確認するために行いたい。
→(松田座長)非常に重要な考え方だと認識している。これまでに栄養塩濃度で判断をしてきたが、例えば栄養塩濃度が高いが生物には利用されない形である、ということが直接的にわかる試験である。この試験は、リンやCODなどでも実施するのか。
→(鈴木委員)そのように考えている。
→(松田座長)そういうことであれば、全体における位置づけがわかるように、もう少し記述を工夫した方がよい。
→(鈴木委員)三河湾においても瀬戸内海と同様に沿岸部では環境基準を達成している状況にある。しかし、湾中央部や湾口部では環境基準を達成していない。現状ではTN、TPで判断するため、環境基準が達成していなければ、陸域からの負荷を削減する、ということになる。陸域負荷削減が湾中央部や湾口部の環境基準達成にどれだけ寄与できるのか、疑問である。また、陸域負荷削減を進めることが沿岸域の藻場や干潟の生物生産を低下させるというリスクもあることを懸念している。このように、現行の類型指定と環境基準の達成の判断について、今後は視野に入れて対策を検討していく必要がある。こうした議論では、有機物質の質も重要であるという意向もある。
→(藤原委員)播磨灘北東部海域においても、「生物生産性確認調査」と類似の調査を行っている。調査の背景として、陸域からの負荷量は窒素に比べてリンのほうが削減されているのにもかかわらず、海域では窒素が減少し、リンが減らない、という現状がある。そこで、播磨灘北東部海域において、河川から海域に流入する窒素、リンの挙動を調べたところ、窒素については河川水中ではほとんど硝酸態窒素であるが、海域に入るとかなり大きな部分が溶存有機態窒素に移行する。溶存有機態窒素は難分解性で、生物が利用しにくい形である。一方、リンは溶存有機態リンに移行する比率は少ない。また、リンは河口域でかなり早い段階で、沈降しトラップされていた。このため、河川水中のリン濃度よりも河口海域のリン濃度のほうが高いという状況が多くの河川でみられた。このように、窒素とリンは河川から海域への流入過程が大きく異なり、窒素については海域に入るとその大部分が生物に利用しにくい形となり、リンは河口域でトラップされるものの生物が利用しにくい形になる割合は小さい。
→(松田座長)窒素・リンの質、窒素・リンの量の比などに、物質循環健全化のための改善の余地があるという点で非常に重要な考え方である。

[2]ヘルシープラン策定要領の目次構成と記載内容(骨子(案)

[3]ヘルシープラン策定要領の作成に際して参考となる検討内容

1.(松田座長)「5健全化に向けた方策」の「5-6方策実施のロードマップの作成」にある「役割」とは、どうこうことをイメージしているのか。「7ヘルシープラン作成」の「7-2記載すべき内容」にある「行政、地域住民、事業者、研究者等」のそれぞれの役割ということか。
→(事務局)だれが、いつ、何を、ということをイメージしている。
→(松田座長)すこしわかりにくいので、工夫してはどうか。
2.(西村委員)「6モニタリング計画」の「6-4モニタリング結果の評価」では順応的管理の考え方が記載されている。これを大きく「モニタリング計画」の中でくくるのには違和感を感じる。順応的管理の考え方をおもてに出したほうがよい。
→(松田座長)たしかに、プラン全体のPDCAにおける位置づけを明確にしたほうがいいかもしれない。
3.(鈴木委員)地域がヘルシープランを策定し、さらに行政や市民が具体的に取り込むためには何が必要かということが重要である。現実では、沿岸域での地域の取組は環境基準を達成するということが原動力となって、いわば憲法のような存在となって進められている。しかし、先に述べたように類型指定などには問題もある。ヘルシープランを将来のイメージとして環境基準や類型指定を見直す、という考え方もあるのではないだろうか。ヘルシープランにはそのような機能と考えると、ヘルシープランと環境基準との整合性をどのように捉えるべきか。
→(松田座長)ヘルシープランの成果をどうやって実際の環境施策、環境改善の仕組みにくみこむか、という大きなテーマについての意見である。検討を進めるなかで、例えば、いままでの類型指定がかならずしも地域にとって最適でない、という結果もでてくるかもしれない。こうした場合にどのように判断するのか。このような結果もどんどん出してもらって、年次レポートに反映していくのがよいだろう。行政にどのように生かすかについては次の段階の議論であると考えているが、地域で抱えている問題を解決するための先見的な意見でもある。環境省はその点をどのように考えているのか。
→(室石室長)たしかに、現状は環境基準を達成することが至上命題として、あらゆる施策を進めている。したがって、環境基準を変えないと新しい施策が出てこない、ということもあるかもしれない。ただ、とるべき施策は健全な環境を構築するためのものであり、これはいわば「にわとりとたまご」の議論であると思う。この検討委員会はつぎの施策につながる議論であると考えている。環境基準を見直すにはいろいろと準備が必要であるので、環境基準を変えてからヘルシープランのような取組をはじめるのでは遅くなってしまう。「にわとりとたまご」の関係のように、この検討委員会をとおして有効な提言をどんどんしてもらいたい。それを受け止め次の施策につなげることが、環境省の役割であると認識している。
→(松田座長)共通認識の確認になるが、本検討会が始まった背景には、第6次総量規制で大阪湾を除く瀬戸内海は環境基準がほぼ達成されており現状維持となった。しかし、健全であるとは思えない。ではどうしたらよいのか、ということがある。鈴木委員がのべた点をこの委員会の成果に含ませるということが、この委員会がもっている一つの役割ではないか。現段階では、そのような視点で今後の検討を進めるということでよいか。
→(鈴木委員)補足として、なぜ私がこのような話をするかというと、昨日、矢作川流域圏会議という委員会があった。この会議は山・川・海のすべての人たちが、国・県・市町村・市民も含めて参加するもので、その議論の中で、矢作川をきれいにする会というNPOの方々からまさにこの検討会でここまで議論してきたものと同じような意見がでていた。つまり、市民の感覚からも「水はきれいになったが、生き物が少ない、豊かではない」といった意見がでている。住民の認識は大きく変わっている。
4.(寺島委員)誰が、どのように取り組むのか、がポイントであると考える。先ほどからもでている「役割」や「関係者」をどのように取り上げていくのかということが、このヘルシープランが地域にとって役立つものになるかにどうかのカギとなる。関係者の部分を丁寧にとりあげることが、具体的な結果につながるので、大事ではないか。沿岸域は多くの主体が関係してくる。関係者が入れるようなヘルシープラン策定要領にしてほしい。
→(松田座長)いろいろな地域で関係者が集まっていいプランができても、関係行政機関や法令が大きなハードルとなる場合も実際にある。そういったものにどのようにアプローチするのかということは非常に重要な点である。ヘルシープラン策定要領はマニュアルのようなものであるので、この点は詰めていってほしい。
5.(藤原委員)「5-2方策の効果の評価」が重要と考える。関係者に、協力した場合にどのようなメリットがあるのかを示す必要がある。科学的根拠にもとづいて示す必要があり、ヘルシープラン策定要領で補強してほしい。

(2)物質収支モデルの構築について【資料-2】

〔事務局より資料説明を行った。資料-2に関する質疑応答は以下のとおりである。〕

1.(中田(喜)委員)資料-2のp.20の「物質循環の特徴」は、現時点の状況という理解でよいか。
→(事務局)現時点で収集したデータを示している。古いデータも含まれており、値については今後精査する必要がある。
2.(中田(喜)委員)三河湾地域検討委員会の議論の中ではモデルで予測するか否かは別として、植食性あるいは肉食性の魚類やクラゲが物質循環に与える影響が大きい、という話となっていた。何らかの形で入れる、ということになっていたと認識していた。例えばマイワシが多いときはクロロフィルと相関が高い等の関連が見られる。
→(事務局)直接モデルには組み込めないが、モデルの結果等を踏まえて、整理・検討していきたい。
→(松田座長)モデルでの結果というのもあるが、例えば、既存のデータでカタクチイワシの漁獲量や資源量が変化していれば、その変化が物質循環に及ぼす影響はどの程度かという事などを検討したほうが良いと思う。これについては、検討課題としてほしい。
3.(鈴木委員)三河湾では伊良湖水道をとおした外海からの流入あるいは表層水の引き出しといった、外海の影響によって内湾の水質が大きく変わるということが指摘されている。現在、湾口の外部にモニタリングポストを設置して、モニタリングを行っている。三河湾地域検討委員会の議論の中で、こうしたデータを利用して、外海の影響をモデルに取り入れる、という話もでていたと認識していたが、資料からは読みとれない。考慮して頂きたい。
→(事務局)今回の議論は、今年度の検討しているベースモデルの部分を示している。先ほどからあげられている要望などは、来年度のモデルによる検討に反映していきたい。
→(松田座長)今回はベースモデルについて検討し、次回は来年度のモデルについても検討していくということでよいか。
→(事務局)そのとおりである。
5.(藤原委員)播磨灘北東部海域からの要望として、港湾内にある深堀跡の底層DOが、対策によってどの程度上昇するのかモデルで評価してほしい。
→(松田座長)これもできる範囲で検討課題に追加してほしい。

(3)今後の予定について【資料-3】

〔事務局より資料説明を行った。資料-3に関する質疑応答は特になかった。〕

(4)その他

 次回の委員会は、3月の15,16日の午後で調整して日程を連絡する。

以上

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